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Theゴブリン退治。

「助けて!」


そう言って俺たちの土古路へ走ってきたのはぼろぼろの身なりで血まで流している、領地の農民だった。

ここまで必死に走ってきたのか、行きも絶え絶えで汗だくだった。


「ああ、良かった! 若殿様! どうかお助けください!」

「一体どうしましたの」


腰が抜けてへたりこんだままのアンナさんが表情だけキリッとさせて尋ねた。


「私はここをずっと行ったところの村に住む者です。村が、村がゴブリンの群れに襲われたのです!」

「なんだって!」

「私たちも戦いましたが数が多くて、押されてしまいました。何とかここまで走って逃げてきたんです!お願いします!村を助けてください!私の家族もいるんです!」


すがりついて助けを求める農民。


タイファ家の領地は辺境で、度々モンスターの襲撃に悩まされている。ただ、領主達には悩まされている、で済むことも実際襲われる立場の農民達にとっては生きるか死ぬかの大問題だ。


言うまでもなくない俺の答えは一つに決まっている。


「事態は分かりました。若様、至急城まで戻って、旦那様に救援軍の派遣をもとめましょう」

「いや、それじゃあ遅すぎる」

「え?」

「俺が助けにいく」

「若様!それは駄目です!危険です!」


アンナさんは腰を無理矢理押さえて立とうとする。ガクガクしていてウマレタテノ小鹿みたいだ。


「大丈夫。さっきの魔法見たでしょう」

「でも」

「いいから。アンナさんは農民の彼と城に戻って、父さんに伝えて。じゃあ俺、行くから!」

「若様!」


俺はアンナさんの声を背後に村のある方向へと駆け出した。




金剛体力マックスアップで強化した肉体で走っているから、まるで風のように速い。

自分でも驚くくらいに、あっという間に先へ進む。車で飛ばすよりずっと速いだろう。


襲われているという村まで辿り着くのに数分もかからなかった。村からはけむりが上がっていて、悲鳴や物の壊れる音が聞こえる。


村の外れまで達した所で全景が見えた。


「くそっ……何てこった!」


村は壊滅状態だった。

至るところに火が付いていて、作物や畑は荒らされ放題。何人も人が倒れて、呻いている。

そして村中でゴブリンが暴れていた。三十匹はいるだろうか。


ゴブリンは低級の魔物だが、群れで襲い掛かってくる略奪者だ。文化や文明はなく、略奪を生業としている。

武器は粗雑な弓矢や槍だ。単体では大したことはないが大勢で来るので、辺境の集落などでは脅威になる。



一応、ステータス確認しておこう。


……


あれ?

見れないな。モンスターは確認できないのかな?

まあ、探査(ディテクト)の方では真っ青だから問題はない。


「ギャッギャッ!来イ!女ハコッチダ!」

「いやあ!止めて!助けて!」

「暴レテモ無駄ダ!」


年端もいかない娘がゴブリンに捕まり引き摺られている。

今すぐ助けなくては!


「待て!その子から手を離せ!」


俺は叫んだ。身体強化の影響で声も大きい。

村中のゴブリン達がこちらを向く。


「何ダ、アイツハ!邪魔スルナ!オイ、ヤッチマエ!」

「ギャッギャッ!」


一匹のゴブリンが俺に矢を放った。雑な作りの矢だが、十分殺傷力がある。

でも、俺は避けなかった。


コンッ


矢は俺の体にあたってもそのまま弾かれた。金剛体力マックスアップで強化した肉体はその程度では痛くも痒くもない。


「この始末の責任はとって貰うぞ、ゴブリンども!」

「「ギャッギャッ!」」


ゴブリンは略奪を辞め、手に武器を持ってこちらへ向かってきた。

三十人もいるんじゃチマチマ倒すのは非効率的だ。一気にケリをつけてやる!


束縛鎖(チェインジェイル)!」


呪文と共に地面から何本もの鎖が生え、ゴブリン達に巻き付いた。一本一本が腕ほどの太さがある魔法の鎖。


「ギャッ!何ダコレ!」

「トレナイゾ!」


ゴブリンの腕力ごときでこの縛鎖は千切れない。三十匹のゴブリン全員がその場に縛り付けられた。


「止めだ!光刺矢エナジーアローレイ!」


今度は光の矢が俺の頭上に浮き上がり、ゴブリンに向かって放たれた。雨のようにゴブリン達に何本も降り注ぐ。


「ギャアッ!」「グワア!」


ゴブリンは残らず光の矢に射られた。もう動いているゴブリンはいない。

討伐終了だ。


「よし!勝った!」


俺は倒したゴブリンをそのままに倒れている村人の素へ駆け寄った。

まだ生きていれば治療所出来る。治癒魔法で何とか出来る。


「……」

村人は傷だらけの血塗れで、息をしているのかしていないのか分からない。。


◇◇◇

村人A

体力:1

◇◇◇


よし!まだ生きてるぞ!助けられる!

俺は村人に近寄り呪文を唱えた。


超回復ハイキュア!」


キラキラとした柔らかな光が村人を包む。見る見る内に傷がふさがり、顔色が良くなっていく。


「うーん……あ、あれ?痛くない?」

「うわーん、お父さん!」


さっきゴブリンに引き摺られていた女の子が治った村人に駆け寄った。


「殿様、ありがとうございます!」

「助けて下さったのですね!ありがとうございます!」


二人は泣いて、笑っていた。


「どういたしまして!それより他の人を助けてくるよ!」


―――

――


村人は全員無事に助かった。

ゴブリンの武器が粗雑だったお陰でボロボロにされてもギリギリ死なずに済んでいたのだ。死んでさえいなければ超回復ハイキュアで治癒出来る。



城から父さんやアンナさんたちが駆けつけた時にはもう全て解決していた。

ただ、「危ない事をするな!」と凄い怒られた。


でも、万事解決!やっぱり魔法って凄い!

あの神野郎も鳥渡は良いことするじゃん!って思った。

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