ド、ドラゴン?よ、余裕ですよ(ハァハァ)。お、俺を倒せたら、た、大したもん……グハァ
ドラゴン、見た目やばそうだけど実際はどうなんだ。取り敢えず探査してみよう。
「探査!」
……
サーモグラフィーの様なその光景は、俺の期待とは真逆にドラゴンを赤く彩っていた。
真っ赤っかやないかーい!!
やべーよ!やべーよ!
どうする!?どうする!?
………
どうするたって、と、取り敢えずやってみるしかないだろ!
「束縛鎖!」
先ずは動きを止める!
数十本の極太の鎖が地面から生え、ドラゴンに巻き付いた。完全にドラゴンを捕らえ、ギチギチに締め上げている。
「おらああ!食らえ!」
俺は飛び上がり、ドラゴンの顔面をおもいっきり殴り付けた。金剛体力で強化した肉体なら、巣での攻撃が一番強い。
ドゴォッ!!!!
とてつもなく固い物を殴った感触。そして、腕に走る激痛。
「うぐっ!」
殴り付けた俺の手から血が吹き出した。指が滅茶苦茶な方向に曲がっている。
ドラゴンは身動ぎもしない。
ドラゴンの鱗は半端無く固かった。殴ったこっちが駄目になってしまったのだ。
ゴアアアアアアアアア!!!!
ドラゴンが咆哮と共に翼を広げようとする。巻き付く縛鎖は少し抵抗していたが、数秒と持たずに弾けた。
「うわっ!」
弾けた鎖が飛んできて俺は思わず怯んだ。
ブオンッ!!!
気付いた時にはもうドラゴンの尻尾が目の前まで来ていた。
俺は避けることが出来ず、両腕を体の前でクロスさせて防いだ。
メキメキという音が体を貫く。あまりの衝撃に意識が飛びそうになった。
尻尾の凪ぎ払いで俺は吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられた。
◇◇◇◇◇
イーノ・タイファ 人間族 男 20歳
領主の息子、魔術師
レベル:8
ヒットポイント:400
力:120
防御:740
素早さ:20
器用さ:100
マジックポイント:35650
上級魔法まで使用可能
魔力鎧により特殊防御:500
◇◇◇◇◇
全身の骨が折れ、体がバラバラになりそうだった。
「あぐぐ……は、超回復……!」
◇◇◇◇◇
イーノ・タイファ 人間族 男 20歳
領主の息子、魔術師
レベル:8
ヒットポイント:30000
力:800
防御:740
素早さ:820
器用さ:370
マジックポイント:34650
上級魔法まで使用可能
魔力鎧により特殊防御:500
◇◇◇◇◇
俺は何とか呪文を唱え、治癒させた。超回復なら死なない限りは回復できる。
体を全快させて立ち上がったが、待っている余裕は無かった。
ドラゴンはその大顎で噛み付きにからからだ。
くそっ!
ギリギリで回避には成功した。
ドズンという恐ろしい音を立てて、ドラゴンは地面に牙をめり込ませた。
ザザザザザザッ!!!
そして、そのまま牙を俺に向けて横凪ぎに、再度食らいつこうとしてきた!
「うおおおお!」
俺は走って逃げた。後ろからはドラゴンの牙津波がきている。
ドラゴンのスピードに、追い付かれそうになった、その瞬間。
「だっ!」
背面跳びで迫るドラゴンの頭を飛び越した。金剛体力の身体能力強化にはこういう使い方もある。
頭を飛び越し、受け身をとって着地する。
ぱっと体勢を整え、臨戦体勢に戻したときにはドラゴンはもうこちらを向いていた。
グルルルルル
ドラゴンは唸り声を上げている。その口には俺を噛みつき損ねて土がくわえられている。
ドラゴンはの体の網目が赤く光る。口の土が溶け、ガラス状(なり出した。
炎がくる!
ゴアアアアアアアアアッ!!!!
ドラゴンは咆哮と共に炎を吐いた。
空を赤く燃やす死の業火。
大気全てが熱く、何もかもに火が付きそうだ。
今は理力防鎧している!絶対の魔力鎧がある!耐えられ……それだけじゃ耐えられない!
「吹雪嵐!」
ギリギリの危うい所で吹雪嵐の詠唱に間に合った。
絶対零度の凍結魔法。しかしドラゴンの火勢の前には、まさに焼け石に水だった。
「ううあああああ!!!」
竜の息吹きは吹雪嵐を押し退け、理力防鎧の魔力鎧も貫いてくる。
肺まで焼かれそうだ……!
漸くドラゴンの炎が吹き終わった。
「くっ……」
全身の皮膚が火傷で爛れている。特に魔法を放って前に突きだしていた両手は黒く炭化しかけていた。
◇◇◇◇◇
イーノ・タイファ 人間族 男 20歳
領主の息子、魔術師
レベル:8
ヒットポイント:400
力:360
防御:500
素早さ:650
器用さ:140
マジックポイント:34650
上級魔法まで使用可能
魔力鎧により特殊防御:13
◇◇◇◇◇
「うぐぐ……超回復ァ!」
激痛を堪えて呪文を唱える。。炭化した指先が見る見る内に元に戻っていく。
◇◇◇◇◇
イーノ・タイファ 人間族 男 20歳
領主の息子、魔術師
レベル:8
ヒットポイント:30000
力:800
防御:740
素早さ:820
器用さ:370
マジックポイント:32650
上級魔法まで使用可能
魔力鎧により特殊防御:13
◇◇◇◇◇
理力防鎧の魔力鎧が一瞬で、無くなった……
ドラゴンは悠然と佇んでいる。まだ何のダメージも受けていない。
くそっ、どうする?どうする?
逃げるか?いや駄目だ。こんな怪物放置しておくことはできない。何とかしないと……
先ずは理力防鎧を掛け直すか?一撃で剥がされたし……
いや!
守ってるだけじゃ駄目だ!
攻めるんだ!
俺はドラゴンを睨み付けた。