9 消えゆく光
窓の外から差し込む朝陽に起こされる。爽やかな朝陽はこの空虚な心にいともたやすく入り込む。
吐いてスッキリしたのか、目覚めは良い。
静かな部屋で朝食を摂る。
床に座ってくつろいでいたところに電話が入る。でも今は誰にも会いたくないんだ……。
部屋中に鳴り響く着信音。煩わしいその電子音も、鳴り止むとどこか寂しい。俺はずっとこうやって拒否し続けるのか……人の気遣いを無下にして、そのツケが回ってきたとでも言うべきか。
とにかく今は――。
「ッ……」
手に涙が落ちた。
おかしいな、俺は何も気にしちゃいない。気にしてなんて、いないのに。
「うっ、うっ……くっ……!」
止まるどころかどんどん溢れてくる。情けない。誰がこんな男を認めるんだろうか。
一時間泣きっ放し。こんな人生で何の意味があるんだろう。腹は満たされても心は満たされない。
涙が乾く頃、インターホンが鳴る。時刻は午前九時。
玄関のドアを開けると、そこにいたのは視覚障害者で友だちの潤だった。
「あ、太陽?」
「……何で来たの」
「え? いや、昨日は恭弥くんに会えたのかな……って」
「はぁ……」
言わなかった俺も悪いが、何だってこんなことに……。
「今は一人にしてほしい」
「えっ……ごめん。でも、やっぱり友だちだから……」
「いいから帰れよ!」
力任せにドアを閉める。脅かすつもりはないのに、何なんだよ。クソッ、しょうもないことで怒って……。
あいつは目が見えなくても働きながらこんな奴に会いに来て、それで俺は何をやってるんだ。
恭弥だって……。
こんな俺だから、嫌われるのは当然だ。
「うぅっ……!」
不意に飛び出た拳が痛い。こんなことして何か変わるのか?
俺はバカだ。こんな自分にムカついてきた。
「うっ! うっ……! うぅっ……!」
怒りを込めた拳を自分の頭に向ける。
「うあああ……‼」
痛い。この程度の痛みで泣くなんて、俺はどうしようもないゴミだ。
母さんや恭弥が言ってた。俺は本当にゴミなんだ。
「ああぁッ……!」
俺は消えた方がいいのに、いつまで生かされてる。
心に穴を空けたまま、これじゃあ地獄だ……。




