第9話
楽しんでいただければ幸いです。
話しかけてくれるのはいいんですが、まだ後ろでは燃えてるんですけど…。
なんか、女の子助けてそれで終わりみたいな感じで
周りも盛り上がってるんだけど、根本的な問題がまだ解決されてません。
注目を集めている今がチャンスとばかりに、前足を使って燃えてる建物を指さしてみる。
人々もその先を見て、再び慌てだした。
自分も消火活動をするために、水場に行って先ほど見たいに口の中に水を溜めて
それを建物に向かって、水をかけていく。
周りの人達も協力しながら、消火活動をしたおかげか
何とか被害は、この建物だけで済んだみたいだ。
大した疲労感ではなかった筈だけど、炎が消えたのを見届けたら
その場にうずくまる様にして、へたり込んでしまった。
しかも何か脳内物質が出てたのか、今まで感じなかった痛みを感じる。
どうやら、いくらか火傷をしていたみたいだ。
ドラゴンのくせに貧弱だ(泣)
その割には、あれだけ壁なんかを壊していたのに、切り傷や打身なんかは見当たらない。
いまいち不思議なかんじだなー。
まあ、そもそもいきなりドラゴンになってる時点で、今更感が強いんだけど…。
どうにも体力が限界みたいなので、このままここで眠りにつきそうになったけど
人々の注目を集めすぎたせいか、視線がこちらに突き刺さりそうな感じです。
様子を窺うような感じでしたが、最初に話しかけてくれた男性が
改めてこちらに話しかけようと前に出てきました。
男性が口を開くよりも早く、試したい事があったので地面を指さして
そこに爪を利用してひらがなとアルファベットを書いてみる。
ひらがなは『あかさたな』でアルファベットは『ABCDE』と書いてみたけれど
それを見た男性の反応はしきりに首をかしげるばかりだ。
どうやら反応を見る限り、やはりこの世界の文字は日本語や英語とは違うようだ。
どうしたものかと考えていると、今度は男性の方が棒のようなものを持ってきて
地面に何かを書きだした。
おお、何だか意思疎通が出来ているみたいだ。
棒の動きを追っていると、どうやら絵を描いているみたいだ。
とても簡単な人の絵を描いて、その絵と男性自身を交互に指さす。
ん?
これはこの人の絵が、男性だという事であろうか?
さらに男性はその横に、何やら文字らしきものを書いていく。
アルファベットの筆記体に近い、線みたいな文字だ。
そしてその文字を棒で差して、男性は自分の指で自分を指して
口を大きくはっきりと開け、ゆっくりと
「くわぁんらーどぅー」
と発音しました。
どうやら彼の名前らしいです。
それにしても、くわぁんらーどぅーって…。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
どうにも年のせいか、文章をうっていると眼精疲労が凄いです。