5話
四人用のテーブルに俺と忍、向かい側に小夜さんと橘さんと座る。
まず始めに切り出したのは橘さんだ。
「とりあえず、あなたは誰なの?」
橘さんと忍は、今日はじめて会った。
「大槻忍で、葉乃っちのクラスメイト兼親友です。んじゃ、次は美人さんの自己紹介だね」
「あたしは橘美咲。小夜とは小さい頃からの友達。以上よ」
橘さんは、心を開かないと冷たい人なんだよな。
俺と小夜さんには心を開いているので、とても優しいのだが、今思い出せば最初の頃は冷たかった……ような気がする。
「みーちゃん!ケーキ食べたいな!たのんでもいい?」
足をバタバタさせる小夜さんがメニューを見て橘さんにせがんでいる。
それを見た忍が俺に聞いてきた。
「もしかして、花崎さんってギャップある人なの?」
「いやー、いろいろと理由があって今からその話をするんだよ」
「そっかー。葉乃っち、頑張れ」
小夜さんは結局ケーキを頼み、数分後にやってきたショートケーキを無邪気に食べ始める。
あぁ食べている姿が可愛いよ。
可愛い小夜さんを見ていたら。
「お兄ちゃんもほしいの?じゃあ、あーん」
俺にケーキがのってるスプーンを差し出される。
「……あーん」
今日は最高の日だ。
徐々に近づく小夜さんのスプーンが、もう目の前に。
「ダメだよ。小夜」
「葉乃っち、ダメだよー。こんな目立つ場所でなんて」
橘さんは小夜さんを止めて、忍が俺を止めてきた。
せっかくの小夜さんのが……。
「下野くんはほっといて、大槻くんに事情を説明するわね。……小夜は食べ足りないなら頼んでいいよ」
その後、三十分ぐらいかけて忍に説明をした。
小夜さんについては30分ぐらいかけて話しを終えた。
「小夜についてはこれでいいよね。今日はあたしの家で泊まらせるけど、明日からは一回集まらないとダメだね」
小夜さんはケーキをお腹一杯食べて、いまは橘さんの肩に頭をのせてぐっすり寝ている。
「小夜さんは一人暮らしですからね。でも両親に会いたいとか思わないんですか? 一応小学生ですから会いたいはずです」
「葉乃っちに賛成だね」
「二人の気持ちもわかるけど、小夜の両親は海外に仕事でいまはいないんだよ。だからなるべく両親については触れないよう気を付けないと」
少し不安だけども、橘さんなら大丈夫。
「橘さん、じゃあ解散しましょう」
俺たちはそれぞれ自宅に帰り、そして一日が過ぎていった。