恐怖への保障
短いです。すみません
ゲームからのログアウト不能に陥ったその日、俺はサキとエンドと別れた後、昨日のモンスターの素材を売り、ポーションを買ってから、草原の奥地へ向かいゴブリンと闘っていた。
あの忌々しいイベントの後、メニューウィンドウから戦技を確認してみると剣技「スラッシュ」が追加されていたため、ゴブリンとの戦闘も楽にこなせるようになっていた。
「死ぬ」という確証は無いが、「死なない」という保証も無い。
このリアルな世界で、
戦闘に嫌悪が無い訳ではない。
死に対する恐怖が無いと言えば嘘になる。
そんな葛藤を続けながら戦い続けていたら、Lvもいつの間にか8に、職業Lvも4になっていた。
(Lvが基礎能力、職業Lvが熟練度)
休憩しているときに、サキからチャットが飛んできて状況を報告してくれた。
サキとエンドはギルドを探していたが、開設条件のおかげで、いまだギルドが少なく途方に暮れていたところに声をかけられ、その人と意気投合したらしい。
その人と共にギルドを作ろうという事になり、PTを組んで知名度を上げようとしているらしい。
その人は女性らしく、また今度会って貰いたいということだった。
俺もそんな仲間を早く見つけよう、そんなことを考えていたときだった。
次の標的となるゴブリンを見つけ、今までそうしてきたように敵の攻撃を剣で防御した瞬間、「バギィン」という音と共に、剣が真っ二つになっていた。
剣で攻撃と防御も兼用していたため、戦い続けた結果、耐久力が磨耗してしまったのだろう。
相手が鉈を振りかぶるのが見える、思わず目を瞑ると全身の筋肉が強張るのを感じた。
それでも、体はこの半日で沁みこんだ動作を繰り返し、反射的に頭上で柄だけになった刃を構えるのが分かる。
次の瞬間、「ガキィン」という刃と刃のぶつかる音が聞こえた。
驚きから目を見開くと、仰け反って、口をあんぐりとひらいたゴブリンと目が合った。
いつそうの間にか修復されていた剣を構え、モーション発動から「スラッシュ」を発動しゴブリンの首を一刀両断にする。
ゲームだったら爽快感を得られたかもしれないが、今となってここは現実、それも現実、不快感が募るだけである。
ゴブリンのHPが0になったのを確認すると共に、目の前に半透明のウィンドウが表示される。
『 称号【破滅と創造主】を獲得しました
固有スキル【創造】を取得しました
スキル【魔力貯蔵】を取得しました 』
疾は、それを興味深げに眺めたが、過度の緊張と、死への恐怖に晒されたストレスからなるダルさが勝ったらしく、「はじまりの街」へ帰還し、宿を取った。
辺りは、いつの間にか朱に染まっていた。
なぜ、剣が修復されたのか、あの称号とスキルは何だったのか、疑問は多くあるが、思考を断ち切り、布団に入ると溢れ出る眠気に身を任せ、目を閉じた。
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起きたときには日が変わっていたが、まだ深夜だった。
二度寝する気分にもならず、メインウィンドウにあった掲示板という機能から、情報を集めていた。
分かったことは、
・仮想世界で死んでも、現実世界で死ぬわけではない。
・スキルは条件をクリアすれば取得できる。ただし、装備できるスキルカードはLv÷5+1
という二つだった。
このおかげでこれから安心して狩ることができる。
スキルカードについても装備数に上限があるなら、自分の戦い方に合うカードについて考えておいたほうがいいかもしれない。
それともう一つ、気になっていた称号とスキルについて説明を読むことにした。
称号
【破滅と創造主】
条件:最速にして最低、武器を破壊せし者
能力:武器破損率上昇【中】
獲得:【創造】【魔力貯蔵】
固有スキル
【創造】
条件:【破滅と創造主】の獲得
能力:固有武器の作成
サブ:破損武器の修復(30s以内)
スキル
【魔力貯蔵】
条件:なし
能力:スキル保持者から魔力を吸収し、貯蔵する。(戦闘使用不可)
サブ:ポーション作成、素材不要。 【魔力回復】修得可能
えっ、何?【創造】えっ、えっ?
・・・俺は鍛冶屋じゃねぇーーーーーーーーーーーー!!
次話より、更新が不定期になるかもデス
学校が忙しいので、できるだけ土日に更新します。