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2章4-8 うっせぇなぁ……。

「暫く会わないって言ったじゃないですか」


「君がトチ狂ってるからだよ!」


 理事長室に到着し早々に心無い罵倒を浴びせられる。こいつ本当に教育者か?


「君馬鹿でしょ?」


「いいえ」


「いいえじゃないよ。君は馬鹿なんだよ」


「どうしてですか?」


「普通の人間は学校の機材を壊したりしないのよ」


「仕方ないじゃないですか。知ってますよね? リレーの件で色々あった事」


「それでもだ。我慢せずに芸能界を生きていけると思っているのか?」


「あーでたでた」


「あぁん!?」


「ああごめんなさい。気にしないでくだ……ふわぁ……」


 思わず欠伸が漏れてしまう。喋った事によって酸素を使ってしまったからだろう。欠伸は脳に酸素が足りてない時に補充する為にも出すと言われている。

 そんな俺を見た理事長は後頭部を痒き、大きなため息を吐くと、


「……50万。なんの数字か分かるね?」


「ああ、はい。後で請求書ください」


「だからさぁ、そうじゃなくてさぁ……そうだったね。君の家は……。でもさぁそうじゃないの。そもそも理解してる? 私が取り次がなかったら、君はもっと怖い先生に日が暮れるまで説教を受けていたんだからね? もう少し感謝の意を見せたらどうだね」


「それは感謝してますけど~そもそもこんな感じのスタンスで行けっていったの理事長先生じゃないですか~」


「限度という物があるだろう。それに私は後先を見極め判断しろと言ったんだ。今回の件はどうにかするのではなく、受け入れるべきだった」


「どうしてですか?」


「芸能界に出れば理不尽な出来事なんていくらでも起こりうる。だから今の内に受け流す事を覚えなきゃいけないんだ」


「成程。それも教育だと」


 理不尽な出来事に喚くような奴は生き残れない。それは素人の俺でも分かる。


「君にあまり介入するつもりはないが、1つだけ。なんでも解決すること前提で動いちゃ駄目だ。時には受け入れなければいけない時もある。もっと視野の広げるんだ」


「は~い。分かりました」

 

 ごもっともだな。俺はよかれと思ってやったが、同時に学びの機会を奪ってしまった。それを見据えた上での判断ならよかったが、その配慮が足りなかった。次からは心掛けよう。

 だが、今回した事が正しいか、間違いかは、また別の話だ。


「――それじゃあもし、また何か弊害が立ち塞がった時、思考の果てにまた機材を壊すべきと判断したなら、理事長先生は許してくれますか?」


「……うーむ、それは実際に直面しなきゃ判断しようがないが。その行いが結果的にかこむちゃんの為となるのなら、その判断を尊重すると思うよ」


「そうですか。ならばその信用に応えられる様、善処していきたいと思います」


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