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 空を見上げながら鼻をすすると、鼻水が落ちそうなのに気が付きスカートのポケットからハンカチを取り出して鼻をかむ。蕎麦はすすれないけれど鼻はすすれることが少し可笑しい。

 この鼻は、私のお気に入りの鼻。

 鼻筋の通った華奢だけど日本人にしては少しだけ高いのが自慢。

 横幅もないので、たまにハーフですかと聞かれる。

 だから優しく鼻をかむ。

 鼻をかんだ後で気が付いた。ハンカチが有る事に。

 そして、もうひとつ。

 石が濡れていたわけも。

 雨ではなかった。

 それは自らが出した涙であることを。

 でも、なぜ?

 

 霧はまだやまない。

 ここが何処なのか?方角さえも分らない。

 ひょっとしたら左右さえも。

「私の右は右」

「でも私の向かいの人から見た私の右は、左」

「でも私の右手は誰が何処から見ても、それは私の左手にはならないわ」

「なんだか、いいかげんね」

 独り言を言って、軽く可笑しくなる。

 両ひざを抱えて体育館座りをした。

 細い足が細い腕にあたる。

 久し振りに、校長先生の話が聞きたいな。

 だって、眠たくなるんだもの。今は眠たくもなくただ退屈なだけ。


「話し相手が欲しいな」

     

 呟いてみても、誰も返事をしてくれない。

 だから、もう少し大きな声で言ってみる。


「話し相手が欲しいな!」

     

 また誰も返事をしてくれない。

 今度はもう少し楽しそうに言ってみる。


「話し相手が欲しいな♪」


 まだ誰も返事をしてくれない。

 今度は寂しそうに言ってみる。


「話し相手が欲しいな……」


 まだまだ誰も返事をしてくれない。

 ひょっとして、この河原には誰もいないのだろうか?

 もしかしたら私は河原で遭難したのかしら。

 急に不安になって、今度は正直に言う。


「誰でもいいから私に話しかけてください!」

 

「お願いだから!」

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