2話
今日も昼休みの図書室に花崎さんはいた。
花崎さんの姿を見ると胸がざわつく。これが忍の言っていた恋なのか。
俺は隣に座る勇気がない。なので昨日の忍の席に座る。
丁度花崎さんとは、少し離れていて声が届く程度の距離である。
なにもしないでいるのも暇なので、お供に昨日の小説をパラパラと読んでいるふり。
いったいこの本何周したのかな?
そう思った、その時だった。
「ねぇ昨日もいたよね?」
離れた場所の花崎さんに声をかけられる。
「うん」
「下野葉乃くんでいいの?」
「そうだよ。花崎さん」
「なにしに来たの?本を読んでいたようには見えなかったから」
「えっ……」
驚いた。花崎さんが俺を気にしていたなんて。
それよりも、いまこの時に思いを伝えるのがチャンスだ。俺は男だ。緊張するなよ。
ゆっくりと口を開き、思いを述べる。
「花崎さんに会いに来たんだ」
「……」
花崎さんはジーッと俺のことを見るようになってしまった。
ヤバイぞ。これじゃまるでストーカー発言しているようなものじゃないか!
なんとかしなければ。
俺は必死に己のイメージを守るためにフォローできそうな言葉を探す。
「ち、違うんだ。ただ花崎さんと友達になりたいんだ」
「そう」
花崎さんは制服のポケットから紙をとりだし、何かを書いていく。
「はい、これ」
そう言って、その紙を渡してきた。
開くとメールアドレスと電話番号が書かれていた。
「いいの?これ渡しちゃって」
「だって友達になるんでしょ」
そして花崎さんは本を本棚へと戻し、そのまま図書室を出ていく。
そうか、昼休みはもう終わりだったな。急いで戻らないと。
俺も本をもとの場所にも戻し、花崎さんに続くように図書室を出ていった。