第8話
ありきたりな展開になってしまいましたが
お楽しみいただければ幸いです。
音が聞こえた場所は、どうやら上の階のようであった。
一番考えたくない結果がでてしまった。
もはや遠慮をしている暇はないみたいだ。
周りにはかなりの火の手があるが、我慢して今の自分が起き上がれば
何とかこの上を突き破れそうな感じだ。
音がした場所よりも離れたところで、勢いをつけて起き上がる。
バラバラと焼けた板が崩れ落ちて、上の階に顔を出す事が出来た。
そこには、ぬいぐるみを抱いた幼い女の子が倒れていた。
周囲は火の海になりかけていた。
早くしなくては、女の子も巻き込まれてしまう。
暑さと、先ほどここの板を崩したせいで巻きあがった煙で、視界が霞みそうになるが
あと少しだと、心を奮い立たせる。
すぐに首を提げて、より女の子に近い位置に顔をだそうとする。
気をつけないと、女の子を巻き込んで板が崩れ落ちる可能性があるので、今度は慎重に壊していく。
ぎりぎり口に咥えられる位置に顔を出す事が出来た。
そのまま口に含んでいた水を女の子にかける。
正直この子の意識がなくて、ホッとしている。
口に含んだ水なんて、何を言われるかわかったものではないし…。
無事に保護が成功したので、後はここから出るだけだ。
女の子を守るように、前足を使って何とか抱きかかえるようにして
最短距離にある壁を突き破る。
さすがに体が大きいだけあって、こういう破壊活動にはむいているね…
言ってて悲しくなってくるけど(泣)
最初は、いくら燃えてるといっても、自分から壊してしまうのは気が引けたが
一度壊してしまえば、そんな事はどうでもよくなってしまいました。
女の子を抱えて、先ほどの少女の前までやってきて
そっと降ろしてあげる。
最初は吃驚していたけど、女の子の姿を確認すると大声で泣いてしまった。
後ろの男性が落ち着かせるように、少女の頭を撫でていた。
周りの人々は、信じられないものを見たような顔で目を点にしていたけれど
女の子の姿を確認すると、その顔を安堵や歓喜の表情に変えていった。
やがて少女も泣きつかれたのか、そのまま寝てしまったようだ。
その様子を見て安堵の溜息を吐きだす。
すると少女の頭を撫でていた男性がこちらに向かって
何かを話しかけてきた。
「*************」
叫んでいた少女の声が理解できなかったため、案の定男性の言葉も理解できません。
これはどうやって意思疎通をしたらいいのか悩んでしまう。
それよりも、どうしてこの人はこんなドラゴンが言葉が通じると思ってるんだろう?
まさか、少女の叫びとタイミングがあったからだろうか?
ここまでお読みいただき有難うございます。
最初は動物か思い出の品にしようかと思いましたが
それではちょっと寂しいかなと思って女の子の登場です。