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異世界から来た奴がモテモテチート過ぎてウザい  作者: 痛瀬河 病
第四章 人を喰らえ、人共よ
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暗躍は表へ 後編

 じじい口調の少女は面白くなさそうに返事をする。

 天井から降って来たのは黒い衣装に身を包んだアレーニェだった。

 アレーニェとは過去ルークがトリニティという資源を大量に確保する際に、その資源が大量に眠る鉱山の一部でひっそりと生活していた村の村長だった少女だ。

 村はルークの手により土砂の中に埋まり、アレーニェ以外の村人はみな死んだ。当然、アレーニェはルークを殺そうと襲い掛かったが強華によりこれを阻止される。そして、信じられないことにルークは自分が魔王になった暁には村人を魔王の固有能力で生き返らせてやるから仲間になれと提案した。

 アレーニェは血反吐も飲み込み今に至る。


「シグレと言ったか、言っておくがこの男はろくでもないぞ。本当なら私がこの場で殺してやりたいほどじゃ」

「少しは理解しているつもりです」

「心外だな」


 アレーニェはルークの軽口に睨みを利かせる。


「まぁ、よかろう。私も他人の心配をしているほど余裕もないしの。裏ルートをいくつか紹介してやる。ついてこい」

「はっ、はい」


 見た目は変わらないが、歳で言えばシグレの方が一回り以上年上のはずだが、何故かシグレはアレーニェに対して緊張したように背筋を伸ばした。

 部屋を二人で出ようとアレーニェ扉に手を変えた時、思い出したようにルークに尋ねた。


「あっ、それとのルーク」

「なんだ?」

「セブンズの件じゃが、あれは私でないといかんのか? いくら欠番を出したとはいえ、裏がメインの私にセブンズみたいな表向きの仕事まで任せるのは無理がないかの?」

「あぁ、こっちもそれには参っているんだ。いきなり二人の欠番。それもそれに見合う収穫もなしときた。あいつらはこの国安全と強さの証、象徴のような奴等だ。いつまでも欠けているわけにはいかないんだ。深刻な人手不足だ。欠番にはお前とリオンに入ってもらった。お前は取り敢えず名前だけ貸してくれたら、仕事は今までと同じで構わない」

「そうか。しかし、実力で言えばバルゴスでもいいんじゃないかの?」

「そこはお前の部下なんだからわかるだろ。あいつは精神状態のほうが安定していない。流石に危な過ぎる」

「ふむ、最近は比較的マシなんじゃがの」

「比較的じゃ困るんだよ」


 アレーニェは結局渋々納得した様でシグレと揃って部屋を出た。

 今度こそ一人になったルークは椅子の背もたれに深く腰を沈ませる。


「……ナナキ、ミックス」


 天井を見上げ、亡くなった部下の事を思う。


「全く使えん奴等だったな」


 当然、そこに悼みはなく計画に生じるエラーを嘆くものだ。

(ナナキはムッツリの話だと四老獣の一人と刺し違えたとのことだが、死体の回収に向かわせた兵士が皆殺しに会っている。やはり生きていたのか? それとも牢からいなくなっているトライが何か手を回したのか? どちらにせよただ死んだとは考えにくい。そして、ミックス。こいつには反逆者を炙り出す為にかなりの監視を付けて泳がせていたのに、結局犯人が分からずじまいで殺されていた。犯人はかなりの手練れ? それとも複数? もしくはホイホイの内部の深いところまで関わっている人間か? まずはあの病院全体から洗った方がよさそうだな。最悪、こちらも城の中に充実した医療スペースを新たに作らなくてはならないかもしれない。病院内に内通者がいてはおちおち寝てもいられないからな)


 ルークは机の中の資料を一枚取り出す。

(シグレの家族は抑えている。ホイホイ国内で普通に暮らしている両親と弟にシグレの四人家族。怪しい動きはない。恐らくこいつはチャトランガに引き入れてもいいはずだ)


 組織を強くするためには大きくすることだ。

 だが、大きくなればなるほどに疑心暗鬼になり、まとまりづらくなる。様々な思想も生まれる。いつ自分が後ろから刺されるかもわからない。


 ルークは目頭を押さえる。


(もう少しだ。鬼々のせいで遅れは出たが、次の段階にまでもう少しのところでクリアできる)

 




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