7話
俺は忍をベンチに座らせた。
「葉乃っちは、今日はどうしたの?」
「みんなで買い物だよ。小夜さんと橘さんと妹の秋葉と俺で」
「おれも混ぜてもらおうかなー」
「大歓迎だ。ちょうど男が一人で寂しかったからさ」
忍がいれば今日はもっと賑やかになるな。
「ところで葉乃っちは、美人さんとどういう関係なの?」
美人さんって……たぶん橘さんのことか。
「橘さんとは友達の友達とかいう関係だよ」
「そっかー。葉乃っちは花崎さん一筋だもんね」
買い物を終えたのか先程の店の袋を手に下げている秋葉と橘さんと小夜さんが戻ってきた。
「おにい、たっだいま〜!ところで、この人は誰ですかな?」
「俺の友達の大槻忍だよ。前にも何回か話したことあるでしょ?」
忍はベンチから立ち上がり、秋葉に挨拶をする。
「大槻忍だよ。よろしくね、秋葉ちゃん」
「こちらこそ、いつもおにいがお世話になっています」
そこで、ぐううううと誰かのお腹の音が鳴った。
「ハノ!おなかすいた〜!なにかたべようよ!」
どうやら小夜さんのお腹が鳴ったみたいだ。
顔を真っ赤にしている小夜さんが見てわかる。
「じゃあ、みんなで昼食タイムにしようか」
みんなに告げると、小夜さんはとても喜んでくれた。
三階フードエリア。
小夜さんの希望で、某ハンバーガー店に入ることになった。
「いただきま〜す!」
早速ハンバーガーをパクリと小夜さんが食べる。
「もぐもぐ。んー、おいし〜い!」
「小夜さんが喜んでくれてよかったよ。俺も食べようっと 」
俺もハンバーガーを一口。
この店のハンバーガーはいつ食べても美味しい。
秋葉と小夜さんは俺の両隣で食べていて、橘さんと忍は向かいの席で食べている。
「ちなみに、美人さんはどこの高校なんですか?」
「橘美咲。昨日も言ったでしょ。高校は大槻くんたちの通うところの少し遠くの高校に通っているの」
「へえ、みんなとは高校違うんだ」
よかった。忍は橘さんとうまく話せているみたいだ。
「ところでさ、おにいは小夜さんと橘さんのどっちと付き合っているの?秋葉は気になっているのです」
「えっ!?」
忍たちも急に静かになってしまった。それでも小夜さんはポテトを食べている。
俺もハンバーガーが喉に詰まりそうになった。
「だって家にくるんだよ?そりゃ恋人じゃなきゃ普通来ないでしょ」
「いやいやいや。俺は付き合ったりとかまだしてないから。そういうのは早いっていうかさ……」
「まだっていうことは、好きな人がいるの?秋葉に教えてよ〜!」
俺は小夜さんが好きです。なんて、いまの小夜さんに伝えてもダメなんだよな……。
「そういう話は一旦やめよう!小夜さんも混ざれるような楽しい話でもみんなでしようよ!小夜さんもそっちの方がいいよね?」
「うん!わたしもたのしいほうがいいな!」
俺は強制的に秋葉の話を終わらせる。
高校生の小夜さんに戻る日はいつか来るのかな。