真定王劉揚
皇帝・劉文叔は臘祭での失敗に鑑みて、却非殿に出入りする宦官人事を刷新した。
これまで、彼は宦官の存在に慣れず、ただ身の回りの世話や、居室の掃除等のこまごました用事を言いつけるだけの存在と看做していた。
文叔らが南宮に入った建武元年(西暦二十五年)十月、雒陽南宮の宦官は、掖庭令(*1)の孫礼を長として、主に内廷の雑事を担当していた。真定で娶った郭氏を貴人とし、和歓殿を与えたものの、文叔は雒陽の復興と周辺地域の巡撫に駆けずり回り、雒陽に腰を落ち着ける暇もなく、後宮はほとんど放置していた。――その間に、和歓殿の郭貴人とその母郭主が、掖庭令の孫礼をすっかり丸め込んでしまったのである。
文叔が私生活を送る却非殿後殿の宦官は、孫礼が配下の中黄門(*2)を派遣して、入れ替わりも頻繁であった。ただ鄭麓だけは、万事にソツのない仕事ぶりを気に入って、特に指名して身の回りの世話を任せている。陰麗華を後殿に迎えるにあたり、衛尉の李次元の推薦で暴室勤務の中黄門の陸宣を配置換えして陰麗華付きとした。庭園での郭聖通との邂逅といい、臘祭で孫礼が文叔の意向を無視して郭主の指示に従った件といい、宦官のトップである孫礼が、和歓殿に肩入れしているのは明らかで、捨て置くことはできない。ただ、文叔が後宮を掌握できていない現状、孫礼を更迭すれば宦官の指揮系統が崩壊して、南宮全体が機能不全に陥る恐れがあった。
文叔はまず、自身の直属である鄭麓を黄門令(*3)に任じ、内朝及び却非殿に給事する専任の小黄門(*4)を統括させた。南宮の組織も小さく、巨大な権限は必要ない。ただ、機密保持が徹底されればよいのだ。
そして陰麗華付きの宦官、陸宣を掖庭右丞へと昇進させ、その下に専任の中黄門を三人置いた。陸宣は孫礼の副官であると同時に、却非殿に給事する関係で、黄門令鄭麓の監督を受けるものと定めた。
陰麗華の侍女には小夏に加えて于匡将軍の妹、于曄が再び仕えることになり、官婢も専任の者を五人ほど置いた。規模の小さかった南宮では、官婢もまた掖庭令の監督下にあったが、文叔は李次元らと相談の上、永巷令(*5)という役職の宦官を設け、官婢らの監督を掖庭令から引き継がせた。こうして、孫礼の権限を縮小したのである。
皇帝・劉文叔が雒陽宮に入って二か月。ようやく、後宮らしさを備え始めたと言える。
輔漢将軍の于匡と復漢将軍の鄧曄は、皇帝の近侍として却非殿後殿の警護を担当し、女将軍である鄧曄は陰麗華の堂にも出入りし、さりげなく護衛を務める。鏢局の女元締めという風変りな前歴を持つ彼女は、陰麗華の堂にふらりと立ち寄っては、世間話を落としていくようになった。急に周囲に人が増えて陰麗華は戸惑うが、懐かしい于曄や武装も凛々しい鄧将軍とのお喋りのおかげで、塞いでいた心が少しだけ軽くなった。
そんな正月の末。
河北からとんでもない知らせが飛び込んできた。
――郭貴人の伯父である真定王の劉揚が謀反し、皇帝に派遣されていた前将軍の耿伯山に斬られた、と。
「今、和歓殿の方は大恐慌で……さすがに、陛下は今、あちらにお渡りなって宥めていらっしゃる」
暇を見て陰麗華の堂に顔を出した陰君陵を捕まえて、さっそく鄧曄将軍が聞いた。
「どういうことなんだい。詳しい話をしておくれよ」
「ええっと――禁中の話は『漏泄禁中語』に問われると……」
視線を泳がせて躊躇う陰君陵に、鄧曄将軍が何でもないことのように言った。
「禁中での会話を禁中の外で漏らせば、そりゃあ罪に問われるけど、ここだって禁中じゃないか。禁中の会話を禁中で漏らして何が悪いのさ」
「いや、そういうものじゃあ、ないのでは……」
陰君陵はガタイのいい方だが、鄧曄将軍にはすっかり気圧されて、しどろもどろになる。
「でも気になりますよ! 教えてくれたっていいじゃないですか」
小夏も言い、陰麗華も躊躇いがちに言った。
「概略だけでも知らせてくれないかしら。何が起きているのかわからなくて、不安だわ」
姉の言葉に陰君陵も観念して、勧められた牀の席に座り、話し始めた。
「その……真定王の劉揚は、讖記を偽造して、謀反を起こそうとしたんだと」
「讖記……」
陰麗華が呟く。
「それは、以前に文叔さま……いえ、陛下が諧謔にしてしまわれた、《劉秀、天子と為る》みたいなものね?」
陰麗華の問いに、陰君陵が頷く。
「そう。陛下が即位したのも、それらの讖記が理由になってる。陛下がどこまで信じていらっしゃるのかは、俺にはわからないけれど、とにかく、讖記の信憑性を疑うような発言は禁句だ。……陛下の即位の正当性に関わるから。当然、讖記の偽造なんて、もってのほかだ」
「偽造……だったの?」
首を傾げる陰麗華に、鄧曄が言う。
「そりゃ、そうだよ。讖記なんて十中八九は嘘っぱちさ。……まあ、あたしは陛下の讖記が嘘でも、陛下の即位を歓迎するけどさ。もともとは、河図、洛書っつって、黄河の亀の甲羅に字が書いてあったとか、洛水から出た預言書って話なんだから。そう簡単に出たら困るじゃない」
侍女の于曄が皆に熱い白湯を配りながら尋ねる。
「どんな讖記だったんです? 偽造とバレバレなんですか?」
陰君陵は白湯をズズっと啜ってから、言った。
「《赤九の後、癭揚 主と為る》。……陛下は漢の高祖から九代目の子孫に当たる。それから真定王の揚は癭を患っていたらしくてね。つまり、陛下の後には、揚が天下の主となるっていう……」
癭とは、首にできる瘤のことである。
「それは嘘くさい……」
「あからさま過ぎますよねー」
鄧曄と小夏が口々に言い、于曄も眉尻を下げる。
「それはバレますねぇ。でも、本当に謀反なんて企んだんでしょうか。だって、和歓殿の方の伯父様なのでしょう?」
「そうよねぇ。……あちらは皇子様もお産みになって、立后は間違いないって。謀反を企てる理由がないわよねぇ?」
陰麗華の他人事のような言葉に、周囲は何とも言えない雰囲気になる。
「それは――」
鄧曄が何か言おうとしたのを、ゴホン、と陰君陵が咳払いで誤魔化して、言った。
「どうでしょうね。真定王って人は陛下のことも田舎の三男坊って馬鹿にしてたみたいだし。陛下が皇帝になれるなら、自分だって、って思うのかも」
「そもそも皇帝なんてなりたいもんかねぇ?」
鄧曄が心底疑問という風に言えば、一同は返答のしようがなくて首を傾げる。話の腰を折られた形の陰君陵が、なんとか話の接ぎ穂を見つけ、続ける。
「まあその、真定王が殺された、その手を下したのが真定王の甥の耿伯山将軍ってのが、あちらの方にはさらに衝撃だったようで……。年末から陛下の命令で河北に戻っていたのですが、まさか甥が伯父をと……」
その話に陰麗華は眉を顰める。――つまりそれは、文叔が耿伯山将軍に命じて、伯父の真定王を……?
「それはご心痛でしょうね。……お腹の御子に影響がなければよいけれど……」
口元に手を当てて俯く陰麗華に、小夏が批判的な目を向ける。
「あんな女とその腹の子に、気配りなんて必要ないですよ! あの女がお嬢様になんて言ったか!」
「小夏!言葉を慎みなさい。……壁に耳ありと言うわ。どこで聞かれているか、わからなくてよ?」
陰麗華が小夏を窘めれば、小夏は肩を竦めて舌を出した。実際、文叔が人事を一新するまでは、掖庭令孫礼の息のかかった官婢や小宦官が出入りして、陰麗華の様子をあちらにご注進に及んでいたのだ。
「……隠すつもりはないけれど、いろいろ探られて知られているとしたら、気分はよくないわよね……」
陰麗華が溜息をつき、ちょうど午どきで粟飯と野菜の羹、漬物の簡単な食事を運んできた陸宣が、頭を下げた。
「小官がぼんやりしていたために、申し訳ございません」
「いいのよ、そんなつもりじゃあ……」
慌てて手を振る陰麗華に、だが陸宣が言った。
「陰貴人が雒陽に入られてより、主上は夜は常にこちらで過ごされますので、あちら様もピリピリしておられて――そこへ持ってきて、真定王の一件ですからね。あちら様がどう、動かれるかわかりませんので、しばらくは口にされるものには注意してくださいませ。小官か小夏殿、于曄殿が直接お渡しするモノ以外は、絶対に口にしないでください」
その言葉に、陰麗華が目を瞠る。
「まさか!――毒でも入れられるって言うの? なぜ?」
正妻から妾に落とされそうな自分を、さらに毒殺しようという理由がさっぱりわからなかったが、しかし周囲の者たちもうんうんと頷いている。
「あたしも出来る限りこの周辺に出入りして、物理的な攻撃からなら守るつもりだけど、毒はねぇ~」
「毒見用に狗かお魚か、飼いません?」
「狗は吠えるからよくないんじゃないかしら……でも、お魚ねぇ……お魚で役に立つかしら?」
真面目にそんな話をしている侍女たちに、陰麗華は困惑する。
「毒が入っているかもしれないものを狗に食べさせるなんて、そんな可哀想なことできないわ」
「だからって人間の毒見役はさらにお嬢様が嫌がるでしょう?」
小夏の言うのはもっともなのだが、そもそも毒を入れられるなんてことが、あるとは思えない陰麗華であった。
「後宮は伏魔殿と申しますからね。……未央宮でも恐ろしい話をたくさん聞きました。特に、成帝陛下の寵姫だった趙姉妹の話は本当にゾッとして……皇帝の子を孕んだ女はいずれも、謎の死を迎えたそうです。気をつけるに越したことはありません。狗は吠えないように躾をすれば番犬にもなりますし、皇帝陛下に相談してみましょう」
于曄が言い、陸宣も同意した。
「訓練によって、臭いで毒物を見分けられる狗もいると聞いています。小官は狗監(*5)に知り合いがおりますし、話を聞いてみます」
「そんな必要あるのかしら……」
陰麗華は動物は嫌いではないが、こんな宮殿内で狗を飼うというのが想像もできずに戸惑う。陰麗華は田舎育ちだから、狗というのはだだっ広い田舎の邸で自由に飼われて、のんびり寝そべっているものだと思っていたからだ。
そんな物騒な話をした日の夜、当然郭貴人の部屋に泊まると思っていた文叔が、陰麗華の堂に戻って来て、陰麗華はびっくりする。
「こちらにいらっしゃっても大丈夫なのですか? あちら様は大変だと伺っておりますのに」
少しばかり疲れた表情で堂に入ってきた文叔は、陰麗華に向かって軽く肩をすくめて見せ、背後に控える朱仲先と耿伯昭に声をかける。
「二人とも、入ってくれ。少しだがここで飲もう。……麗華、悪いが酒肴の用意を……」
「……畏まりました」
陰麗華が頭を下げ、陸宣と侍女二人が心得て酒肴の準備に走る。コの字型に三つ置かれた牀の、北側の牀に文叔が、その両脇に向かい合うように置かれた牀に、二人はそれぞれ腰を下ろす。彼らについてきた宦官の鄭麓がすぐにお湯の入った桶を持ってきて文叔の牀の前に置き、跪いてその手足を洗った。陰麗華はその隙に部屋の隅に積まれた燃料用の薪を運んできて、方爐にくべて火を大きくする。鄭麓は文叔の足を拭いてから、朱仲先、耿伯昭の順番に回って足を洗っていく。全員が足を洗うころには陸宣と二人の侍女が酒肴の載った案を重ねて運んできて、それぞれの前に置き、陰麗華が方爐に脚付きの酒器を置いて酒を温めながら、勺で酌んで皆の椀に注いでいく。
三人の男たちは燗をつけた酒を乾杯して飲み干し、みな一斉にはあーっと息を吐いた。
「あー、疲れた。まったく、伯山の野郎、私の指示も仰がずに先走りやがって……」
文叔が思わずと言った風に悪態をつき、空いた椀を陰麗華に差し出すので、陰麗華は慌てて、その椀にお替わりを注ぐ。他の二人も一気に空けて椀を差し出すので、陰麗華はそれにも酒を満たしてやる。
「本当に陛下の指示ではなかったのですか?」
酒の椀を受け取りながら耿伯昭が疑うように言えば、文叔は指で蕪の漬物を摘まんで口元に持っていって、首を振る。
「まさか! こんなにアッサリと片付けられるものだなんて、予想もしないよ」
「だが結果的にはよかったのでは――」
朱仲先の言葉に、文叔は少しばかり首を傾げ、眉を寄せる。
「んー、はっきり言えば、劉揚にはそこまでの求心力はないから、あの謀反が形になっていても大したことはなかったと思う。二月には河北の脩武の慰撫に出かける予定だし、状況次第では真定まで足を延ばすつもりだった。むしろ、謀反の疑いの段階で、殺してしまったのはやり過ぎだな」
「あちらの方は冤罪だと騒いでいましたね。……とくに母上が」
耿伯昭が鹿肉の醢を摘みながら言えば、文叔が溜息をつく。
「全く、なんで中年女ってのはあんなに喧しいかな。……麗華にはあんな風になって欲しくないな」
突然話を振られ、陰麗華がぎょっとする。
「そ、その……真定王という方は、郭主様の兄上なのでございましょう。でしたら取り乱して当然ではございませんか。わたしも、兄の次伯が謀反の疑いで殺されたら、到底、正気では……」
不安そうに言う陰麗華に、文叔がこの部屋に戻ってきて初めて、にっこりと微笑む。
「ああ、あの次伯に陰謀とか、無理だ。あいつは顔に出過ぎて隠し事とかできないし、思いつきもしないだろうよ、そこは信じてる」
「確かに、次伯が思いつく程度の陰謀なんて、大したことなさそうだしな」
朱仲先も頷き、酒を舐めるように飲む。それから言った。
「……郭貴人の扱いはどうする?」
文叔は干した小魚の炙り焼きを手で抓んで、ガリガリと齧りながら首を傾げる。
「それだなー。大々的に叛乱が起きた後なら、心おきなく離縁できるんだがなー」
「文叔!」
「陛下!」
男たち二人が声を揃えてこもごもに言い、文叔に詰めよる。
「……陰貴人の前で言うのも気が引けるが、今のところ、お前の子は郭貴人が生んだ皇子彊だけだ。それにお腹には二人目がいる。……郭貴人を退ければ、皇子たちはどうなる?ここはひとつ、お前の度量を見せるところじゃないのか?」
「遠く離れた伯父の、謀反の疑い程度で郭貴人を排斥すれば、河北の者は陛下を恩知らずと罵るでしょう。しかも、その真定王を誅殺しているのは、同じく甥である耿伯山なのですから。ここは彼の果断な決断に免じて、郭貴人はお赦しになるべきです」
二人の言葉に文叔が頭を掻きながら凛々しい眉を顰める。
「それなんだよなー。……伯山のやつにしてやられたなあ……」
「文叔?」
朱仲先が飲みかけの椀を置いて文叔を見れば、文叔が肩を竦める。
「伯山は私と郭聖通との結婚に一番熱心だった。なんというか、聖通を皇后にすることにやたら拘っているんだよなあ……だから立后の妨げになりそうな伯父は、自ら排除したのかなって……どうも、私は河北の面々に対しては、常に先手を取られてしまっているなあ……」
文叔は夜になって少し伸びてきた髭を気にするように、顎を撫でる。
「……懐の離宮から戻った日、私は陰麗華を皇后にするつもりだと、皆の前で宣言したけれど、その場に伯山はいなかった。だが、彼はどこからか聞いたか、あるいは私の態度から察したんだろう。私は今回、伯山を派遣することで真定王を突けば、真定王は動揺して謀反を起こすだろうと踏んで、正月には檀郷の賊討伐に託けて呉子顔らを河北に駐屯させ、いつでも真定を急襲できるよう、それなりの準備をしておいた。なのに、伯山は機先を制するように劉揚を殺してしまった。――まさか自分の伯父を殺したりはしまいと思っていたが、判断が甘かった」
文叔の言うのを聞いて、耿伯昭が眉を顰める。
「謀反が不発だったのは僥倖ではありませんか」
「そうだけど、今回不発に終わった分、見えない芽はきっと残る。それが、次にどこで芽を出すか予測がつかない。怪しげな讖記や占いで野心家を誑かし、謀反を先導する方士や卜者たちは河北のあちこちで蠢動している。甘い言葉で《あなたこそ天子です》なんて囁かれれば、その気になって挙兵する奴は後を絶たないだろう」
文叔自身、讖記を利用して即位しただけに、河北の風潮をそう、分析する。
「まあでも、〈真定王の姪〉という血筋だけを理由に、郭聖通の立后を推していた奴らは、黙らせられる。……すまないね、麗華。本当は、君の立后を確実にできる予定だったんだけど、少し当てが外れた」
文叔に言われて、陰麗華は思わずビクリと居住まいを正す。
「それは!……わ、わたしは皇后なんてとんでもないですから!そんなことのためにあれこれ画策するのは、もうやめてください。それくらいならわたしは南陽に――」
言いかけた陰麗華に向けて腕を伸ばし、人差し指で唇を塞ぐ。
「南陽に帰るのは、無しだよ。君がそんな風だから、僕は何としても君を皇后にするために画策しなきゃならない。ね、麗華――」
陰麗華を見つめる黒い瞳は優し気であったが、しかし不穏な光を宿していて、陰麗華は思わず息を飲む。
その様子を、朱仲先は諦めの、耿伯昭は何か言いたげな表情で、それぞれ見つめていた。
*1 掖庭令
後宮の貴人等のことを管轄する。定員一人、六百石。左右丞、暴室丞という副官が三人いた。陸宣は暴室丞の下の中黄門だったのを、陰貴人付きに移動させた→今回、掖庭右丞として陰貴人の専任に引き上げた。
*2 中黄門
禁中で諸事を行う宦官。定員無し。比百石。
*3 黄門令
皇帝に近侍し、禁中の諸宦官を監督する。定員一人、六百石。
*4 小黄門
皇帝に近侍し、内外に出入し、文書の受け渡しも行う宦官。定員無し。六百石。
中黄門より小黄門の方が秩禄が多い=官位が高い。
*5 永巷令
官婢や侍女らを管轄する宦官。定員一人、六百石。
*6 狗監
天子の猟犬を管理する宦官の部署。
皇帝近侍の宦官は中常侍(定員無し、千石→後、二千石)が最高位、後宮側の宦官の最高位は大長秋(定員一人、二千石)でこれは皇后付きとなります。宦官の秩石等は『続漢書』百官志に拠りますが、後漢最初期には宦官は史料にほぼ登場しないので、ここでの宦官体制の整備はフィクションです。




