3‐1 見せてやろう、プレゼンの真髄を。
俺がマネージャーになり3週間が経過した。
その間、黄谷に仕事が入り多忙になった為、前に会って以来、軽い連絡を取り合っているだけでまともに会っていない。
まぁ、本格的なマネージャーの仕事は2年になってから始まるので、1年の内はなんもする必要はないんだがな。黄谷の退学がかかってる以上そうもいかない。
既に退学を防ぐ術はあるんだが、それは黒いやり方で、もしそれを仕向けたのが俺だとバレればマネージャーをクビにされかねず、本末転倒だ。
なので、あくまでもそれが起きたのは偶然を装わねばならず、結局は今からでも退学を止めようと頑張っているように装わねばならないので、結果として、活動をしなければいけない訳だ。
そんな訳で今日も面倒な1日が始まる。8時20分。いつもの登校時間。
教室に入るなり辺りを見渡す――が、どうやらまだ誰も気付いていないようだ。
鞄を席に掛け、椅子に座る。何を気にしているのかと言うと、この前の黄谷の仕事が完成し、それが今日解禁されたのだが、まだ誰も使用していている様子はない。
それとも、どうでもいいのだろうか。だったら少しへこむな。俺が言い出したことだしな。少しそわそわしてきたな……。
「よう、文空! キョロキョロしちゃって、とうとう犯罪でも犯してしまったのかい?」
なんて挨拶してくれるんじゃい。部活仲間の瑛介が軽口を叩く。
「丁度いいとこに来たな。おい、お前アイフォン出してみろよ」
「はい? 急になにさ」
「今日はアイフォンのアップデートが来る日だからな」
毎月初めにアイフォンは定期アップデートされる。新機能が追加されたりとここではプチイベントとなっている。
「文空が急にそんなこと言い出すなんて、どういう風の吹き回しさ……まさか!? アップデートしてしまうと、保存していた画像が消えるとかいう、致命的なバグが見つかったとかだろ? 僕は騙されないぞ!」
「どんなバグだよ……とにかく、アップデート内容見てみろよ。お前が喜びそうなものだと思うんだがな」
「まぁ、見るだけなら……」
半信半疑といった感じでアイフォンでアップデート画面を開く。
「――えーと、音声ガイド機能の追加と軽度のバグの修正……え、今のバージョン、バグがあったの!?」
「そっちじゃねーよ」
「はぁ? 音声ガイドがどうしたって言うのさ」
俺は何も言わず、ただ得意げに鼻を鳴らす。
「――っ!? まさか!」
流石だ。アイドルが絡むことになると異常に嗅覚が鋭くなるな。
瑛介は即座にアップデートボタンを押す。ダウンロードの待ち時間中も何かに取り付かれたかのように画面をタップし続けている。
そう、この音声ガイド、声当てをしているのが黄谷なのだ。
3週間前。理事長室に向かうにあたって、なにか理由が欲しかったので、仕事の企画を持っていくことにした。
という訳で考えた。人気を上げる為にはなるべく沢山の人間の目に付くものが望ましい。
そこで全生徒が所持しているアイフォンへ行き着くのは必然だ。
そのアイフォンの中に付け入る抜け穴を探したところ、この音声ガイドという発想に辿り付いたのだ。
この仕事なら自分が苦労することもないし、我ながらいいアイディアだと思っている。
「ねぇどこ? 音声ガイドどこ?」
どうやら、アップデートが終わったようだ。結構時間が掛かったんだな。
「落ち着け……まぁ、色々あると思うが、とりあえず施設案内を開いてみろよ」
施設案内とは。行きたい教室を打ち込むと、その教室の場所を教えてくれるアプリだ。
この学園はなにかと広く、教室も多い為、迷子になる生徒が多いので、そんな時の助けになるのがこのアプリだ。
まぁ、いくら広かろうと、いる内に施設内のことは自然に覚えてくので利用するのは入学して間もない時くらいなんだがな。
このアプリの需要はもっぱら来客者などの初見の人間の為にある。
学園内の各所にはタッチパネルが設置されていて、そこでこの学園を訪れた人間が自由に利用できるようになっているのだ。
「鳴んない! 鳴んないけど!? ねぇ?」
大丈夫かこいつ……。
実は俺もまだどんな仕上がりになっているかは知らない。だから瑛介を実験台にしたのだ。
「設定から音声ガイドの項目が追加されてないか」
それを聞くと返事もせず、もくもくと文字を打ち込み、
「……僕はかこむちゃんの部屋に行きたい!」
なに打ち込んでんだよ。
『そのような場所は存在しません。もう一度、よく打ち込む内容をご確認ください』
「ふおおおぉぉぉぉぉ……」
おお、すげぇ……瑛介のアイフォンから流れたその音声はしっかりと黄谷のものだった。それもいつもの気持ち悪い喋り方ではなく、綺麗な喋り方だ。
「それじゃあ、ここ1―Bを……」
『1年B組は入り口付近の階段から4階まで上がり、右手方向の通路を右に曲がり、そこから2つ目の教室になります』
クラス毎でも個別に読み上げてくれるのか。
こうなると、恐らく全教室のパターンを収録したのだろう。大変だったろうな。
「ふぉおおお、かこむちゃんがここにいるよ!」
「おお、よかったな」
正直気持ち悪いから近くにいないでほしい。
「文空。今だけは君を神と呼ばせてくれ。本当にありがとう」
「何を大袈裟な……まぁ、本当にそう思うなら、昼飯奢れよ」
「それはやだけど……って、あれ、音声読み上げソフトなんて、前のバージョンにはなかったぞ、まさかこれも……」
軽く流されたな。にしても、音声読み上げソフトだと? そんなもん依頼した覚えないぞ。
「読み上げソフトということは、まさか……ここに入力っと」
『ヨウスケクンアイシテル(ようすけ君愛してる)』
「うおおおおおぉぉぉぉぉおおおおお!!」
最初に喜びが込み上げたが、名前の呼び方が違った為に少しテンションが落ちるも、それでもやっぱり嬉しくて再び舞い上がったようだ。
『エイスケクンアイシテル(瑛介君愛してる)』
「僕もだよ」
音声読み上げソフトのことは知っている。自分が入力した文字をそのまま読み上げてくれるソフトのことだ。
個別に収録された1文字1文字を繋ぎ合わせているので、機会音のような独特ななまりのある喋り方になるのが特徴的だ。
こんなものも含めて3週間で仕上げてしまうとは、なんてバイタリティだ。
『フミアクンハヒモノ(文空君は干物)』
さっそく変なことに使ってんじゃねーよ。
『キャーフミアクンニチカンサレマシタ(きゃー文空君に痴漢されました)』
「ぷふふ……」
そんな下らないもんで笑ってるって子供かよ……。
瑛介を見ているだけで恥ずかしくなってきたので、視線を逸らすと、俺達は教室の生徒らの視線を集めていたことに気付く。
まぁ、こんな音声流してたら目立つわな。丁度いい。
「あー黄谷が声当てした音声読み上げソフトを変なことに利用するなよー」
周りに聞こえるよう、わざと大きな声で話す。ちなみに俺の大きな声は常人で言う普通の音量だ。
すると、賑わっていた教室は静まり、生徒らは一気にアイフォンを弄りだした。
流石は流創学園の生徒だ。洗練されている。
『ベンゴシヲヨウイシマスノデ、カクゴシテイテクダサイネ(弁護士を用意しますので、覚悟していてくださいね)』
だから、下らないことに使うなや。
まったく本当にガキ――お、俺もアップデート完了したみたいだ。
よし、反撃の時間だ。
『エイスケクンハ、シュザイトイッテオキナガラ、ホントウハジブンヒトリデタンノウスルタメニシャシンヲトッテイタンデスネ。ユルセマセン、ベンゴシヲヨウイシマス(瑛介君は取材と言っておきながら、本当は自分1人で堪能するために写真を撮っていたんですね。許せません、弁護士を用意します)』
どうだこの変態野郎が。
「くっ、かこむちゃんの声をなんてことに……あ、そうだ」
お前から始めたんだろうが。
だが、確かに黄谷の声を下らないことに利用するのはかわいそうだし、もう止めにしておくか。
『ひょもひょもひょもひょもひょもひょもひょもひょもひょも』
「あああぁぁぁぁぁぁ」
ふざけんな。なんで、『ひょも』って打ち込んだときだけ独特の発音が復活してんだよ。
特定のワードを打ち込んだときだけ、決まった音声が流れるってやつか。なんて悪質な機能を付けてくれとるんじゃ。
「すごい! こんな仕様があったのか……それじゃあこれも」
「おい、なにを打ち込む気だ、とにかくやめろ!」
『ひょっも~ん!』
「ああああああ」
まじでふざけんな! 誰だこんな音声追加した野朗は? そんな遊び心いらねーから。
「おお、これもかぁ。文空がこんな機能を付けるなんて、すっかりかこむちゃんのファンになってしまったようだね」
「テメェ、分かってて言ってんだろ? 次鳴らしたらそのアイフォン叩き壊すからな」
『ファンニナリタイナラ、マイツキナナマンエンヲチョウシュウシマス(ファンになりたいのなら、毎月7万円を徴収します)』
たけーよ。
『チョウシュウスルひょも(徴収するひょも)』
言い直すな。はぁ……悪い目論見をしたからバチが当たったか。
そう、これを企画したのは、黄谷の人気アップの為もあるが、それとは別の理由がある。
それは、黄谷の清楚キャラを広める為だ。
俺から直接キャラを変えろ、だなんて配慮のないことは言えない。
だから、まずは生徒間で清楚キャラの疑惑を広めることにした。
この音声ガイドによってこの清楚な喋り方を聞けば、それは疑惑となり、やがて話題へとなっていく。
そして、その話題がやがて要望へと変わったとき、黄谷もそれに答えなければ、と思うだろう。
そこで結果が出れば、手応えを感じ清楚キャラでやっていった方がいい、と感じてくれる筈だ。
当然、俺もその為のサポートは惜しまないつもりだ。
あくまで自分から変わろうと思うなら、俺が変えたことにはならないしな。
「それにしても、よくこんなもの作ってもらえたよね。またなんか汚い手を使ったのかい?」
「なんで、真っ先にその発想が浮かぶ。今回はまぁ、その、マネージャー就任祝いさ」
返答を準備してなかった為、歯切れが悪くなってしまう。
本当の理由は言うべきではないだろうからな。
「成程ね! よかったじゃないか」
この仕事が通ったのは、いわゆる謝礼というやつでな。
――3週間前。
「失礼しまーす」
「あ、ちょ……し、しつれいしまーす」
俺達はアイドル科校舎を後にし、理事長室へ訪問した。
「……君達。入室するときはノックするのが礼儀というものだよ」
「す、すみませんでした」
謝罪する黄谷。そこからは緊張感が伝わってくる。
自分を退学させようとしているかもしれない相手だからな。
「今日は理事長先生にお願いがあって来ました」
理事長はどこにでもいるおっさんといった感じの人間だが、この破天荒な学園のシステムの考案者である。
俺は理事長とはアイドル新聞部設立の時に面識があるので緊張はなかった。
「えーと、いきなり押し掛けてすみません理事長先生」
「いやいや、かこむちゃんが謝る必要なんてないよ。いつでも気軽に尋ねて来てくれたまえ」
なにいい歳したおっさんがデレデレと鼻の下伸ばしてんだよ。
「それで、お願いとは一体なんのことかな?」
「お仕事の相談をしに来ました。プレゼンってやつです」
「さっそくマネージャーとしてのお仕事という訳だね。でも、そういった企画はアイドル科の企画部に持ち寄ってほしいものなんだけどね……」
「ああいう人達は融通が利かないとこがありますし、理事長みたいな権力ある人に頼む方が手っ取り早く済むと思いまして」
企画部については黄谷に言われたが、わざわざそんな面倒くさそうな連中より、最高権限者の理事長1人をその気にさせた方が手短に済むし、なにより今回は理事長が敵か味方かを探りに来たんだ。他にも聞きたいこともあるしな。プレゼンなんざ所詮はおまけだ。
「君はもう高校生だろ。言葉の選び方くらい身に付けたらどうだね……」
「あ、はい。気を付けます」
一体何がいけなかったのか分からない。
「まぁいい。では、そのお仕事とやらの話を聞こうか」
どうやら聞き受けてくれるみたいだ。だが、本題はここからだ。
「このアイフォンに音声ガイド機能を追加してみてはどうかな、と思いまして」
「音声ガイド機能?」
「そうです。例えば、この施設案内のアプリ。テキストを読み上げる機能があったら便利かな、と思ったんです」
「成程ねぇ……」
これだけでは首を縦には振ってはくれないだろう。企画というのは相手側に利点を感じさせなければ通らない。
という訳で、理事長側への利点を考えた。
理事長はこの学校の創設者。当然学校の設備に関しても手を掛けているはず。
そこで目を付けたのが福祉だ。この学園には様々な来客者がやって来る。その中でお年寄りの人など機械に疎い人だっている。
そんな人達からすれば、きっとこの音声ガイド機能が役に立つ筈だ。
そう。この施設の発展が理事長のメリットだ。
己の目的の為に、福祉を利用するような汚い発想かもしれない。
だが、もしこれが実装されれば誰かの役に立つ訳だ。逆に誰かの助けになりたいという想いがあったとして、役に立てないなら、無関心なのと同じだ。
やらぬ善よりやる偽善とは正しくこのこと。
とまぁ、このように企画とはどう研磨し、いかにして相手側の型にはめ込むかが重要になってくる。大切なのは見せ方だ。
今からその手本を見せてやろう――
「音声を付与することによって、目の悪い方や――」
「そういった、心に無い建前はいらんよ」
「……っ!?」
折角語ったのに1言で打ち砕くなや。
……でも、そうか。理事長はこう見えて相当な権力者だ。懐に入ろうとする奴は多いだろう。
今みたく、心にもない言葉で擦り寄ってくる連中を何人も突っぱねてきた筈。故にこの即答。
ならばやはり、前みたいなやり方をするしかなさそうだな。
「すみませんでした。では、率直に言わせてもらいますと、黄谷の人気アップの為に予算をつぎ込んで頂けませんでしょうか」
「それは、率直すぎるでしょう……」
どっちなんだよ、まったくもう……。だが、本番はここからだ。
「駄目ですかね? やっぱり、黄谷の人気が上がるようなことは避けたいのでしょうか?」
「……っ!?」
思いがけない言葉に理事長の眉が動く。反応を見る限り、やはり、息子の思惑を知っているようだ。
わざわざこちらが下手に出る必要なんてない。せっかく強気に出れる手札があるのだからな。
頭の切れる理事長なら察してくれたはずだ。今の俺の言葉が『この仕事を断ればそのことを広める』という意味だったことをな。
もし、理事長がアイドルを退学させる気でいる。という悪評が広まれば生徒間だけでなく、それは全国的に知れ渡ることになるだろう。それによって発生する損害は計り知れない。
なんたって理事長は流創アイドルシステムを生んだ者として日本どころか、世界的にも名を知られている人間だからな。
例え、理事長は関係なかろうが、息子が悪事を働いていることは揺るぎようのない事実。息子の責任は親である自分にも降り掛かる。
だから、悪印象を広められるようなことは確実に避けたい筈だ。息子の進路の為にもな。
さぁ、これが俺の切れる手札だ。どう出る?
理事長は少しの間を置き、口を開く。
「くくくっ……やはり、君は面白い人間だ。保守的な人間ばかり見ているから、君のような常識のない人間を見るとつい嬉しくなってしまうよ」
あろうことか、不適な笑みを溢す理事長。
これは刑事ドラマで犯行のアリバイを暴かれて開き直る犯人みたいなパターンか。
それとも何か返しの手があるのだろうか。
黄谷はそんなやり取りを見てあわあわとしている。こいつとしては触れてほしくない案件だろうからな。
「いいだろう。君の求める回答を2つあげよう」
「……2つ?」
「まず一つ。私の息子がかこむちゃんを退学させようと動いている件だね。それに私も関与していると思ったんだろう。だがそれは違う。私だってそんなことは断固反対だ」
「知っていたんですね」
「ああ。直々に私に退学をさせるように言ってきたからね……あいつのことだ。風紀を気にしているのだろう」
風紀ねぇ。元よりこんな学園にそんなものがあるとは思えないが。
「ということは、理事長先生は味方という認識でいいんですね」
「ああ。私としてもかこむちゃんを退学させたくなんてないよ。けど、1度作った校則をそう簡単に変えることはできない。しかも、水面下で動かれている以上、手の打ちようがないんだ。これから何をしだすことやら……」
「それはつまり、規則外のことであれば止めてくれる、ということですね?」
「勿論だ。そんなことがあればいつでも言ってくれ。かこむちゃんも分かったね?」
「あ、はい!」
戸惑い気味の黄谷。だが、不安が晴れたからかどこか嬉しげだ。
「そして、2つ目。ボイスガイド機能の件、引き受けさせてもらおう」
「本当ですか!?」
あまりにすんなりと決まり、思わず驚く。
「いいんですか理事長先生? 私なんかにそんな大きなお仕事が務まるとは……」
「そんなことないさ、かこむちゃんの綺麗な声なら適任さ。それに、元より音声ガイド機能というのはいずれ付けようと思っていたからね」
「嬉しいです! ありがとうございます!」
「私に礼を言う必要はない。私はただ指示を出すだけだからね。けれど、収録に携わってくれる人達にはしっかりとお礼を言うんだよ」
「はい! 分かりました!」
やる気満々といった返事をする。その表情にはもう先程までの不信感はどこかへ消えていた。
これが、理事長の教育者としての一面か。
黄谷は今頃、何故この人を敵視してしまったのだろう、と後悔していそうだな。
それだけ、このやり取りから理事長の人としての優しさを感じ取れた。
――だが、それは偽りの仮面かもしれないがな。
「で、そちらの用件はこれでおしまいかな?」
「……あーはい。ありがとうございました」
本当はまだ聞きたいことがあるのだが、黄谷の前であまり切り込む訳にはいかないので、また今度にすることにした。
「分かった……では、次は私の方からの用件を。鹿誠君はここに残りなさい。君に話したいことがある」
「えっ!?」
やばい、これはお説教タイムか。少し出すぎた真似をしすぎたか……。
「あの、理事長先生。文空君は私の為に企画を通そうとしてくれたんです。怒るなら私も一緒に――」
黄谷もそれを察したようだ。だが、こいつが一緒にいたところで、何も変わらないし、それどころか、説教されている情けない姿を見られるだけなので、寧ろいない方がいいんだが。
「別に説教をする訳ではない。本当に話をしたいだけさ」
……まじか、それはよかった。
丁度いい。これで聞きたかったことを聞ける。
だが、俺に話したいこととは一体なんのことなのだろうか。
「黄谷、もういい時間だ。今回はこれで解散にしよう」
「……分かりました。では、失礼しました」
納得いってなさげの返事だが、そのまま一礼し理事長室を後にした。
……さてと、どんな内容が飛び出してくるのやら。