こおりのねこ
ひとりぼっちの午後、男の子のもとに氷の猫がやってきました。ころころと喉を鳴らしながら、まとわりつくように擦り寄ってきます。とてもひんやりとしてよいきもちです。
男の子は氷の猫と遊び、やがて氷の猫を抱いて寝ました。
男の子が目を覚ますと、氷の猫はちいさくなっていました。男の子の温もりで融けたのです。半分くらいの大きさになった氷の猫を見て、男の子はあわてて離れました。すると氷の猫は言いました。
「お願い。抱きしめることに臆病にならないで。」
男の子はちいさくなった氷の猫をそっと抱きしめました。氷の猫はみるみるちいさくなり、そして融けて消えてしまいました。
男の子はさびしかったですが、胸の中には温かいものが残りました。