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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

特異課捜査ファイル

まだ見ぬ君を待つ〜特異課捜査ファイル番外編〜

作者:

これは以前書きました、嵐は突然に〜特異課捜査ファイル〜の番外編になります。

この短編を読む前にそちらを読むことをお勧めします。


 「沙紀君、残念だけど斎藤君が君とのバディを解消したいと申し出てきたよ」

 「そうですか、分りました。残念ですけど・・・・・・」

 沙紀の淡々とした態度に課長は、溜息をつく。

 「沙紀君。もう少しだけ、心を開いたらどうだい?でなければ、いつまでも同じことの繰り返しだ」

 「別に私はいつも通りにしているだけですけど。お話がそれだけなら失礼します」

 沙紀は、一礼すると部屋から出て行った。

 「また解消ですか?」

 「そうなんだよ、藤田君。今回は、長くもったほうだけどね」

 「そうですね、一ヶ月持ちましたから。課長、やっぱり私とバディを組んだほうがいいんじゃありません?」

 「それは駄目。確かに君となら仲も良いし、沙紀君もやりやすいだろう」

 「だったら・・・・・・・」

 「でも、それは甘やかしだ。私は沙紀君に色んな人とコミュニケーションを取れる人間になって欲しいんだ」

 「誰かいないかしら。真っ直ぐで素直で尚且つ優しい人間」

 「いるといいんだが・・・・・」

 課長が再度溜息をついた時、電話が鳴る。

 この電話が少女とある一人の青年の出会いをもたらすことになる。

 

 沙紀はいつものお説教が始まるのを感じ取り屋上へと逃げ込んだ。

 「別にバディなんか組まなくても大丈夫なんだけど」

 一人、屋上にたたずんだ沙紀は何度目かの溜息をつく。

 自分が極度の人見知りで人間不信な部分を持つことを誰よりも自覚している沙紀にとってバディを組み捜査を行うということは、かなりの難題だ。

 それでも今回は、今までよりかなり努力をしたほうだ。

 組んだ相手も自分と同じ年代の少年で自分から会話をすることも心がけてはみたのだ。

 だが、結果はこれだ。

 彼が何故解消を求めてきたかは分る。さすがに振られた人間と共に仕事を続けるというのはつらいことだろう。

 (仕事が出来なくなるって分るなら告白などしなければいいじゃない)

 そう沙紀は思った。

 沙紀は恋愛感情といものがよく分らなかった。

 多分、自分の中に人として何かかけている部分があるのだろう。

 昔の記憶がないというのはこんなにも人格形成などに影響をおよぼすものなのか?

 これまで幾度となく出て来た疑問がまた浮かぶ。

 両親が殺害されたと聞かされたけど記憶がないのであくまでひとごとのようにしか思えない。

 でも、そこは記憶が無くて救われている部分なのだろう。

 誰か、いないかな。こんなおかしい人間を受け入れてくれる度量が大きい人。

 沙紀は、屋上から見える青空に今まで何度となくしてきた願いごとをした。


 沙紀が本部に戻ると課長がにこにこと笑みを浮かべながら待っていた。

 (・・・・・・・・嫌な予感)

 「沙紀君。実は4月から一人、新人が配属されることになった。警察学校を卒業して直でうちに来る新人だ。沙紀君、教育係を頼むね」

 「課長!?無理です!あたしに教育係なんて・・・・・・・」

 「これは命令だよ」

 「う!・・・・・・・了解です」

 (現役のメンバーともバディを組めない人間にどうしろっていうのよ!!)

 沙紀は、心の中で絶叫した。


 しかし、やるからにはその任を真っ当しなければならない。

 沙紀は、色々考えた。

 警察学校から直で特異課に来るということはまったく現場を知らないということだ。

 だったら、マニュアルでもあれば役に立つかしら?

 (とにかく教育係など未知の世界だ、思いついたことをかたっぱしからやってみよう)

 そう決意した沙紀は、事件の捜査の合間をぬいながらマニュアルを作成したり、訓練メニューを考えたりと寝る間もおしんで準備をした。

 そしてあっという間に新人が来る日が来てしまった。

 その日、沙紀は小さな事件があり出動していた。本来なら今日は本部で新人が来るのを課長と待っているはずだったのに。

 (田丸の馬鹿!!あいつがドジ踏むからあたしが出動する羽目になったじゃない)

 仕事で失敗した同僚を恨みながら沙紀は本部へと全速力で走る。

 あまりに急いでいた為に前方をよく見ていなかった沙紀は、入口で一人の青年とぶつかる。

 「邪魔!!入口でボーっと突っ立ってるんじゃないわよ!」

 沙紀は、入口を塞いでいた人間にそれまでの苛立ちを含めて当たる。

 「すっ、すみません。お怪我はありませんか?」

 そこに立っていたのは、自分よりはるかに背の高い一人の青年だった。

 真面目そうな顔して、ぶつかったのは沙紀なのに沙紀のことを心配している。

 (・・・・・・いけない。こんなことしてる場合じゃない)

 沙紀は、入口からどくように促すと青年を無視して本部へと急ぐ。

 階段を半ば昇り切ったところで、先ほどの青年が声をかけてきた。

 (何よ!!急いでるのに!!)

 「この建物は、東京都警察本部・分室。特異能力犯罪捜査課でよろしいんでしょうか?」

 「・・・・・・・あなた誰?」

 「私は本日付で配属されました。大熊 大祐巡査であります」

 この思いもよらぬ出会いに動揺しながらも沙紀は、本部の場所をつげ先に本部へと急いだ。

 (どうしよう、どうしよう、どうしよう)

 一番始めの出会いが肝心だとそう思って色々シュミレーションしていたのに最悪な出会いをしてしまった。

 その後、課長から紹介された後もひどい態度を取ってしまう。

 皐月ちゃん達からはいつものさっちゃんでしょと言われてしまった。

 こうなっては仕方が無い、もうこのまま行くしかない!!


 こうして、特異課に新たなバディが誕生した。

 誰もがすぐ解消するだろうと思っていたバディだが、このバディはこれからいくつもの事件を解決していくことになる。


 


今回は沙紀の視点の出会いを書きました。

何分、勢いにまかせて書いた部分もあるのであたたかい目で読んでいただければと。

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