正反対の出会い①
今回も短くなってしまいましたが、新キャラ登場でここらで切るのがベストだと判断しました
鍛冶屋的固有スキルを手に入れた俺は、絶賛鍛冶の修行中!
なんてことにはならず、軽くブルーが入っていた。
考えて見てくれ、武器が修復したのはスキルのおかげだった、という所はいい。
問題なのは、「最速にして最低、武器を破壊せし者」という取得条件だ。
簡単に言えば、
「整備も怠って、最も早く武器を破壊した最低な下衆野郎」
ということだ。
だが復活の速さに定評のある俺は、スキル【創造】に興味を持った。
固有武器を造ってみようと思い、発動方法を探った結果、「創造」と呟くことが発動キーらしかった。
発動させると、ウィンドウが開かれ『武器を選択してください』と表示される。
一番上に羅列してあった「ロングソード」を選択して、OKを押すと
『武器ランクが足りません』
と表示され、またもブルーに入ってしまった。
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ようやくブルーな気持ちを振り払った疾は、朝陽が射し込む草原を駆けていた。
明朝の誰もいない時間帯なら気分転換になると踏んだのだが・・・、
ギィン ギャァン
ゴブリン狩りでお世話になった草原の奥地で誰かが戦う音が聞こえる。
「だれだよ...?」
またもテンションが下がっていくのを感じる。
音のするほうへ近づいていくと、ゴブリンと戦っている女の子らしき人影が見えた。
こころなしか女の子が押されているように見える。
「やぁっ、はぁっ!」
どんな掛け声だよ!、突っ込みかけた言葉を飲み込む。
面白そうだから観察することにした・・・。
それから数分後、彼女はギリギリで勝利していた。
女の子は勝利したことで緊張の紐が緩んだのか、その場にへたり込んでしまった。無防備な背中を晒して・・・。
案の定、後ろの茂みに隠れていたゴブリンが飛び出してきた。
それを見て、俺も飛び出していた。
彼女は・・・、気付いていない!間に合うか?
「伏せろっ!」
「えっ?何?」
チッ、遅い!
ゴブリンの攻撃を剣で捌くと、
「邪魔だ!」
彼女を蹴飛ばすと、戦闘に集中する。
「いった~、何すんのよ!」
「ゴチャゴチャ言わずにっ、手伝え!」
「ええっ?あっ、うん!」
ようやく敵に気付いたらしく、盛大に頷くと立ち上がり、ゴブリンの後ろに回り込むと、
「ヤァッ!」
剣技「スライス」を発動、体を捻り、左肩上段からの斜め斬り下ろしを背に受けたゴブリンが怯んだ隙に、「スラッシュ」を発動させるとゴブリンのHPが底をついた。
「はぁ、片付いたか。」
周りに敵がいないのを確認して、脱力すると。
「ちょっとあんた、私を蹴飛ばすとはいい度胸してんじゃない!」
「お前の反応が遅いのがいけないんだろ。大体、助けてやったんだから感謝ぐらいしろ。」
そういうと、彼女は顔を真っ赤にしながら、
「あ、あありが、あり、が、とう、ございます。」
妙に可愛かった。
「はぁ、もういいよ。ていうかなんであんな所にいたんだよ?」
「そっ、それはLvを上げてみんなを驚かせようかと。」
「お前Lvいくつだよ?」
「4です。」
「職業レベルは?」
「2です。」
「よくそれでここに一人で来ようと思ったな。」
人のことを言えない疾であったが、
「いいじゃん、戦えてたじゃん!」
「ギリギリだったし、2体目にやられていたのはどこのどいつだだ?」
「う、うるさい!そういうあんたのLvはどうなのよ!」
「俺か?俺は、Lv8の職業Lvが4だ。」
「そ、そんなに高かったの。なんかごめん。」
なぜ謝られたのか分からない疾であったが、
「さっきはありがと、それじゃこれで。」
去って行こうとする彼女に、「俺ってお人好し?」とか考えながらも、
「今日一日くらいなら手伝ってやってもいいぞ。」
そう言った途端、彼女は踵を返し目を輝かせながら、
「ほんと、ほんとに!?」
その近すぎる距離にどぎまぎしながらも、
「お、おう!?」
そう答えると、
「ありがとう、私リナっていうのよろしく!」
「俺は疾だ、よろしく!」
これが二人の出会いであった。
次の更新は土日です。
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