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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
最終章 誰もが欲しいものへ手を伸ばし、勝者は只一人
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それが幸せか

 ルークの合図とともに二人が神崎に襲い掛かる。


 神崎は両目を閉じ、短く息を吐く。

 神崎は最後の覚悟を決めた。


「……殺す覚悟をした僕でも最後までこれだけはしたくなかったんだよ」


 神崎の目の前でシオンと鬼々の動きが止まった。

 何が起こったのか神崎以外にはわからない。

 そして、この場ではルーク以外は一瞬にして理解した。


 しかし、ルークだけ理解出来なかった。

 だから、反応が遅れた。


 ルークは一瞬で距離を詰めてきた神崎の渾身の右ストレートをモロに喰らってしまう。


「グハッ!」


 血反吐を吐いた。


「何が起こった?」


 シオンと鬼々に声を掛ける。

 そして、二人はルークの方へ顔を向ける。


「神崎ぃ、神崎ぃ、しゅきぃ」

「礼嗣キュン、私の弟になってぇ」


 目が完全にハートマークだった。

 二人だけじゃない。

 ヨハネもティグレもニアリスもだ。



【能力名】

我儘(ハーレム・)放題(エンド)

【LEVEL】

 LEVEL9(Max)

【スキル詳細】

 スキルを発動した瞬間、世界中の異性に好かれる。



 それは神崎がこれまで一度も使わずいたスキル。


「ふっ、何が絶対に使うことはないだ。やっぱり使ってるじゃないか! お前も俺と同じだよ。俺の支配をお前の支配で上書きしたわけだ! どうだ他人の心を操った気持ちは? 最高だろ?」

「……最低の気持ちだよ。でも、これは僕がこの世界からいなくなれば効果は消えるはずだ」

「確証がないんだろ? だから、ギリギリまで使わなかった。どうするこの世界中の女が一生この世界にいないお前を思い続けたとしたら? それは世界中の男の誰とも結ばれないってことだ。交尾もしない。子孫は残らない。そしたらお前がこの世界を滅ぼした大戦犯だな‼」


 神崎は歯噛みする。

 ルークは殴られたのに気分が良さそうだ。


「考えが浅いんだよ‼ やっぱりお前の皮膚の下にも汚い私欲が隠れていたんだよ。目的の為なら後先なんて考えない。俺と何が違う?」


 神崎が動揺している間に今度はルークが神崎の顔面に拳をねじ込む。


「俺とお前の違いなんて自分に力があったかなかったかだけだろ‼」


 ルークは追撃を緩めない。


「俺から‼ 俺から全てを奪いやがって‼ でも、それでいい。力は絶対だ。力のある方が奪っていい‼ それが世界だ‼‼」


 まるで自分に言い聞かせるようにルークは叫ぶ。


「だが、今は違う‼ 俺の方が力がある‼ だから、俺に屈服しろ‼」


 トドメの一撃を入れようと大きく振りかぶった拳を神崎が抑える。


「僕は君程の信念も執着も持ち合わせていない。君の瞳にはただ理由もなく君を否定する者に写るだろう」


 間違ってはいない。

 神崎はルークを否定する。

 だけど、その根幹には世界の平和とか皆の幸せの為だけじゃない。別の理由があった。それが強華との戦いでよくわかった。


 ルークが振り払おうとするも神崎の握力は強く離れない。


「君はこの世界で初めて会った人間だ」

「俺が呼んだからな、利用するために」

「友達だ。恥ずかしいけど元の世界には友達なんて呼べる人はいないんだ」

「友達? 寝惚けてるのか?」


 神崎が拳をギュッと握る。

 そして、彼の願いをそこに込める。


 世界征服?

 世界最強?

 

 どうでもいいだろ?


「普通に幸せになれよーーー‼‼‼」


 どうでもいい。

 世界の平和とか皆の幸せとか全部おまけだ。

 君が不幸な道に進むのが僕は許せなかっただけだ。

 だって、友達だから。


 神崎の渾身の一撃がルークの鳩尾に深く入った。

 ルークは一転、二転と地面を転がる。


 残り四十六秒。



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