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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第五章 破滅と混沌の世界へようこそ
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みんなの全力と彼女の全力

 現にシオンも急なフィールドの変化について行けずに三人の攻撃に苦戦する。

 だが、苦戦しているだけだ。双思(オーバー)総愛(ラブ)を身に纏い攻撃を受け流すことで致命傷を避けていく。あんなポワポワしている態度でもシオンはかなりの実践経験を積んでいる戦士なのだ。長引けば長引くほどに環境に適応し自力で負けているルークたちが不利になっていく。


「……まだだ、まだ足りない」


 化け物相手に手加減はいらない。

 持ちうる全てをぶつける。


「ふふ、見えない電気糸がどんどん見えて来たよ。蜘蛛のお嬢ちゃん疲れて来たんじゃない? 大丈夫だよ、蜘蛛のお嬢ちゃんは可愛いから妹にしてあげる」

「ふっ、余計なお世話じゃ」


 未だシオンに致命傷はない。

 そして、徐々に掠り傷すら与えられなくなっていく。

 対応し始めたのだ。


 最初に陣形を崩したのはバルゴスだった。


「君はパワーはあるけど動きが一番短調だね。良いスキルを持っているのに勿体無いよ」


 濃い体毛に覆われた右腕がバルゴスの足を捉えた。

 彼はそのまま容赦なく地面に叩きつけられ吐血する。

 バルゴスの攻撃が止んだことにより連携が崩れ、手数が減ってしまった。この隙を付け込まないシオンではない。

 起き上がろうとするバルゴスの頭に追撃の蹴りを入れ、完全に陣形からはじき出すと次の得物に焦点を定める。


「蜘蛛のお嬢ちゃんのその糸は結構厄介なんだよねぇ」


 アレーニェは視線が交差しただけで蛇に睨まれた蛙のように動きが硬直する。直近でバルゴスの惨状を見たのだ、無理はない。

 しかし、それだけで連携は完全に崩壊した。

 アレーニェが動かなければ的は必然的に強華一人になるのだ。

 強華だって迂闊に動けなくなる。


「案外脆かったね」


 シオンは高く跳躍すると一瞬でアレーニェと距離を詰める。強華がそのフォローに入るも間に合わない。

 アレーニェは咄嗟に背中から生えた蜘蛛脚を身体の前に集めガード体勢を取ろうとする。


 のではなかった。


 その蜘蛛脚はアレーニェとシオンの間にガードの為に挟まれるのではなく、そのまま追い越しシオンの背中まで回っていく。

 そう抱きしめるようにだ。


「……凄いね。自身の防衛本能を振り切ってまで拘束に専念するなんてお姉ちゃん感動しちゃった」


 シオンの素直な賞賛にアレーニェは唾を吐く。


「褒めてる暇なんてなさそうじゃよ」


 少ない好機を逃してはいけない。

 アレーニェを守りに距離を付けた強華は渾身の攻撃を入る体勢にシフトチェンジする。


「やばーい」


 シオンは無理にアレーニェを振り払おうとはせず両足でステップを踏むように跳び反転する。シオンと強華の間にアレーニェが挟まる形になり強華の拳に急停止がかかる。


「……背中を見せた」


 強華は小さく呟く。

 二対一ならシオンの行動も正解だろう。しかし、今は多対一だ。

 ルークがこの隙を逃さずシオンとの距離を詰め、背中に短剣を突き立てる。


時間外(オーバー)労働(タイム)‼」



【能力名】

 時間外(オーバー)労働(タイム) 

【LEVEL】

LEVEL6  

~次のLEVELまで、魔物討伐残り998体。

【スキル詳細】

 触れた相手(同時になら複数可)を、使用者の匙加減で疲労させることができる。触れるとは、肌と肌を介さなくても間接的(スキル使用者の武器を相手が素手で掴むなど)も可能とする。ただし、それは二点以上の間接を含むことはできない。

(例、スキル使用者の服の上から相手が手袋などの衣類ごしに掴んでいる場合はスキルは発動しない)

 ただし、死ぬほどの過労は不可。

 同時に、自分が相手を疲労させた程度の八割の疲労を追う。

 複数回使用の場合は、全快を百とした時、一度目に相手を二十疲労させると自分は八十四、二度目に別の相手を二十疲労させると、自分は残り六十八となる。



 その傷口からルークはシオンを疲労させ体力を奪っていく。ルーク自身がこの場で倒れてもいいと全力で奪い尽くす勢いだ。


「うぅぅぅ」


 シオンは呻き声を上げ始める。

 そして、


「滅茶苦茶……感じる」


 シオンは即座に身体を独楽のように回転させるとその勢いでルークが刺していた短剣が抜けてしまう。その短剣はアレーニェの蜘蛛脚の一本を傷付けてしまいその瞬間的痛みに僅かにシオンへの拘束が緩む。

 そのチャンスを逃すシオンではない。

 強華とルークの攻撃の回避に意識を向けていただけで、アレーニェの拘束を抜け出すだけに絞れば十秒足らず(戦場では致命的にもなりかねない時間だが)で抜け出せる。

 アレーニェの拘束を右腕を起点に破ると必然標的は目の前のアレーニェになる。


「大丈夫、欠損してても愛せるから」


 シオンは満面の笑みで掴みかかり、地面に全力で叩きつける。


「いったぁい。なにこれ、ビリビリする」


 しかし、寸でのところでアレーニェはシオンに掴まれた衣服に電気を付与し、地面には叩きつけられたもののシオンは上手く力を伝えきれず致命傷を回避した。


「子猫に噛まれた気分」


 フラフラとしながらも立ち上がるアレーニェとそれを守るようにルークと強華が前に出る。


「ルー君が用意してくれたこのリングももう飽きてきちゃった」


 シオンはつま先でトントンと靴のずれを直すとルークを挑発する。



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