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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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そしてそしてそして

 人類統一を賭けた戦争の勝者たち。

 それは民の耳に大きく響く者たちであろう。


 ルークは声を発した人物へ視線を注ぐ。

 ルークの側近も側近。懐刀。

 女顔に長いあずき色の髪が揺れる。

 セブンズが一人、ワンコ。


 他のセブンズも揃っている。ゴローとムッツリは重症のようだが、なんとかフラフラとしながらもそこに立っていた。

 ラブジルの次期王位継承者であるバレッタに今や凄腕の兵士となったバルコスも集っていた。もはやその場にいるのは民の数よりも兵士の数の方がはるかに多くなっていた。帰ってみれば城はもぬけの殻で錠かが騒がしくなっていたのだ駆けつける気持ちも分からないでもない。


 その場に初めからいた者たちがワンコや遅れてやって来た者たちへ現状を伝える。それを各々がそれぞれの受け取り方で受け止めた。


 役者は揃った。


「それがどうしたというのです?」


 始めに口火を切ったのはセブンズのワンコ。


「今ここに在る実績が全てでしょう。ルーク様の他に誰がまとまりのない人族を統一できたと言うのだ? ニアリス様か? 神崎様か? 私はそうは思えない。例え王族殺しが事実だったとしてもルーク様はそれすらが些細な事実に変わる偉業を成し遂げたのだ」

「ですです。珍しくワンコロと意見が一致したですです。私ぃ、ニアリス様たちこそ甘々、私情に流されてキングを排除しようとしているように思えるですです」


 また流れが戻って来るのを感じた。

 国民の感情がニアリス派とルーク派で五分五分になっていく。


「なっ、なにより先代の王が見て見ぬ振りをしてきた奴隷の解放、ホイホイ国家、また並びにその領地内での奴隷商の完全な禁止。この功績は無視できません‼」


 ルークは背後からの声に驚いた。

 そこには眠るニーを背負ったドロクと必死に声を振り絞るイチがいた。


(貯蔵庫のパンプキンケーキに辿り着いたのか。

いける、いけるぞ)


 ルークは勝利へ近付いている感覚を得てきた。

 

「皆‼ 先ほどは嘘をついて悪かった‼ だが、全てはこの国を、また人族の未来を思ってやったことなんだ‼ そこにだけは嘘はない‼」


 この国の民は勝ち組になったのだ。

 人類を統一した代表国家。誰もそのバランスが崩れるのを望むものはいない。ならば、現状を維持するためには何が必要か。

 無用な人材の流出。それだけは阻止しなくてならない。


 自分に直接的火の粉がかかったわけではないのだ。

 ならば、許してルークもセブンズもこのままこの国の為にいてくれた方が得ではないか?

 

 結局は誰しも大事なところは損得で動くのだ。


 流れが完全にルークへ傾いた。

 ニアリスや神崎が何かを叫ぶがそれは風に舞う蝋燭の火のように頼りない。


 しかし、ルークは忘れてはいけない。

 ルークを助けたのがここまでの過去の実績ならば、足を引っ張るのもまた過去の亡霊。


 現在に生き、未来を求める。

 結局、誰しも不安定、確定のない道を歩いている。

 形になっているのは過去だけだ。


 王族の生き残り、バカァホ王子。

 濡れ衣、腐った頭を落とす為に生きる『黒狩り』ハレル。


「そしてそしてそしてそして、私だよ」



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