プロローグ
昔々、神様が創った世界が一つの大陸だった頃のお話です。
人々が平和に暮らしていた時に、紫色の悪魔は突然現れました。目も鼻も口も耳もないけれど、人間と同じ形をした、人間とは違う生き物です。
そんな悪魔が五体、大陸のあちこちで暴れまわりました。
悪魔の力は人間よりも強かったです。その力は、大陸を五つに割ってしまうほどでした。
悪魔の知能は人間よりも優れていました。その知能は、人間の言葉をすぐに理解するほどでした。
人間は悪魔たちを恐れ、逃げ回りました。それを、悪魔たちは楽しむように追い、襲い、食べてしまおうとしました。
神様は当然、そんな悪魔たちを許すはずがありません。
神様は言います。
「なぜあなたたちはそんなに暴れるのか。やめないというのなら、この塔の中に閉じ込めてしまうぞ」
神様は五つ、とても背が高い塔を創って見せました。そして、悪魔をその塔に一体ずつ閉じ込めてしまいます。
神様は悪魔が二度と外へ出てこないように、人が近づけない場所へと塔を送ることにしました。
塔の一つが、深い海へと沈んでいきます。
二つ目が、火山に包まれます。
三つ目が、地面の下に潜っていきます。
四つ目が、森林へと消えていきます。
そして――五つ目が、天空へと登っていきます。
こうして、悪魔たちは、二度と人々の前に姿を見せませんでした。
人々は、ずっと平和に暮らしていきました。今なお、ずぅっと……。