表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/18

夢の続き。

 病院で目が覚めた私を、両親や兄、それに親戚のおじさんやおばさん従弟たちが囲む。

 狭い病室に、よくこんなに人が入れたものだと感心した。

 お母さんが教えてくれた話によると、会社を出た私が横断歩道を渡っているとき、交差点を左折してきた車に撥ねられたそうだ。

 そして一時危篤状態になった事も。

 泣きながら話してくれるお母さんを励ますように、私は明るく笑いながら言った。


「ただいま」と。


 お母さんは泣きながら笑って「お帰り」と言ってくれた。


 夢。


 私が見た河原での出来事は、屹度意識を失っていた私の夢の世界なのだろう。

 みんなが帰って今は、疲れたのだろう。補助ベッドに眠るお母さんと私だけ。

 既に電機は切られて、非常灯の橙色の電気が灯るだけの部屋。


『意識のない状態でも、夢は見えるんだ』


 心の中で呟く。


 夢を思い返してみると、失敗だらけ。

 折角私の呼びかけに答えてくれた蛙たち。

 その中で、会いに来てくれた可愛い一匹の蛙に怯え、そして静まり返った蛙たちをののしった私。

 不安になった私の呼びかけに、揺れて応えた葦の茂みに怯えて逃げ出した私。

 そして流れて行く流木を見送ってしまった私。


 結局、自分からは何一つ前に進めなかった私を、最後に動かせてくれたものが、この一輪の薔薇だったとは。


 サイドテーブルの上で、非常灯の灯りに照らされる一輪の薔薇。

 そして最後の時に、その薔薇を助けたい一心で傷だらけになりながらも一所懸命に土手を登った私が居た。

 止まっていては何も始まらない。

 待っていても、誰も動いてくれない。

 怯えていても、誰も近寄ってはくれないし、感情のままに相手をののしっても離れて行くだけ。


 私は思う。

 生きている私が道を進まなければいけないと。

 成り行き任せにしてはいけない。


 明日、兄に頼もうと思う。

 あの、ちゃぶ台に置き去りにしたボジョレーヌーボを捨ててもらうこと。


 そして、この薔薇に誓う。

 退院したあと、私は前に進むことを。

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

今日は、風邪で一日中動けなくてパソコンと睨めっこして書き上げました。

私自身、出来ていないことが沢山有ります。

誰かが、してくれたらいいなと願うことも多々あります。

でも、道は自分で切り開かなくてはと思い書き上げました。

恥ずかしい文章ですが、思いのほかスイスイと進みましたが、みなさんの心に残れば幸いです。

重ね重ねではありますが、読んで下さった皆様、本当に有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ