表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/28

9 消えゆく光

 窓の外から差し込む朝陽に起こされる。爽やかな朝陽はこの空虚な心にいともたやすく入り込む。

 吐いてスッキリしたのか、目覚めは良い。


 静かな部屋で朝食を摂る。

 床に座ってくつろいでいたところに電話が入る。でも今は誰にも会いたくないんだ……。

 部屋中に鳴り響く着信音。煩わしいその電子音も、鳴り止むとどこか寂しい。俺はずっとこうやって拒否し続けるのか……人の気遣いを無下にして、そのツケが回ってきたとでも言うべきか。

 とにかく今は――。


「ッ……」

 手に涙が落ちた。

 おかしいな、俺は何も気にしちゃいない。気にしてなんて、いないのに。

「うっ、うっ……くっ……!」

 止まるどころかどんどん溢れてくる。情けない。誰がこんな男を認めるんだろうか。


 一時間泣きっ放し。こんな人生で何の意味があるんだろう。腹は満たされても心は満たされない。

 涙が乾く頃、インターホンが鳴る。時刻は午前九時。


 玄関のドアを開けると、そこにいたのは視覚障害者で友だちの潤だった。

「あ、太陽?」

「……何で来たの」

「え? いや、昨日は恭弥くんに会えたのかな……って」

「はぁ……」

 言わなかった俺も悪いが、何だってこんなことに……。

「今は一人にしてほしい」

「えっ……ごめん。でも、やっぱり友だちだから……」

「いいから帰れよ!」


 力任せにドアを閉める。脅かすつもりはないのに、何なんだよ。クソッ、しょうもないことで怒って……。

 あいつは目が見えなくても働きながらこんな奴に会いに来て、それで俺は何をやってるんだ。

 恭弥だって……。

 こんな俺だから、嫌われるのは当然だ。


「うぅっ……!」

 不意に飛び出た拳が痛い。こんなことして何か変わるのか?

 俺はバカだ。こんな自分にムカついてきた。


「うっ! うっ……! うぅっ……!」

 怒りを込めた拳を自分の頭に向ける。

「うあああ……‼」

 痛い。この程度の痛みで泣くなんて、俺はどうしようもないゴミだ。

 母さんや恭弥が言ってた。俺は本当にゴミなんだ。

「ああぁッ……!」

 俺は消えた方がいいのに、いつまで生かされてる。

 心に穴を空けたまま、これじゃあ地獄だ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ