表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
河はあまりに広く、あなたはあまりに遠い  作者: 無憂
第二章 燕燕は于き飛ぶ
10/130

決闘

 《劉秀、まさに天子と為るべし》の預言に、一同が噴き出した中、当の劉秀――文叔――だけが一人、不愉快そうに顔を歪め、偉卿を睨んでいる。


 「え、それは――どちらの劉秀さんが有力候補なの?」

 

 劉君元が困ったように眉尻を下げて問えば、偉卿が続ける。

 

 「……誰かが、《国師公劉秀か》って聞いたんだ。現状、おそらくもっとも有名で、政権の中心にいる《劉秀》だからな。そしたら俺の横でボソっと――」

 「うるさいなあ、つい、口が滑っただけだよ!」

 「文叔、あんた、何を言ったの!」


 姉の問いかけに、文叔が気まずそうに肩を竦める。


 「……何で僕じゃないってわかるの?って……その――ちょっとした諧謔ギャグのつもりで……」


 次の瞬間、劉君元と劉伯姫が派手に噴き出し、陰麗華も笑いをこらえきれずに両手で口元を押さえた。


 「そしたら意外と声が響いちゃってさ。中には、劉家の三男坊が劉秀だっての、気づいた人もいて、もう大爆笑。ドッカンドッカン受けまくっちゃって……まあ、滑るよりはマシだったけど、こういうウケかたもねぇ……」


 鄧偉卿もまた笑いが込み上げてきたのか、肩を揺すってずっと笑っている。


 「まあ、ウケたし、お前が劉秀なのは間違いないわけだし……まあ、所詮、図讖なんてそんなもの、大方、国師公の周囲にいる者が、一発逆転を夢見てでっちあげて流布させたんだろうし」

 「でもその後、兄貴にすっげぇ叱られてさあ。あんなこと言って、天下でも取るつもりか、って、ガチ切れされちゃったよ。んなわけないでしょって。ちょっと言ってみただけなのに」


 鄧偉卿も劉文叔も、図讖など取るに足りないと思っているが、伯升は信じているのか、おちょくった文叔を本気で叱りつけた。


 「伯升は自分が高祖様みたいになりたいって思ってる男だから、気に入らなかったのよ。……災難だったわね、文叔」

 「んー。まあ、僕もちょっと調子に乗ったところはあるし……」


 姉に慰められて、文叔が肩を竦め、茶碗に残るほぼ出がらしになったを呷った。


 「いっそ、天下取り目指してみるか?……ああいう流言が広まるってことは、どうも王氏の天下も長くないようだぞ?」

 「勘弁してよ!」


 文叔が慌てたように言い、漆塗りの椀をおぜんに戻す。

 

 「皇帝なんてなりたくないよ。変な格好してたし」

 「見たことあるのか?」

 「長安で、明堂に儀礼に来た行列を遠目に見たよ。太学生は全員、見に行かないと叱られるし」


 壮麗な行列に守られた、馬車に乗る奇妙な冠を被った老人。――文叔の見た、皇帝のイメージはこんなところだ。


 「冠が重そうだし、じゃらじゃら簾みたいなの顔の前に垂らして、ものすごく邪魔そうだったよ。あんなのは被りたくないなあ……あ、ハゲ隠しのずきんもちゃんと確認したよ!」

 「お前は全部、見かけで決める。……なんだっけ?仕官するなら執金吾しつきんご、だっけか?」

 「あの制服が一番、格好よかった。他は何だかねー」


 ついでに言えば、執金吾は始建国元年(西暦九年)に「奮武」と名を改められているが、漢の官名に慣れ親しんだ身には、新しい官名はどうしても覚えられない。


 「あれのついでに、《妻を娶らば陰麗華》って言ったんだろう?」


 陰麗華がぎょっとして顔を上げる。その表情を見て、文叔が慌てて手を振った。


 「いやあれはさ、その……太学の中の槐市の酒肆さかやで友人たちと飲んでいて……僕が酔っぱらって言ったらしいんだけど、何しろ全く憶えていなくって……周囲からはよく揶揄われたから、言ったは言ったに違いないんだろうけど。おかげで陰麗華の求婚者が激増して、めちゃくちゃ競争率上がっちゃったし、何にもいいことなかった」 

 

 恥ずかしくて俯く陰麗華の膝を、劉伯姫がとん、とつっついた。


 「ごめんね、ほんと、口の軽いチャラい兄で」

 「口が軽いは認めるが、チャラくはないよ、チャラくは! つい、面白いこと言おうとしちゃうだけで!」

 「それがチャラいってことでしょうが!」


 妹に揶揄からかわれ、姉に窘められて、文叔が頭を掻く。陰麗華は真っ赤になって両手で頬を覆って俯いた。




 

 それから一月ほどして、陰麗華は母に呼び出しを受け、劉文叔の申し出を受けた、と伝えられた。


 「ほんとうに? お母さま!」


 陰麗華が目を瞠る。母の鄧夫人は少しばかり眉を顰め首を傾げる。


 「わたくしはね、あまり気に入らないのだけど、お前はあの人以外に嫁ぐつもりはないのでしょう。お互い相愛なのを、親が邪魔をするのもよくはないし、あちらも邪な理由ではないようだから、これが潮時かと、許すことにしたわ」

 「ありがとう、お母様!」


 陰麗華が微笑み、背後に控える曄を振り返ると、曄もニッコリ笑って頷いている。


 「ちょっとベタベタ触り過ぎらしいのが気になるけれど、あちらも士大夫である以上、婚礼までは節度を守るでしょう。婚礼は来年の春意向の予定だけど……いいこと? どんな甘い言葉を囁かれようとも、純潔は守ること。いいわね?」

 「純潔……?」


 陰麗華がこてんと首を傾げるのを見て、鄧夫人は眉間に深い皺を刻む。


 「増秩……わたくしは、どうやら下の弟たちにかまけて、娘を放ったらかしにしすぎたようね」

 「それは……でも、妙に耳年増だったりするよりは、ようございますよ。何分、あちらも年上ですし……」


 鄧夫人の脇に控えていた増秩が、生成りの麻の頭巾で包んだ頭を振る。


 「でも、何も知らないことにつけこまれても困るわ。麗華、結婚を許可したからと言って、二人きりで会ってはだめよ?ふしだらな女だなんて評判が立ったら、陰家の恥になるわ。曄も監視を厳しくすること」

 「わかりました、奥様」


 曄が深く頷き、陰麗華は母に言われた守るべき「純潔」の意味が理解できないながらも、でも文叔との結婚の許可が出たことで、歓びに胸をときめかせたのであった。

 





 母が結婚の許可を出した数日後、劉文叔からの書簡てがみが陰麗華のもとに届いた。いままでは書簡のやりとりも許されていなかったので、陰麗華は本当に結婚が許されたのだと実感する。


 《九月の半ばに宛に穀物を売りに行く、そのついでに鄧家に一泊する。出来れば逢いたい》


 稽古のおりに劉君元に確認すれば、数日後に泊まる予定だと聞かされ、陰麗華はそれまでとはまた違うドキドキする気持ちで、その日を待った。


 ――その日、いつもより念入りに髪を梳かし、晴れ着とまではいかないものの、お気に入りの白地に赤い襟のついた曲裾深衣を着て、赤と黄色の縞柄の帯を結び、金桂キンモクセイの花を布に包んで懐に入れた。ほんのり漂う香りになんとなく心も浮き立つようで、陰麗華は鄧家へと出かけた。門番に声をかけるが返事がなく、奥からは金属がかち合うような鋭い音が響いていた。


 「何の音?」


 陰麗華が呟き、曄も眉を顰める。


 「これは……剣を打ち合わせる音ではありませんか?」

 「剣?」


 誰かが剣術の稽古をしているのだろうか。でも、真剣で稽古するなんて、危険なことは普通しない。何とも不吉な気がして、無人の門から中をのぞく。


 奥から走ってきた門番の息子が、陰麗華を見て叫んだ。


 「大変です! 鄧少君坊ちゃんが、劉家の若様と決闘してるんです!……早く止めないと! 今、奥様を呼びに行ったんだけど……」

 「決闘?!……少君と、文叔さまが?」


 陰麗華が驚きのあまり立ち尽くす。何だってそんなことに!


 「お嬢様! 行きましょう、止めないと!」

 

 曄に肩をゆすぶられて、陰麗華はようやくはっと我に返り、頷いて走り出した。

 




 剣撃の音は中門の内側にある最初の中庭から聞こえてきた。ここが、鄧少君や鄧汎が剣の鍛錬をする場所だと、陰麗華は知っている。 


 キン! キン! と甲高い金属音が響き、周囲の僮僕たちのおろおろした声、そして、ヒュッ、ヒュンと空気を切り裂く音が聞こえてきた。滅多に走ることのない、陰麗華が必死に足を運び、息を切らせてやっと中門をくぐる。そこで目にした光景は――。


 まず門に背を向けて、長柄のげきを構えて立ち塞がる鄧少君と、その向かい側で、剣を手に片膝をつき、息を荒げている劉文叔。身長も腕の長さも、すべてが鄧少君が勝っている。少君は学問がキライで、剣や槍、戟といった武芸をひたすら磨いてきたのだ。文叔も士大夫の習いで剣術は学んでいるだろうが、所詮は書生である。しかし、圧倒的に不利な情勢でも、文叔はギラギラした黒い目で鄧少君を睨みつけ、額から顎から汗を滴らせながら、怯む様子は見せなかった。

 

 鄧少君がブンっと戟を反転させ、戟の刃のすぐ下に結びつけられた赤いきれが焔のように揺らめき、真上から凄まじい勢いで振り下ろされる。キン!と文叔が剣で弾き返し、青白い火花が散る。鄧少君はそれを読んでいたのか、弾かれた戟を素早く横倒しにすると、ブワンッと一気に水平に薙ぎ払う。文叔が横にゴロンと転がって躱す、その真上から戟が振り下ろされ、もう一度元の方向に転がって躱されて、ガリッと戟が硬く踏みしめられた土の地面を抉る。戟が地面にめり込んだ隙に文叔は立ち上がり、一歩踏み込んで鄧少君の喉笛を狙う。鋭い突きを鄧少君が間一髪、大きな身体を逸らして避ける。バランスを崩した足元を、今度は文叔の剣が横に薙いだ。少君が両脚で飛び越えて躱す。その時、身体を低くした文叔と、中門にいた陰麗華の目が合う。


 「!!」


 一瞬、陰麗華に気を取られて集中を欠いた文叔を、すぐに体勢を立て直した少君が戟を振り上げ、襲う。戟の刃をギリギリで文叔が避けたが、しかしそこで足元がふらついたところを、くるりと反転した戟の柄が飛んできて、文叔の横っ面を強打した。鮮血を飛び散らせて背中から地面に叩きつけられる文叔の姿に、陰麗華が耐えきれずに悲鳴を上げた。


 「き、きゃああああ!」


 背後の悲鳴に、少君が驚いて振り向く。だが陰麗華の目は無様に倒れた文叔だけを見ていて、中庭を横切って少君の脇を通り過ぎ、倒れている文叔の脇に膝をついて、縋りつく。


 「文叔さま!」

 「ぐ……れい、か……?」

 

 文叔の顔の半分が鼻血で赤く染まっているのを見て、陰麗華は慌てて、腰に下げている巾を外し、鼻を押さえる。

 

 「麗華、どけ! まだ勝負はついてない!」


 鄧少君の声に麗華が膝をついたまま振り向く。


 「いったい何をしてるの! どうしてこんな!」

 「決闘だ! 俺より弱い奴に麗華を嫁がせられん!」


 少君の返答に陰麗華が絶句する。


 「何それ! いったい何のこと……」

 「陰麗華との結婚の許しが出たって! でも俺は認めねぇからな!」

 

 戟を振り回してなおも文叔に挑もうとする鄧少君に、陰麗華は呆れ、そして猛烈な怒りを感じた。


 「何でそんな勝手な! なんであなたが決めるのよ! 関係ないじゃない!」

 「関係なくなんかねぇ! ……俺も、俺もお前がっ……」


 睨み合う二人に割り込むように、巾で鼻を押さえた文叔が起き上がる。


 「大丈夫だ、麗華……勝負を挑まれて、逃げたら男がすたるだろ……」

 

 巾を腰にたばさみ、まだ鼻血が止まらないまま文叔が剣を構える。


 「わかってる。まだ終わってない。……麗華、下がって、危ないから」

 「文叔さま、無茶はやめて!」

 「無茶でもなんでも、僕にも少君にも意地がある」


 麗華の縋る腕を振り払い、文叔は麗華を下がらせると間合いを取るように、剣を構えたまま半円を描きながら動いていく。戟を構えた少君もそれに呼応してじりじりと動く。文叔が陰麗華をちらりと見て言う。


 「下がって!そこだとまだ、少君の戟が届く可能性がある!」

 「文叔さま、少君、いい加減にして! わたしは賞品じゃないわ!」

 「そんなのはわかってる!これは単なる男の意地だ!口を出すな!」


 ぴしゃりと退けられて、陰麗華はただ両手を口に当てて黙るしかない。曄が陰麗華の腕を引き、後に下がらせる。


 鄧少君がヒュンと空気を切り裂いて戟の柄を回し、文叔がじりじりと間合いを詰める。ブンッと軽く振り下ろされた戟を文叔がカキンと跳ね上げ、そのまま一気に大股で踏み込み、至近距離から肩口を剣で狙う。少君は大柄な体に見合わぬ素早さでそれを避け、ひらりと身体を反転させ、その勢いをも利用して跳ね上げられた戟をブーンと振り回して水平に文叔を狙う。文叔が姿勢を低くして真横に薙がれた戟を避けるが、髻を結う巾の、垂らした布の一部が戟の刃にかかって切断される。文叔はその膝を屈めた体勢から、下から一気に突き上げるよう飛び込んで、少君の首の位置を横に薙ぐ。


 ガキン! 

 

 凄まじい火花と音がして、文叔の剣を少君の戟が防ぐ。ガリガリと力で押し合うが、もともと腕力で勝る少君に、やせ型の文叔が叶うわけがない。徐々に押されたと思った時。文叔が足元でわざと砂を蹴り上げ、大量の砂を少君に浴びせかける。


 「うえっぷ!」

   

 目と口に砂が入って少君が怯む隙に、文叔が一度後ろに飛び退って体勢を整え、上から剣を振り下ろす――。

 

 だが次の瞬間。

 ザッパーンと二人をめがけて大量の水が降ってきて、劉君元の声が中庭に響いた。


 「それまで! 二人とも、何だって言うの!」


 巨大な木の桶をもった劉君元は、臨月近い大きな腹を抱えて仁王立ちしており、その迫力に少君も文叔も思わず動きを止める。


 「叔母さん……」

 「姉さん……」


 劉君元が桶を投げ捨てると、二人を睨みつける。


 「本物の武器を持ち出して、いったい何のつもり?」 

 「いや、これは……」

 「決闘だ!」


 言い淀む文叔に対し、少君がやけくそになって叫ぶ。


 「決闘ですって? いったい何のために!」

 「この卑怯者に陰麗華は渡せねぇ!勝った方が陰麗華と結婚する!」

 「勝手に決めないで!」


 陰麗華が金切り声で叫ぶ。


 「陰家は文叔との結婚にようやく許しを出したのよ。今さら何言っているの!」

 「いや、姉さん、違うよ、これはその……練習というか……剣のお試し! 僕の買った剣の使い勝手を試すために、僕が少君に頼んだだけだから……」

 「嘘ばっかり!」


 文叔が少君を見て、話を合わせろ、と小声で言う。


 「ね、だからさ……姉さんも出産を控えてもっと心穏やかに……」

 「なるか!」


 烈火のごとく怒り狂っている劉君元を宥めようと、劉文叔が笑おうとするが、何しろまだ鼻血も止まっていないのだから、説得力が全くない。

  

 「どういう理由であれ、わたしの家の中で人切り包丁を振り回さないで頂戴!今度やったら没収して、鋳潰して農具にするわよ!」

 「この剣、買ったばっかりだし、高かったんだよ、やめて!」


 文叔が垂れてくる鼻血を拭いながら姉に懇願する。劉君元は不貞腐れて立っている鄧少君のことも睨みつけてから、陰麗華に向かって言った。


 「悪いけど、お腹が張ってきたから、奥で休むわ。……文叔の手当、お願いできるかしら」

 「は、はい!……もちろん」


 大儀そうに大きなお腹を抱えて奥へと戻っていく劉君元を見送り、陰麗華が言った。


 「……文叔さま、手当しましょう。ひどいお顔です」

 「あっちゃー。僕の唯一の美点が……」

 「あーもう! いちいちムカツク男だなっ!」

 

 鄧少君が腹立ちまぎれに戟を回廊の脇にある武器架けに投げ込み――みごとに命中して戟は収まった――、ぷいと顔を背けて一人で出て行った。




 

 井戸の水を汲んでもらい、陰麗華は曄に手伝ってもらって文叔の顔を綺麗に拭い、擦り傷に薬を塗り込んだ。傷に沁みるのか文叔が端麗な顔を顰める。


 借りた薬箱を曄が返しに行き、二人だけになって、文叔が言った。


 「ごめん……ちゃんと勝てなかった」

 「そんなのはいいんです。でも真剣でなんて、もうやめてください」

 「よくはないよ。これから先、少君に一生、言われそうだ。俺の方が強いって」

 「少君はあれしか取り柄がないんだし、身体も大きいんだから、しょうがないです」

 「でも悔しいなあ……」


 竹筒に汲まれた水をがぶ飲みして、劉文叔が舌打ちする。

 それからふいに、劉文叔が言った。


 「ああ……ちょっと待ってて……これ、渡そうと思ってたんだ」

 

 文叔は回廊の柱の影に置いておいた、鞍袋を持ってやってきた。階に座る陰麗華の隣に腰を下ろし、中から銀杏の葉のような形をした、金細工の飾りのついたかんざしを取り出す。蓮の花が精緻に透かし彫りにされ、白玉が華の中央に埋め込まれた、繊細な造りのものだ。


 「これ……この前、宛に行ったときに見つけて……君に似合いそうだと思ったから。……その、結婚が決まった印に……」


 陰麗華が目を瞠る中、文叔はその金釵を陰麗華の結った後頭部にそっと挿した。

  

 「文叔さま……その……あ、ありがとうございます」

 

 陰麗華が頬を染めて礼を言うと、文叔がほっとしたように微笑む。


 「……わたせて、よかった。……すごく、よく似合っている」

 「そ、そうですか……」

 

 真っ赤になって俯く陰麗華の頬を劉文叔がするりと撫で、そっと唇で触れるだけの接吻くちづけを落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手 by FC2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ