4話
「……小夜さん。俺の事を忘れちゃったんですか!?」
そんなことをいっても答えは見えている。
「うん。知らないよー。お兄ちゃんはだれー?」
複雑な気持ちが俺を支配してしまう。
そんな姿を見てか、俺の代わりに橘さんが答えてくれた。
「彼は下野葉乃くんだよ。ま、あたしの友達の友達かな?」
「じゃあ、わたしとも友達だね。よろしくねー」
新たに友達になれてよかった。
橘さんも俺の事を見て「よかったね」と耳打ちしてくれた。
「お姉ちゃんはみーちゃんなの?」
「簡単に言うと、未来のみーちゃんかな。で、ここが未来の世界だね」
未来といっても俺らにしたら過去の小夜さんが来たんだよね。
「ここで話すのも疲れたでしょ。とりあえずファミレスにでも行かないかな?」
「わたし、ケーキ食べるー」
「俺も賛成です」
小夜さんはすぐに橘さんと手を繋ぎ、近場のファミレスへと歩き出した。
その後を俺はついていくだけ。
歩いて数分のところのファミレス。
いまは高校生も学校で、店内はとても空いている。
が、何故か見知った後ろ姿に俺は気づいてしまった。
気づかれないように、声は出さないようにするが、
「小夜はどこに座る?」
「わたしはここがいい!」
無邪気な小学生のような声を出す小夜さんがいると、店内の客はチラチラと見てくる。
勿論、見知った人も……。
「あれ?葉乃っちー!それに花崎さんに、他校の美人さんも一緒ってどうしたの?」
「忍、これにはわけがたくさんあるわけだよ」
どうやら忍は一人でいたらしく、俺の隣に座ってきた。
こうして四人での話が始まった。




