強化された力
何とか10話目投稿です。
ザッ ザン
草原で何時ものようにゴブリンを狩りながら、
「やっぱいいなあ、この切れ味。」
俺が惚けたようにそう呟いていると、リナから
「アンタ武器が代わったのはいいけど、防具は揃えなくていいの?」
「お前っ、俺のAGIを何だと思っている!」
俺が少々血走った目で睨みつけてやると、
「い、いやいや、軽装備なら速度は変わらないってことよ、軽装備の長所はSTR許容内なら速度が変わらないってことだから!」
少々怯えている様だった。
「でも、お前の武器も作らないとなぁ。」
「ここら辺のやつじゃ、素材になるような奴等はいないよ。あんなイベントクエストはもう嫌だし。」
「クエスト、クエストか!そうだクエストを受けよう。」
「またそんな軽く決めていいの?」
「そうと決まればなんとやらってね。」
そういうと、街へ向かって歩く二人であった。
クエストギルド前
二人は早速中へ向かっていく。
「お邪魔しまーす!」
言いながら中に入ってみると、入って右側に受付カウンター、正面に掲示板、左側には待ち合い様の机と椅子が並んでいた。
およそ20人ほどの冒険者がクエストを受けたりと活動をしているようだ。
「まずは募集クエストを確認するか。」
リナに声をかけると掲示板へと向かった。
「薬草採取」
「フィールド調査」
「スライム討伐」
「ゴブリン討伐」
どれもパッとしないものばかりだった。
ふと掲示板の隅に目をやると、
「ゴブリンリーダー討伐」
の文字が目に入った。
「これにしよう。」
そう呟くと、リナのあからさまに嫌そうな顔を無視して受注用紙を持っていく。
周りからは「命知らずな奴だ。」とか「あれ、上限の6人PTでやっとクリアしたって聞いたよ。」や「二人とか馬鹿だろ。」等々の野次を無視し、カウンターにいたNPCらしきお姉さんにそれを提出すると、NPCは
「ギルドカードを提示してください。」
と言ってきたが、疾は何じゃそりゃと思い、一応持っていないことを確認し、
「持ってないです。」
と素直に答えると、
「では、ギルドカードの発行を行います。後ろの方もご一緒で構いませんか?」
NPCにいきなり話を振られたリナは、少々驚いたようで、
「へっ!?ああ、はい、いいです。」
と答えていた。
「それでは、キャラクターウィンドウを開きながら、こちらのクリスタルを握ってください。」
そういうと、小さなクリスタルを渡されたので言われたとおりにする。
「はい、ありがとうございます。では少々お待ちください。」
彼女は俺たちからクリスタルを受け取ると、裏手へと引っ込んでしまった。
しばらくすると彼女は二枚のカードを持って戻ってきた。
「こちらがギルドカードになります。
記載されているマスターランクが高ければ高いほど高難度のクエストを受けられるようになります。
マスターランクを上げるためにはクエストの難度、量が関係してくるので頑張ってください。
それでは、クエスト「ゴブリンリーダーの討伐」契約金500Aとなっております。」
言われたとおり500Aを渡すと、
「PTリーダー疾様がクエストを受注しました。ご命運をお祈りしております。」
見送られながら俺とリナは街を出た。
「 クエスト
『ゴブリンリーダーの討伐』
契約金:500A
報酬:3000A
クリア条件:ゴブリンリーダーの討伐
フィールド:始初の森 南部 」
「ほあぁぁああぁああああぁぁぁぁ!」
「なんでこうなるのぉぉおおおぉぉ!」
二人はまたもゴブリンのモンスタートレインを引き連れていた。
「こうなったらもう殺るしかないんじゃないカ!」
「そうネ!殺りましょっ!」
二人は突っ込んだ。
「見せてやるゼェェェェ、俺の剣技「ツインスラッシュ」!」
二段切りがゴブリンを襲う。
二体のゴブリンの首を切り裂いた。
「近付いた奴から殺すわよ!」
リナが「スラスト」の派生剣技「ライランド」を発動させる。
剣を横へ引き、溜める、そして飛び出した瞬間に薙ぎ払うと4体のゴブリンが吹き飛んだ。
鬼神の如き勢いで、二人がおよそ半数ほどを薙ぎ倒したとき、いきなりゴブリンの山が割れた。
その奥から歩いてくる者がいる。
「来たぞ。」
静かに、だがはっきりとそう呟く。
ゴブリンリーダーが完全に姿を現すと共に叫んだ。
「この前と同じようにやるぞ!」
「うん!」
右側のゴブリン二体を相手にする。
「ラァッ!」
スラッシュでダメージを与えつつ、牽制を行う。
二体が完全にこちらを向いたところで「ツインスラッシュ」を放つ。
一体を倒したことを確認すると、底上げしたAGIを使って、背後に回りこみ、切り倒す。
ゴブリンリーダーの居た場所を見据えるとすでにそこにはおらず、リナがリーダーとゴブリン二体に襲われていた。
「イベントとは違うってか、くそっ!」
そう呟くと、一気に距離を縮める。
リナが「ライランド」を使って距離を取った事を確認した俺は、ゴブリンの背後で「スラスト」を構えた
俺は、
「俺が引き受けるからお前は回復しろっ!」
言うと同時に斬りつけ、一体を倒した俺はリナの前に飛び込むと、リナを後方へ押しやった。
リーダーとゴブリンが振り下ろした刃を小鬼頭で防ぎきると、「ツインスラッシュ」を発動。
ゴブリンを倒し、リーダーにも明確なダメージを与えた。
「一気に畳み掛けるわよ!」
そこへリナも復活し、勝利が明確なものへと変わった。
「今回は前回と違って完全勝利だな。」
「そうね。」
「小鬼石も手に入ったし、これで武器が作れるな。」
「分かったから、早く終わらせて。疲れた。」
そう言いながらクエストギルドの中へ入ると受付へと向かった。
「クエスト終わらせました。」
「ではギルドカードを提示の上、証拠品をお見せください。」
言われたままに、ギルドカードと素材を見せると、
「確かにクエストクリア条件を満たしています。これが報酬となる3000Aです。」
報酬を受け取った瞬間、ギルド内の喧騒が大きくなる。
「アイツら本当にやったのかよ。」や「二人でかよ!」など驚愕と共に、奇異の視線を向けられた。
それに耐えられなくなった俺は、リナを引き連れて急いで宿屋へ向かった。
明日も投稿できたらいいなぁと思います
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