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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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信じた結果の代償

 ワンコ、ニニ、アレーニェが目を見開き、構えた。


 ニニが大木を投射する構えを取り、ワンコがそれに触れてスキルにより刃物化し、殺傷能力を上げる。そこに合流したアレーニェの電気の糸を巻き付ける。

 最高値まで高めた殺傷能力を持った攻撃がオセロムに向けて放たれる。

 大木に圧殺され、切れ鋭く受け止めることも出来ない。雷の糸は触れれば一瞬で身体を駆け巡り内部をズタズタにするだろう。


「……見事だ」


 オセロムは回避を諦め、素直な賞賛を送った。


 一瞬、攻撃の当たる一歩手前でオセロムの影が動いた気がした。

 しかし、攻撃は確かにオセロムに直撃し、雄々しき慟哭にも似た咆哮が辺りを包んだ。

 オセロムは全身で敵の最大の攻撃に真っ向から立ち向かった。リオンの拘束スキルも解け、全身が稼働し始める。

 これを受け止め切られたらセブンズ側にもう勝ち筋はない。

 ほぼ全てのスキルを見せてしまった以上、二度目三度目のチャンスが舞い込んでくるとは考えにくい。

 次第に肉の焼けた匂いが香りが漂い始める。

 アレーニェの電気糸に身体を焼かれ、ワンコのスキルで身体を切り裂かれながらもジャイロ回転するニニの放った大木を受け止め続けている。

 じりじりとオセロムの足場が下がり、それと同時に大木の威力も落ちていく。


「うおおおおおおおお‼‼‼」


 オセロムの咆哮が戦場に響き渡る。

 大木が完全に威力を無くし、地に落ちる。


 最もオセロムに近い位置に倒れていたリオンは顔を上げた。

 そして、そこに絶望が浮かぶ。


 立っている。


 まだオセロムは立っていた。

 その場に両の足で地面を踏みしめていた。

 ワンコ、ニニ、アレーニェは歯噛みする。今ので勝ち切れないのなら次はボロボロの身体を引きずり正面対決しかない。それは人類最強相手にどの程度の勝算を生もうか。


「……大丈夫ですです」


 リオンの背後で地面に伏していたヨハネが声をあげた。

 ヨハネの位置からオセロムの状態を正確に把握することは出来ないはずだ。しかし、彼女には見えていた。

 その未来が。


「私ぃたちの勝ちですです」


 その言葉にリオンは確信を持ち、よろよろと最後の力を振り絞り立ち上がる。オセロムに恐る恐る近付くと、彼の顔を覗き込んだ。


「意識がない」


 失神。

 ノックアウト。

 気絶。

 

 オセロムはその場で立ったまま意識を失っていた。


「……勝った? 私達が人類最強相手に勝ったの?」

「ですです」


 二人の異変に気が付いたのか、ワンコ、ニニ、アレーニェの三人も近寄って来る。そして、五人は勝利を分かち合った。


「そうだ、早くゴローとムッツリを医療班に連れていくんだぁい」


 ニニが戦いで深い傷を負った二人の心配を始める。

 そして、二人の倒れている位置を探すように辺りを見渡せば、そこには先ほどまで影も形もなかった人物が存在していた。

 いや、影はあった。

 彼女は悪夢でも見ているように目を開けたままうなされている。


「嘘でしょ、嘘でしょ、嘘でしょ。人類最強なんじゃなかったの? 普通に考えてここが一番安全地帯じゃないの。意味が分からない。キースとノーボスは大丈夫なの?」


 そこにはアシロの帝王代理フライトの姿があった。



【能力名】

 (カク)()(レインボー)

【LEVEL】

 LEVEL3

 ~次のLEVELまであと二百七十五日、一日中一人でいる事。

【スキル詳細】

 他人の影の中に潜むことが出来る(連続で潜っていられる時間は三日間)

 潜むことの出来る影は二十四時間以内に一度踏んだことのある影に限る。

 また、潜んでいる影の持ち主に気付かれた場合スキルの発動継続は解除される。



 フライトは一番の安全地帯だと踏み、自身のスキルで人類最強と称されるオセロムの影の中に潜んでいたのだ。

 自身の部下たちではなく他国の兵を信じてしまった結果がこれでは本当に報われない。しかし、それは結果論。彼女は賭けに負けたプレーヤーの一人にすぎない。

 チップを払う番が来たのだ。



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