第6話
続きです。
今回はちょっと地味ではないかもしれません。
夜になりました。
暗くなったら目立たなくなると思って、道の見える物陰でじっと夜まで待ってましたが
あの人が消えてからは、誰も見ませんでした。
洞窟の中にいるよりも、森の中の暗闇の方が怖く感じるんですが…
今にも後ろから、幽霊に襲われそうな被害妄想が、さっきから延々と駆け巡っています。
風で木が揺れる音にびくびくしています(泣)
もう十分目立たないと思うから、そろそろここから離れよう。
うん、そうしよう、そうしよう。
思い立ったが吉日とばかりに、いそいそと物陰から身を出して
先ほどの人が歩いて行った方にと向かう。
少しは月明かりが出ているので、先ほどよりは強い恐怖感は無くなったけど
いかんせん先ほどの妄想が強すぎたのか、必要以上に回りをキョロキョロと見回してしまう。
人間の時だったら間違いなく職質されるレベルの、挙動不審さです。
よかったドラゴンで。
いや、それもダメなのか…
どう見ても弱そうじゃない?
獲物がのこのこやって来たぞって感じだよね…
こんな弱そうなドラゴンなんか、まずどこ探してもいないだろ。
あー、この姿に油断というか、安心してくれないかな…。
こんな弱そうな奴倒しても、自慢なんか出来ないと思うんだよね。
てか、そんな小物みたいな人には倒されたくないと切に願うよ。
溢れる涙を堪えるように上を向いたら、ちょうど流れ星が流れたので三回願ってみました。
叶うといいな…。
そんな感じで、とぼとぼ歩いていると、前方に明かりが見えてきました。
おー、ようやく人のいる場所に辿り着いたかな。
そうやってのんびりと構えていたら、なんか段々と明かりが大きくなっていきます。
あれは明かりというか、火が燃え広がっているいるような感じだよね!
そして、この離れた場所からでも聞こえる、人々の怒号と悲鳴。
火事!
まさかの火事ですか!
想定してなかった事態だったからか、思わず炎が上がっている場所まで走っていた。
近づくにつれて熱気と炎の明かりが強くなっていく。
門があるが、周りには誰もいない。
もしかしたら野次馬か消火活動に行っているのかもしれない。
どちらにしても幸いとばかりに、門を通り過ぎる。
石畳の道がまっすぐ伸びていてその先に見える広場みたいな場所に人が多く集まっている。
どうやら炎はその広場の右手から上がっているみたいだ。
ここから見える感じでは、火元は教会みたいな場所らしい。
建物の前の人だかりの中で、一人の少女が後ろから男性に抱きかかえられて、何か叫んでいた。
言葉は分からなかったが、その必死な感じから中に誰かいる事が窺えた。
ここまでお読みいただき有難うございます。
自分のなかでは今までよりも、地味では無いかなと思ってますが如何でしたでしょうか?