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ユウナとネコさんたちの異世界生活  作者: 藍
第4章 ユウナと天使ネコさんと幽霊屋敷
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第5話 ユウナと天使ネコさんと幽霊屋敷(後編)

「でも、なぜ街の有力者の方が冒険者ギルドへ『依頼』をするのではなく、ノーラさんへ『お願い』をするのですか?」


 私は幽霊屋敷からある物品を取ってくるというノーラさんがされた『お願い』を受けることにしました。正確にはノーラさんは冒険者ギルドの職員という立場上その『お願い』を受けれないので、『お願い』されたノーラさんからの『お願い』を受けることになったと言いましょうか。ちょっと、わかりにくいですね。


「実は『お願い』をしてきたAさんとは、私の叔父様なんですよ」


「えっ!!街の有職者が叔父さん…ということはまさか、ノーラさんの親も街の有力者なのですか?」


 ゴレットさんとのイザコザの時にラルフさんから有力者についての説明を受けました。有力者とは、私たちが滞在しているカーヤの街が自治運営が認められた後に、領主との関係の悪化を防ぐために迎え入れられた領主の親戚筋の人たちだと。つまりノーラさんが有力者の姪であるならその親ももちろん領主の親戚筋なので、その可能性があるということです。


「いえ、違いますよ。私のお父様はカーヤの街には訪れずにそのまま貴族をしています」


「そうですか。でも、ノーラさんは貴族の御令嬢なのですね」


「えぇ、貴族の御令嬢です、ふふふっ。ただ、頭に貧乏が付きますが」


 どうやらノーラさんの親は街の有力者ではないようですね。でも、よくよく考えると不穏な単語が…お父様が貴族ということは…。


「…えーと…叔父様の『お願い』を断るという無礼をはたらいた私は打ち首獄門ですか?」


「うちくびごくもん…?」


「?あっ、えーと、不敬罪でギロチンですか?」


「ユウナさんたらっ、私にそんな力はないですよ。さっきも言いましたが貧乏貴族の御令嬢です」


「そうなんですか?」


「そうです。私の家は領主の遠い親戚筋なんですよ。田舎の没落貴族といったところでしょうか。私は末っ子なので政略結婚をさせられることもなく、自立するためにカーヤの街の有力者である叔父様を頼って就職したくらいですから。ちなみに叔父様は商業の才能があったので、有力者に抜擢されたそうです。あっ、話がそれてしまいましたね。叔父様には本当にお世話になっているので、今回のお願いについてぜひ力になりたいのです。ユウナさんが引き受けてくれて本当に助かりました」


「いえ、私たちもノーラさんには非常にお世話になっているので力になれてうれしいです。…1回断りましたが…」


「ふふふっ。気にしないで下さい。本当にありがとうございます」


「それでは『お願い』の具体的な内容を教えてくれますか?」


「わかりました。それでは資料などを取ってきますから少し待っていてください」


 ノーラさんが会議室から出て行きました。


「うーん、凄いことに参加することになりましたね」


「にゃきゅっと」


 私は抱っこしていた天使ネコさんを元の椅子の上に降ろします。ルゥちゃんの家だと机の上に座らせてもらいましたが、今回はネコさんたちはノーラさんの顔が見える位置に椅子を後ろに下げて座っていました。ネコさん1人の時は私が抱っこしていましたが、流石に3人だと難しいですからね。


「では、場所の説明からしますね。幽霊屋敷はここです」


 ノーラさんは街のパンフレットを取出し幽霊屋敷の場所を指差します。カーヤの街はメインストリートが東西と南北に十字に伸びていて、街を取り囲んでいる壁と合わせて漢字の『田』のようになっています。どうやら幽霊屋敷は『田』の字の左下の角付近の位置にあるようです。


「幽霊屋敷は南西の壁のすみ付近にあります。見ればすぐにわかりますよ」


「何か特徴のある屋敷なのですか?」


「幽霊屋敷という名称ですが先ほども言ったようにゴーストが警備していることが名づけの理由です。それはゴーストの警備のことを知っている人たちの名付けた理由です。ですが、そのことを知らない街の住人たちも普通に幽霊屋敷と呼んでいます。その理由は外観にあります。街中なのですが敷地は広く、大きな庭があって、フェンスに囲まれています。その庭には屋敷を取り囲むように大きな木が植えられていて、フェンスの外からは薄暗くて屋敷は見えにくく、まるで童話に出てくる幽霊屋敷をイメージさせるのです」


「そうだったのですか」


 カーヤの街で暮らすようになってから街の散策をしましたが、メインストリート付近ばかりです。壁際まで歩いたことはないので、幽霊屋敷のような変わった住居があるなんて知りませんでした。


「他にも屋敷がある日突然幽霊のように現れたという噂話もあるんですよ。これでは幽霊屋敷ではなくて屋敷の幽霊ですね」


「本当ですか?」


「にゃきゅきゅ?」


「ふふふっ、あくまで噂話です。それでは、鍵をお渡しします。ただ鍵と言っても変わった形状なのですが」


「えっ!?」


 ノーラさんが取り出した鍵を見て私は驚きの声を上げました。これって…カードキー?


「やっぱり変わっていますよね。このカードを門扉にある箱に近づけると門の錠が開きます。屋敷の扉も同様です。変わった技術ですよね。あっ、一応予備の鍵はもう1つあるそうなのですが、紛失や破損には気を付けて下さいね」


「はっ、はい。わかりました」


 ノーラさんから鍵…カードキーを受け取ります。カードキーはコンビニなどで使われるポイントカードと同じくらいの大きさなのですが…。


「なんで日本語なんですか!?」


 カードキーの表面には『セキュリティーカードキー』と日本語で書かれています。


「ユウナさん、どうしたんですか?」


「あっ、いえ、何でもありません」


 異世界で渡されたアイテムに日本語が書かれていて驚いてしまいました。でもこれって…、とりあえず考察は後にしましょう。


「えっと、お預かりします。あのところで、屋敷に入った後なのですが、ゴーストとの戦闘で屋敷に被害が出たら私たちが修理費を出さないといけないのでしょうか?」


「その件はご安心ください。屋敷には被害が出ませんから」


「被害が出ない?」


「はい。後で説明しようと思っていましたが、屋敷に入るとすぐに転移されるそうです」


「てっ転移ですか!?」


「はい、転移です。転移先にゴーストが待ち受けていて全滅をさせればいいそうです。ゴーストを全滅させると屋敷内に戻され、大きなダメージを受けたりあきらめる意思を示すと屋敷の外に戻してくれるそうなのです」


「えっと、転移させる技術があるのならそのような回りくどいことをしなくても、不法侵入があれば直ぐにどこかへ転移させるだけでいいと思うのですが」


「そうですね。叔父様から説明を受けた時には私も疑問に思い質問しました。叔父様が言うには、所有者の方の趣味嗜好によるものだから仕方がないそうです」


「そ、そうですか」


 なんだかゲームのイベントみたいですね。


「だから、屋敷への被害は気にせずに全力で戦ってください。それでは次に屋敷から取ってきてもらう物ですが、書斎の机の上に置いてある書類だそうです」


「書類ですか。えっと、どの書類を取ってくればいいのですか?」


「叔父様が言うには、机の上には書類の入った封筒が1つ置かれているそうです。それを取ってきてほしいそうですよ」


「ずいぶん、準備万端なのですね」


「えぇ、屋敷の所有者の方はたいそうな知識人だったそうで、叔父様はカーヤの街について相談をしていました。所有者の方は体調をくずされてからは今後カーヤの街に起こるであろう問題を予測して、参考にすべきアドバイスを書類にまとめて用意してくれていたそうです。ただ、事前にいろいろな知識を与えても、それが元で混乱が生じる可能性があるため、実際に問題が起こってから書類を見るようにと言われたと叔父様は言っていました」


「ということは現在カーヤの街に問題があるのですか?」


「具体的な内容は教えてくれませんでしたが、問題は起こっているみたいですね。だからこそ、私は叔父様への恩を除いても『お願い』を速く達成したいと考えています」


「わかりました。それでは幽霊屋敷に向かいます」


「お願いします、ユウナさん。あと、『お願い』の内容を先に言ってしまって、本当にごめんなさい」


「大丈夫ですよ、ノーラさん。今回の件はノーラさんにとって叔父さんへの恩返しでもあるように、私とネコさんたちがノーラさんにお世話になっていることへの恩返しと思って下さい」


「にゃふっと」


「にゃむっと」


「にゃきゅっと」


「みなさん…本当にありがとうございます。でも、お願いしている立場で説得力がないかもしれませんが、無理だけはしないで下さい」


「ありがとうございます。でも、みんながいるから大丈夫です」


 ネコさんたちを見ると力強く肯いてくれました。


▽▽▽


 私たちは準備のために『猫のしっぽ亭』に戻ってきました。ついでに、受付をしていた店主のロイさんに天使ネコさんの宿泊の追加を伝えて料金を支払います。


「さて、着替えも済みました」


 先ほどまではセーラー服だったので、東の森に行く時に買った服装に変更しました。今はみんなでベッドの上に座って作戦会議を始める所です。


「これから幽霊屋敷に行きますが、ネコさんたちはゴーストとの戦闘経験はありますか?」


「にゃふっと」


「にゃむっと」


「にゅきゅっと」


 おー、全員が万歳をして肯定します。ネコさんたちは意外と戦闘にゃんこなんですね。


「これは心強いですね。では、ゴーストへの攻撃は天使ネコさんの【セイント】が有効みたいですが、ネコさんとエルフネコさんの魔爪と魔弓は有効でしょうか?」


「にゃふふ」


「にゃむむ」


 ネコさんとエルフネコさんは首を横に振ります。


「攻撃が無効化されるのですか?」


 この質問にも2人は首を横に振りました。どうやら、威力が減少するみたいですが、流石は魔力により作られた武器攻撃です。


「それでは、攻撃は天使ネコさんと私が担当しましょう。メインアタッカーは【セイント】の使える天使ネコさんです」


「にゃきゅっと」


「ネコさんとエルフネコさんは警戒と、状況に応じて魔爪と魔弓によるけん制をお願いします」


「にゃふっと」


「にゃむっと」


「ゴースト攻略はこれでいいと思います。あとはこれですね」


 私はノーラさんから預かったカードキーをベッドの上に置きます。すると、ネコさんが物珍しげに見ながらペシペシと軽く叩いています。


「実はこのカードには私が暮らしていた国…日本で使われている文字がかかれています」


「にゃふふ?」


 高校の家庭科部で使用する教室もカードキーで施解錠するようになっていました。読み取り機にカードをかざすことで錠の開け閉めができます。これはノーラさんの説明と同じですね。


「私が転移してきた時にはセーラー服やスマホに自転車など地球の物品が一緒に送られていました。この日本の言葉が書かれたカードキーがあるということは、私以外にも日本から転移してきた人がいて、このカーヤの街で暮らしていたということでしょうか?」


「にゃふっと。にゃふふ~、にゃふっと」


「にゃむむ、にゃむ」


「にゃきゅにゃきゅ」


 私の問いかけにネコさんたちは各々の意見を述べているようです。ネコさんたちの考察についても確認したいのですが、今は早く出発したほうがいいと思います。重要なことだけ質問してみましょう。


「今まで質問していなかったのですが、ネコさんたちは私以外に異世界から転移していた人がいたことや、異世界からの転移という現象をあるということを知っていますか?」


「にゃふっと」


「にゃむむ」


「にゃきゅきゅ」


 私の質問にエルフネコさんと天使ネコさんは首を横に振り、ネコさんだけが肯定するように頷きました。


「そうですか。私以外にも異世界転移の可能性があるということですね。今は時間がないので、ネコさん、また帰ってきてから話を聞かせて下さいね」


「にゃふっと」


「それでは、すぐに幽霊屋敷に向かいましょう」


「にゃきゅっと」


「にゃむっと」


「にゃふっと」


▽▽▽


「えっと、ここが『幽霊屋敷』ですか」


「にゃむむ」



「とにかく、入っていきましょう」


 正面の門は横幅が自動車が2台位行き来できるほどの幅で、左右へ横開きにスライドする構造のものです。その正面右横に人が出入りするための扉があります。その扉の横にカードキーの読み取り機が設置されていました。


「ネコさんここにカードを近づけて下さい」


 ネコさんが宿屋でカードキー興味深そうに見ていたので、カードキーを渡してから抱っこして読み取り機の前に近づけてあげます。


 ピッ。ガチャ。


 ネコさんが近づけたカードキーを読み取ったようで、門扉の扉が解錠されました。


「やっぱり、学校で使ったカードリーダーと似たものですね」


 敷地内には門から家まできれいに均された道があり、その両脇には木が等間隔で植えられています。ただ、手入れがなされていないので枝や葉が伸び放題になっているため薄暗く、これが幽霊屋敷と呼ばれる原因となっているようです。敷地内ということで念のため警戒しながら玄関へと進みましたが、ゴーストは襲ってきませんでした。やはり、転移先にしかゴーストは配置されていないのでしょう。


「えっ?これって日本の住宅?」


「にゃふふ?」


 幽霊屋敷の全容が見えてきたのですが、これは住宅メーカーのテレビコマーシャルに出てくるような2階建ての住宅じゃないですか。あっ、屋根には太陽光発電のパネルが載っています。私は思わず幽霊屋敷…住宅に駆け寄り周囲を観察しました。雨戸が閉まっていて中の様子はわかりませんが、間違いなく日本にあるような建物です。


「カードキーといい、住宅といい、やっぱり私以外にも転移者が…」


「にゃきゅきゅ?」


「あっ、すみません。えっと、今はノーラさんの『お願い』に集中しましょう」


 とりあえず、深呼吸をして気持ちを落ち着かせます。すると、ネコさんたちも私の真似をして深呼吸していました。可愛らしいですね。


「では、屋敷の中に入りますが、転移直後にゴーストが襲い掛かってくるかもしれません。準備はいいですか?」


 私の言葉にネコさんたちは魔力の武器を構えました。天使ネコさんが取り出したのは魔杖まじょうです。


 『魔杖まじょうの才能』

  魔力を物質変換して杖を造ることができる。変換した魔力量により打撃力や魔法の威力が変化する。変換する魔力の性質により属性攻撃が可能になる。


 今度は私がカードキーで解錠して、杖を構えます。そして扉を開きました。


「きゃっ」


 扉を開けると視界が光に染まり、思わず目をつぶってしまいました。


「だっ、大丈夫ですか?」


「にゃきゅっと」


「にゃふっと」


「にゃむっと」


 私の呼びかけにネコさんたちが返事してくれます。どうやら、離れ離れにはなっていないようです。目を開けて少しすると視力が戻ってきました。


「ここは…洞窟ですか?」


 ノーラさんの事前説明の通り転移したようで、私たちが立っていたのは洞窟の中のようです。広さは学校の体育館くらいでしょうか。天井に光の球体が浮かんでいるので暗くなく視界は良好です。


「ここでゴーストを倒せばいいのですね」


「エルフネコさん、何か気配はありますか?」


「にゃむむ」


 エルフネコさんはぐるりと回り、エルフ耳をぴくぴくと動かした後に首を横に振りました。まだ、ゴーストは出現していないようです。


「にゃふっと」


 ネコさんの鳴き声に振り向くと、空中に小さな光の玉が浮かんでいます。光の玉を見ていると突如動き出し、その軌跡が文字になって浮かび上がってきました。ネコさんたちは文字の読み書きができないので、読み上げることにします。


「えっと、『クエスト:屋敷への帰還』『勝利条件:ゴーストの全滅』?」


 何ですか、これは!?ゲームですか!!所有者の方はやはりゲーム感覚でこの転移トラップを作ったのではないでしょうか。


「『敗北条件:誰か1人が大ダメージを負う』『リタイア:敗北を認めて屋敷外への脱出を宣言する』」


 やっぱり、ゲームですね。でも、ノーラさんの説明と一致していたので、予定通り天使ネコさんメインでゴーストを倒せばいいので安心しました。


「あれっ、続きがあるようですね」


 てっきり、リタイア方法が書かれたので終わったと思いましたが、まだ光の玉は動いて文字を描いています。


「えっと、『完全勝利』…えっ!!これって日本語!?」


 先ほどまでの文字はこの世界の文字でした。それを『言語理解の加護』により読み上げていたのですが、『完全勝利』は間違いなく漢字で描かれているのです。


「『完全勝利条件:帽子をかぶったゴースト以外を3分以内に全滅』」


 これって日本語がわからないと完全勝利することなんてできないじゃないですか!?…それとも侵入した人物に応じて文字を変える?いえ、それならすべて日本語になるはず。それにネコさんたちみたいに文字が読めない種族がいたら…そもそも侵入者対策のトラップだから説明がわからなかったというクレーム自体がナンセンスですね。だったら、やはり完全勝利条件が日本語で描かれているのがデフォルトで、このトラップを設置した屋敷の所有者は日本人もしくは日本語のわかる外国人ということでしょうか。


「ネコさん、エルフネコさん、天使ネコさん。今読み上げた通り、帽子をかぶったゴーストには攻撃しないでください。その他のゴーストが出てきたら速攻で倒していきましょう」


 私の指示にみんなが頷いてくれました。完全勝利が何なのかわかりませんが、この世界にない日本語でわざわざ書かれていたので、試してみて損はないはずです。


「にゃむっと!!」


 エルフネコさんが鋭い鳴き声をあげました。すると、正面の空中に陽炎のような揺らめきが生じます。


「これがゴースト…」


 陽炎は球の形を成して、青く燃える人魂のようになりました。人魂には黒点のような穴が3つあり、目と口のように見えます。


「【にゃきゅきゅと】」


 どうやら天使ネコさんが魔法を唱えたようです。ゴーストへと伸ばした杖の先が光ったかと思うと、ゴーストが白い光に包まれます。


「ぐぎゃー!!」


 光に包まれたゴーストは断末魔をあげて消滅しました。


「すっ、すごいです。一撃ですね、天使ネコさん」


「にゃきゅっと」


 1体目のゴーストが消滅するとすぐに2つ3つと陽炎が生じてきました。


「にゃむっと!!」


 エルフネコさんが鳴いて指し示したゴーストは帽子をかぶっています。あれが倒してはいけないゴーストですね。


「みんな、あのゴーストを攻撃しないでください。あと、帽子をかぶったゴーストはあの1体だけとは限りませんから、攻撃前の確認をお願いします」


「にゃきゅっと」


▽▽▽


 私たちは今幽霊屋敷の玄関に立っています。


「天使ネコさんって強いのですね」


「にゃきゅっと」


 天使ネコさんはあの後、サーチ・アンド・デストロイで帽子をかぶっていないゴーストを殲滅していきました。正直、私とネコさんとエルフネコさんの出る幕はありませんでした。せっかく『女神の魔眼の加護(小)』を手に入れたのに…。ゴホンッ、ちなみにボスキャラのようなゴーストは出現せずに、10体目くらいのゴーストを倒すと光の玉が『完全勝利条件達成』と日本語で文字を描き、光に包まれて今の玄関に戻っていました。


「それでは書斎に行きましょうか。書類を持って帰って『お願い』は終了です」


「にゃふっと」


 玄関から廊下へと上がるときには悩みましたがブーツは脱ぎました。明らかに日本の住宅で靴箱が設置されていたからです。それとゴーストとの戦闘はないはずですから。


 各部屋を確認していくと書斎は2階にあり、机の上に置かれていた書類を無事に見つけることができました。できましたが…。


「『完全勝利条件達成者へのプレゼント』」


 目的の書類の横にもう1つの封筒があり、今読み上げた文字が日本語で書かれていました。


「とりあえず、書類と一緒に持って帰りましょうか」


「にゃふっと」


「にゃきゅっと」


「にゃむっと」


 今日1日を思い出すとザインとの不意な戦闘に、天使ネコさんの合流、そしてノーラさんの『お願い』となかなか濃い内容でした。腕時計を見るともう夕方の6時過ぎです。ノーラさんに書類を届けて、天使ネコさんの歓迎会兼ねた夕食にしてゆっくりと眠ることにしましょうか。

お読みいただきありがとうございます。

次話から『第5章 ユウナとドワーフネコさんと街の孤児院』を開始します。

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