表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/28

5 そのための修行

 翌日も同じ修行が続く。

 午後には恭弥が進展を見せる。刀を左手に持ち替えて目を閉じ、青い炎を纏った剣をイメージして、右手で掴む。

 目を開くとイメージした剣を握っている。剣を横に振ると、途中で消える。

「ダメか……」

「その調子で続けろ」

「言われなくても分かってる!」


 こうして一週間かけて確実なものにしていく。

 イメージを実体化した剣で竹を斬る恭弥。

「これくらいで十分だろ……」

 林の向こうにいるゴブリンに向かって走り出すと、デッドオーバーが行く手を阻む。

「まだ邪魔をするのか。そこをどかないなら、お前から先に斬ってやるぞ!」

 デッドオーバーは失笑して言う。

「お前は戦い方を知らない」

 太陽はオレンジ色の炎を纏った刀を振り続ける。


 それから半年かけて、身体作りから実戦のトレーニングを積み重ねた。そんなある日の午後、太陽が遠くに資材集めに行っている間に、デッドオーバーが恭弥に話を持ちかける。


「そろそろ両親に会いたくなる頃ではないか?」

「フン。その身なりで、そんな事を言うんだな」

「どうだ?」

「ハァ……最初に二度と戻れないと言ったのは、お前の方だぞ」

「確かにそうだな。直接会うことはできない。だが、一方的に見ることができたら……?」

「心配してくれなくても、戻らないことはもう伝えてある」

「ほう……なかなか人騒がせな奴だな」

「なんだと!」

「まぁそう怒るな。ではこうしよう。お前のその力、元の世界で使いたくはないか?」

「はぁ……だから、そんなの虚しいヤツがやることだろ」

「見ただろう。我は二つの世界を行き来できる。つまり、お前の行動を反映させることができる」

「……なに?」

 デッドオーバーは元の世界の街の様子を見せる。


 小屋に太陽が帰ってくる頃、恭弥は何事もなかったかのように勉強をしている。


 その日の内に決断はできず、次の日を迎える。

 この日は恭弥が資材集めに出かける。擬似サバイバル生活をすることで、知識と体力をつけ、精神を鍛える。


「どうだ? 昨日の返事は出そうか?」

 デッドオーバーが声をかける。

「そうだな……」

 この時恭弥は考えた。

 犯罪者を殺せば、自分がやった訳じゃないから罪に問われないし、人助けにもなる。だったら犯罪者を殺せばいい。


「俺の行動を反映できると言ったな。じゃあ人を殺せばそいつは死ぬのか?」

「ああ」

「死因は?」

「そいつの持病の悪化や事故だな。不自然に殺す訳にはいなかないしな」

「ふうん……悪くない」


 その日の夜。一人、小屋で夕食を用意する太陽。

 デッドオーバーに質問をする。

「なぁ……恭弥は、どうしたんだ」

「ん? そういえば、まだ帰ってないな」

()()()()()って……ついていったんじゃないのか」

「ずっと付いてる訳ではないしな」

 これ以上の追求は無駄だと悟った太陽は、静かに夕食を食べ始める。


 就寝の時間になっても恭弥は帰ってこないが、布団を敷いて寝る。

「恭弥のことはいいのか?」

 デッドオーバーの問いかけを無視して目を閉じる。

 恭弥なら一日くらい帰ってこなくても大丈夫。それに恭弥のことだから、何か考えがあるんだろう。

 特に気にかけず、深い眠りへ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ