第5話 ユウナとエルフネコさんの採取クエスト(後編)
「痛いっ。どうしたんですかネコさん?」
「にゃふ、にゃふ」
「ユウナ、大丈夫か?すぐに立ち上がるんだ」
えっ、何でしょう?わけがわからないまま立ち上がります。ふと、さっきまで立っていた地面を見ると大きく抉れており、水がまき散らされています。
「これって水魔法?」
「ユウナの死角から飛んできた。敵はまだいるようだ」
「水魔法の【アクア】だったよ。それでこの威力だから、多分【ブラックミスト】を使ってゴブリンたちの気配を断っていた張本人だよ、きっと」
「やっぱり、魔法を使えるゴブリンがいたのですか?」
「トップであるゴブリンキングが倒されるのを配下のゴブリンが黙ってみていることは無いはずだから、ゴブリンじゃないと思うんだけど…」
「ミラ、横だ!!」
「えっ?きゃー」
ラルフさんの声に反応したミラさんが大斧を盾に水魔法を受けとめましたが、その威力に吹き飛ばされます。ゴブリンキングの一太刀を受けとめるほどのミラさんを吹き飛ばすなんて、どれだけの魔法威力なのでしょうか?
「大丈夫か?」
「うっ、うん。平気だよ。それにしても目視するまで攻撃に気づかないなんてやっかいな魔法だね。あと何処から魔法を飛ばしているの?ユウナちゃんを狙った方向と真逆じゃない」
水魔法もナイフや矢のように、目視されるまでその気配は感じれれないようです。
「とにかく、次に魔法が放たれた時に速攻で魔法が飛んできた方向に攻め入るしかないな」
「なら、私が魔法を放ちましょうか?」
「いや、相手がすぐに移動を開始している可能性があるから、僕が攻め入るよ。気配は消せても音までは消せないから、移動されていても、魔法よりは追いかけれる可能性が高いと思う。すまないが、ミラは魔法を受けてくれ」
「仕方ないね。今日の夕食はラルフの奢りだよ。もちろん、ユウナちゃんとネコちゃんの分もね」
「はははっ、わかったよ。楽しいディナーにしようか。さて、気合を入れよう」
ラルフさんとミラさんが武器を構え、警戒します。ネコさんもくるくると回り周囲を見回していますね。私も念の為に風魔法をいつでも放てるように集中しておきます。
「来た!!」
「来たよ!!」
えっ?2人の声に左右に顔を向けると、水球が2方向から飛んできています。1つはミラさんが先ほどと同じように受け止め、残りの1つはラルフさんが剣で切り捨てることで水に戻しました。
私はラルフさんが即座に動けないことを確認して、【ウインド】をラルフさんへの攻撃があった方に放ちます。
「ぎぃ!!」
「あっ当たりました。えっ、あれってゴブリンキング!?」
私の放った風魔法が何もない空間にあたると、耳障りな声が発せられたかと思うと霧がはれるように魔物の体が現れました。その体は先ほどミラさんが倒したはずのゴブリンキングです。
「そういうことか。ミラ、攻撃しろ!!」
「【ワイルドスロー】」
ミラさんが右手に持っている大斧を投擲します。今回の投擲は、ゴブリンへ放った一撃とは比べ物にならないほどの速さと威力を持ったスキルによる攻撃です。
パシャッ。
「ちっ。【アクアミラージュ】か」
ミラさんの投擲を受けてゴブリンキングは、はじけ飛び水へと変わりました。
「ラルフさん、どういうことですか!?」
「ユウナ、この東の森にはゴブリンキングの群れはそもそも2つ存在したんだ。大剣のゴブリンキングの群れと、水魔法が使えるゴブリンキングの群れだ。その2つが遭遇して戦った結果、魔法のゴブリンキングが勝利して負けた大剣のゴブリンキングが配下に治められたんだ。手下のゴブリンが20匹位しかいなかったのは勢力争いで手下のゴブリンの数が減ったことが理由なんだと思う」
「大剣のゴブリンキングを見てわかるように突然変異種って基本的に強いんだよ。だから、魔法を使えるゴブリンキングなら魔法威力が桁違いでも頷けるよ。【ブラックミスト】でゴブリンたちの気配どころか、矢と水魔法の気配すら消していたんだ」
「あの、水球が2方向から飛んできたのは、ゴブリンキングの他にもう1匹いるということですか?」
「いや、あれはゴブリンキングが放った2つの魔法だ。ゴレットも事前に魔法を発動させて待機させておき、同時に複数を放つことができたんだ。それと同じ方法を使ったんだろう」
「別に、ゴレットに比べたら2つなんて大したことないんだからね」
ミラさんがここでもツンデレ発言をします。どうやら、ゴレットさんのことを評価しているみたいです。
「とにかく、2匹目のゴブリンキングを倒さないと、僕たちはこの場から離れられそうもない」
「ボクがピスケスをぶん回してこの周辺をぶっ壊そうか。そしたらゴブリンキングも倒せるかもしれないし」
「ピスケス?」
「ピスケスってこの大斧の名前だよ。リボンで結ばれた双魚を意味する古代語らしいんだ」
ピスケスといえば黄道十二星座の双魚宮―うお座のはずです。親子が川に身を投げる時に離れ離れにならないようにリボンで足を結んで、魚に変わったというエピソードがあった気がします。確かに、光の鎖に繋がれた2つの大斧はうお座をイメージさせます。でも、これって地球の情報がこの世界に入ってきているということですよね。
「それはダメだな。敵に当たる前にミラが迎撃されてしまう。ゴブリンキングを的確に遠距離攻撃で狙撃するか、広範囲の遠距離攻撃か、犠牲を覚悟で退却するしかない」
ネコさんとラルフさんでは、近接攻撃のため攻撃が成立しません。ミラさんが提案したピスケスの攻撃方法だと砲丸投げの選手のように自分を中心にぐるぐると大斧を回すと攻撃範囲は広くなりますが、私たちが邪魔になってしまします。もちろん、私たちがしゃがんでいればピスケスは当たりませんが、ゴブリンキングもしゃがんでミラさんに水魔法を放てば終わりです。私の魔法とミラさんのピスケスの投擲の遠距離攻撃だと、そもそも存在を隠し変わり身が可能なゴブリンキングに確実に攻撃を当てるこが難しいためできません。
「何か良い方法はないのでしょうか?」
「にゃふっと」
ネコさんは手を上げます。
「ネコさん、何か手があるのですか?」
「にゃふっと」
ネコさんが頷き…叫びだしました。
「にゃふー!!にゃふー!!にゃふー!!」
「えっ、どうしたのですか、ネコさん!?」
「にゃむっと!!」
にゃむっと?
「え?」
「あれはネコちゃん?」
「何だ?」
ネコさんを除いた3人が驚いた声を上げます。声の方に顔を向けると木の上にもう1人のネコさんがいたのです。
▽▽▽
「にゃむっと」
2人目のネコさんが木の上から降りてきたあとに、とてとてと走ってきて、ネコさんとひしっとハグしています。
「えっと、ネコさんのお姉さんですか」
「にゃふっと」
ネコさんは万歳をして肯定しました。姉妹だけあって、基本的にネコさんと同じ体つきで、身長は60センチくらいの4頭身くらいの体型で、スコティッシュフォールドのように真ん丸な頭部とペチャっと頭に垂れている耳が特徴です。しかし、ネコさんは銀色の毛並ですがお姉さんはクリーム色ですね。そして、最大の特徴は頭部には肩にかかるほどの金髪?が生えており、垂れ耳とは別のエルフ耳があることです。うん、間違いなくエルフですね。姉妹なのに違いは何なんでしょうか?
「ネコさんのエルフ?エルフのようなネコさん?エルフネコさん…」
「にゃむ!?にゃむっと。にゃむっと!!」
「えっ、どうしたので…まさか!!ギルドカードを見せて下さい」
お姉さんからギルドカードを受け取ると、予想通りに名前がエルフネコになっていました。
「えーと、名前はエルフネコさんで良いのですか?」
「にゃむっと」
満面の笑みで頷かれました。私はまた同じ過ちを犯してしまったようです。…でも、ネコさんと同じで喜んでくれているから良いのかもしれませんね。
「えっと、ネコさんの良い方法というのはエルフネコさんのことですか?」
「にゃふっと」
「にゃむー」
エルフネコさんが一鳴きすると、光の弓が現れました。まだ、預かっていたギルドカードを見てみると【魔弓の才能】とあります。エルフネコさんにタップしてもらうと次のような説明が出てきました。
『魔弓の才能』
魔力を物質変換して弓を造ることができる。魔力を込めながら弦を引くと魔法の矢が現れ、魔力量により矢の威力は増減する。魔力の性質により属性攻撃が可能になる。
「さっき助けてくれたのはエルフネコさんだったのですね。ありがとうございます」
「にゃむっと」
「なるほど。確かに魔法の矢なら速度も速く、連射も可能なはず。確か、待機させておいた魔法からはある程度離れられるが最後に放つ魔法は手元からだから、ゴブリンキングへのカウンターを狙えるな」
なるほど、魔法を待機させておき自分は離れたところで隠れたまま魔法を放つことはできないのですね。少なくとも1発は自分の位置から放つことになると。
「ところで、先程から攻撃はありませんが、もしかして敵は逃げたのでしょうか?」
「いや確実にいるよ。多分、こちらの様子を窺いながら魔法で負った傷を自己再生で回復しているのだろう。大剣のゴブリンキングは多分【自己再生の才能(中)】だったが、ゴブリンキングは基本的に【自己再生の才能(小)】を持っているからはずだからね。それに、配下が全滅して僕らが安心する隙を狙う非道で狡猾な性格、そして奇襲を失敗した後も逃げなかったことから自分の力に自信を持っている証拠だろう。それに言いにくいが…ゴブリンは女性を襲って…その…」
「ゴブリンは女が産まれない種族なんだ。だから、別の種族の女を襲って子供を産ますんだ。ゴブリンキングは手下がいない状態だから、子孫繁栄と戦力強化を考えると、喉から手が出るほどボクとユウナちゃんが欲しいはずだよ。そう言いたかったんだよね、ラルフ」
「すまない。ユウナにはショッキングな内容だと思うが、それが理由で僕たち…いや、君たちを見逃すはずが無いんだ」
つまり、私とミラさんは…苗床…と思われているのですね。ショッキングな話を聞かされましが、自分でも意外ですが心は乱されていません。小説などで女性がゴブリンにそういう扱いを受けることを知っていたのもそうですが、ついさっきに命の危険を感じたための感情の高ぶりが原因ではないのかと思います。
「にゃふにゃー!!」「にゃむにゃー!!」
ネコさんとエルフネコさんが怒りの声を上げて、私を守るように抱き着いてきます。自分以上に怒ってくれる仲間…いえ、家族がいて私は幸せですね。ネコさんたちを守るためにも、私はゴブリンキングを倒さなければなりません。魔物を傷つけることに心を痛めていた私は、もういません。
「…そうですか。だったら、今もゴブリンキングは私たちを狙っているのですね」
「そうだ。だからこそ今、合流したネコさんのお姉さん―エルフネコさんだったかな?の魔弓が重要だ」
ゴブリンキングは女性である私とミラさんを目的としている。それはおぞましい行為の為…。それなら私1人になれば死なない程度の魔法しか放ってこないはず。そして合流してくれたエルフネコさんの魔弓はゴブリンキングを倒す切り札になっている。ふと、今まで見たことがある小説や漫画、アニメの作戦が思い浮かびました。その中で今の私たちの状況に必要な情報を組み合わせることで、ある作戦を思いついたのです。
「あの、1つ作戦を思いつきました。ミラさんとラルフさんはこの場から離れて下さい。ゴブリンキングは私とネコさん、そしてエルフネコさんで倒します」
「何を言っているの!?」
「そうだ。僕とミラがいなければ、危険度は増すぞ!?」
「ルゥちゃんに魔法の使いかたを教えて貰い、ラルフさんに実戦を見せて貰い、ミラさんに説明をして貰いました。そして、私にはネコさんとエルフネコさんという心強い家族がいます。それにもともと、私たちだけで魔物と戦う為の訓練をする予定でした。その予定が早まっただけにすぎません」
「急にどうしたんだ、ユウナ。確かにエルフネコさんが合流してくれて、戦力はアップしたがフルメンバーでも僕たちが不利なのは変わらないんだぞ」
「確かに不利ですが、ミラさんとラルフさんが離れると標的が私に決まります。それに偶然、2人がゴブリンキングを倒すことになるかも知れません」
「とにかく、詳しく説明してくれ。そうしないと僕たちは賛成することなどできないからな」
「はい、作戦はこうです」
私は4人に作戦の説明し簡単な実演をします。
▽▽▽
「確かにそれだとゴブリンキングを倒せると思うが他に方法もあるだろう?」
「はい。実は他の方法も思いついています。でも、私とネコさんたちで倒すことが、今後私たちのパーティーには必要なことだと思うのです」
「…わかった。破たんしている作戦なら認めることはできなかったが、これなら仕方ないな」
「…ユウナちゃんも今後魔物と戦うということについて向き合って、自分なりの答えを出したいんだね」
ラルフさんが私の作戦を認めてくれて、ミラさんが私の胸中を察してくれ、ゴーサインを出してくれました。
「やれやれ、魔法使いが参謀役を務めるのは多いけど、ユウナもゴレットと同じくらい状況を把握して立派な作戦を提案してくれたね」
「まぁ、良いんじゃない。ラルフはリーダーシップはあっても、作戦立案できるなんてキャラじゃないんだから。さっきもボクに窘められたくらいだからね」
「うっ」
ミラさんの言葉にラルフさんが下を向きます。あと、ゴレットさんがパーティーの参謀役だったのですね。確かに、いろいろな案を出しそうですが、私がゴレットさんと同じだなんて何となくやるせない気持ちです。
「では、ラルフさん、ミラさんお願いします。ネコさん、エルフネコさん任せましたよ」
私の言葉に4人が応えてくれ、行動を開始します。
まずは、ラルフさんとミラさんが走り出しました。仮にラルフさんが走り出した方角を北だとするとミラさんは真逆の南です。ラルフさんはこのゴブリンキングの性格を狡猾だといいました。先ほどミラさんのゴブリンの殲滅劇を見ているのなら、ミラさんは諦めて私を標的とするはずです。2人は何事も無く広場を出て森の奥へと走り去りました。
「…8…9…10…、2人への攻撃はありませんね」
広場から出て10秒経っても魔法攻撃はありませんでした。
「ネコさん、エルフネコさん。そろそろ攻撃が来ますよ」
「にゃふっと」
「にゃむっと」
私たちはお互いに背を向けて360度目視できる体勢を作っています。いくら気配が無くて、攻撃魔法を見逃すことは無いはずです。
「にゃむっと!!」
エルフネコさんがだけが声を上げました。つまり、1方向からだけの魔法攻撃です。
「いっけー!!【クレイ】【クレイ】【クレイ】【クレイ】!!」
私は待機させておいた土魔法【クレイ】を4発同時発射します。ルゥちゃんは私の魔法制御の能力を褒めてくれたので、魔法の待機ができると思ったのです。もちろん、ぶっつけ本番ではなくラルフさんたちに作戦説明をする時に小さな水魔法で待機可能か試していましたよ。
【クレイ】は固めた土塊を弾丸として飛ばす魔法です。最初に待機させていた【クレイ】にはありったけの魔力を込め威力を高めています。土塊の形も矢じりのように尖るようにイメージしました。残りの3発はそれなりの威力です。
バシッ。
1発目の【クレイ】が【アクア】に着弾します。両者の魔法は拮抗しているようで空中で押し合いをしています。そこへ残りの【クレイ】が当たります。金づちで釘を打つかのように、【アクア】へと最初の【クレイ】を押し込んでいきます。そして、4発目が当たり終わると…。
バシャッ。
【アクア】は弾け飛び周囲に水をまき散らしました。
「エルフネコさん!!」
私は魔力の使い過ぎから今までに感じたことが無い虚脱感に包まれますが、エルフネコさんに何とか指示を出します。
「にゃむっと。にゃむー!!」
エルフネコさんが魔弓を取出し、弦を引きます。すると、5本の魔法の矢がセットされました。
「にゃむむ、にゃむー」
ひゅん!!
5本同時に放ったにもかかわらず、魔法の矢は【アクア】が放たれた方向へと力強く飛んでいきます。そして…。
「ぎぃー!!」
私が風魔法を当てた時と同じように、耳障りな悲鳴が上がり、広場の淵にある木の陰からゴブリンキングが姿を現します。そこへ銀色の弾丸が駆けて行きます。ネコさんです。ネコさんはゴブリンキングへと飛び掛かり魔爪を伸ばした右手を振り下ろしました。しかし、ネコさんの小柄な身体では攻撃力が足りず、一撃で倒すことができてません。ゴブリンキングが暴れ出したことで、ネコさんは魔爪を消して退きます。決定打に欠ける私たちではゴブリンキングを倒すことはできないみたいです。
「ぎぃぎー!!」
傷を負ったことに怒り狂ったゴブリンキングは手近にいるネコさんに向けて手を伸ばします。手元に水球が生まれ【アクア】を放とうとしたところ…。
「【ワイルドスロー】」
ミラさんのピスケスの投擲により首を跳ね飛ばされました。
▽▽▽
作戦はこうです。まず、Aランク冒険者であるラルフさんとミラさんが逃げたようにします。弱者である私たちが残り、強者である2人が去ったのですから標的は私たちになるはずです。次にゴブリンキングの魔法攻撃を待ちます。私の生け捕りが目的ですから、魔法を2発も放たないはずなので【アクア】1発に対処できるように集中しておきます。魔法が放たれると私がそれを【クレイ】によって防ぎます。避けるという選択肢もあったのですが、私の運動能力の問題で諦め、魔法の威力を上げることに集中しました。魔法を防げたらエルフネコさんによる魔法の矢でのカウンターからのネコさんの近接攻撃です。私とネコさんの連携と同じですね。ここで敵を仕留めることが理想ですが、実際にはそうはならないだろうと考えていました。オーク並みだという巨体のゴブリンキングに対してアタッカーのネコさんの一撃で致命傷を与えることができるのか疑問だったのです。そこで、戦線離脱したように思わせたラルフさんとミラさんの出番です。2人には広場から森に入って10秒ほど走った場所で隠れて待機して貰うようにお願いしていたのです。そして私たちが戦闘を開始したら戻ってきて貰い、私たちで致命傷を与えることができないのなら倒して下さいと言っていました。ラルフさんはゴブリンキング相手に切り結ぶことができ、ミラさんは一撃で倒すことができるだけの力を持っています。魔法のゴブリンキングの厄介なところは気配をほぼ完全に消すことができることだけです。私たちと戦闘している状態のゴブリンキングなら2人にとっては弱い魔物でしかありません。残念ながら予想通りに致命傷を与えることができなかったので、代わりにミラさんが倒したというわけです。
「ユウナの作戦通りの結果に終わったな」
「でも、結局はラルフさんが魔法が放たれた場所に魔弓でカウンター攻撃をすると言っていたのと内容は同じですよ」
「ちゃんと役割分担を考えて、失敗した時の保険も用意しているでしょ。状況把握した理由付けもちゃんとしているから、ユウナちゃんが考えた立派な作戦だよ」
「ありがとうございます。でも、今回はエルフネコさんが来てくれて助かりました」
エルフネコさんの頭を撫でると、私もという風にネコさんが抱き着いてきました。2人の頭を撫でると本当に気持ちよさそうにしますね。
「でも結局、薬草の採取はできなかったね。ユウナちゃんが今回の件で嫌になってなかったら明日も来ようか?」
私たちの本当の目的は戦闘の訓練や魔物の討伐ではなくて、薬草の採取クエストでしたね。ゴブリンキングとの戦闘があったのですっかり忘れていました。
「にゃむ?」
「あっ、エルフネコさん、実は私とネコさんは薬草の採取クエストで生活費を稼ごうと考えていたのです。それでいろいろあってゴブリンキングに襲われているところにエルフネコさんが来て助けてくれたのです」
「にゃむっと。にゃむー、にゃむー、にゃむー…にゃむっと」
私の説明を聞くとエルフネコさんは周囲を見渡した後に、とてとてと森の方へ走って行きました。ネコさんもついていったので私たちも後を追います。
「にゃむっと」
「あっ、ミラさん、ラルフさん。薬草の採取クエスト達成しちゃいました」
エルフネコさんが立ち止まった場所には、多くの薬草が自生していたのです。
お読み頂きありがとうございました。日曜日に第3章を最後まで投稿するように書いておりましたが、仕事で予定が狂い4日遅れとなってしまいました。申し訳ありませんでした。




