表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界戦争  作者: 白い風
3/5

第三章 きっかけ

第三章



歩いている。かなり疲れてきた。多分四時間以上は歩いていると思う。

今のところ周りには、村も町もない。川がさらさらと流れているだけだ。


だが、クォーター村に戻る気はない・・。

憎きタイタンをぶっ殺すために可憐の復讐に燃えているからだ。それに戻るのはまた四時間もかかる。


来た道を戻るくらいなら、危ない道を進んででも、先に進む覚悟だった。 それにしても、歩きながら思ったのは空が赤いのと、車がないだけで、他は何も日本と変わりがない。 そして気付いて驚いたのは、太陽がない!それに、こっちに来てから、20時間はたっているはずなのに夜がこない。

この世界には、朝も昼も夜もない。 それはそれで便利なことだ。 舗装されていない道を歩いていると、小さな町が見えてきた。 「疲れてきたし、腹も減ったなぁ・・少し休もう」

俺は足早に町に向かっていった。



町に着いた。あまり広くないし、人も少ない。

だがそんな事は関係なかった。とりあえず飯の食べれそうなところを見つけるために、歩いてみた。

すると、宿屋みたいな建物があった。建物はぼろいが、中からいい匂いがした。さっそく中に入った。


中に入ると、思ったとおり狭かった。カウンター席が四つあり、テーブルが二つあるだけだった。二階が寝室みたいだった。

とりあえず、この店で一番安い物を頼んだ。


五分くらいたって、おじさんが焼き魚を二匹持ってきた。

「サービスだ。金は一匹分でいいよ。」

恐い顔してるのに優しかった。おじさんの顔が今でも忘れられない。


がつがつと、魚に食らい付いていると、女性の悲鳴が聞こえた。まったく気にせずにいると、店のドアが蹴り破られた!大柄の男二人が、女性を人質に金貨を出せと要求してきた。 おじさんが布袋に、30枚くらい金貨をつめて、男に渡すと男たちは、女性を連れて出ていこうとした。

俺がちらっと女性をみると凄い顔で睨んでいた。

「あなた最低よっ!助けようともしないで。臆病者!」

的な感じで。


大男達が出ていって、おじさんが壊れたドアを直していた。

俺はお茶を飲み終えると財布から金貨二枚を出し、カウンターに置いた。

「おい兄ちゃん、金貨は一枚でいいよ。それとも募金でもしてくれるのか?」

口は笑っていたが、目は笑っていなかった。

「いや、また後で取りにくるよ。」

と言って店から出た。


町の入り口に走って向かった。結構足は速いほうだから、すぐに着いた。

入り口辺りに、大男達がげらげら笑いながら、金貨を数えていた。その横に、女性が手足を結ばれて、口を塞がれて座らされていた。今にも泣きそうだった。

歩いて大男達に近づいていった。

話が変わるが、今までバイトを、色々してきたが、一番稼げた仕事が、片付け屋だった。


大犯罪をしたにも関わらず、悠々と生きている奴を殺したり、ヤクザの仲間になり、その組みの組長を暗殺したりと、ろくでもない仕事ばかりだった。だが、成功すれば高い報酬をもらえた。それに力もつけることが出来た。



大男達に話し掛けた。

「お兄さん方、どうかそのお金を返してもらえませんかね?ついでにあっちの人質も。」

大男達が大笑いしながら、

「なっはっはっは。チビが!痛い目みないうちにさっさと消えなぁ。」

と俺を見下しながら言った。

俺は、はぁっ〜とため息を吐いて、近くにいたお婆さんに、

「おばあさん、医者を呼んだほうがいいよ。今から怪我人が出るからねえ。」と言った。

大男の一人が、

「怪我人なんかでやしないぜ!それよりな、ねずみを連れてこい。死体を処分してくれるぜ!」

大男がナイフを抜きながらドスのきいた低い声で言った。

俺も剣を抜き

「じゃあ、百匹は必要だな。こんな大きな死体処分するのは大変だろう・・。」


大男のもう一人が、

「チビがあぁぁ!ほざくんじゃねえぇ!!」

叫びながら突っ込んできた。

こんな奴はただ力が有り余っているバカだ。

ひょいっと横に素早く避けると、大男はそのまま、家の壁に激突した。

起き上がって、また突進してきたら厄介なので、両足のアキレス腱を切った。 大柄の体には似合わない甲高い叫び声があがった。 大男はそのまま気絶した。もう一人の方を見ると、女性の首元にナイフを当てて叫んできた。

「こいつを助けたければ、その場を動かずに剣を前に投げ捨てろ!」


俺は言われたとおりにして、手を上にあげた。

大男が、興味深そうに剣を眺め

「なかなか高そうな剣だ。売れば金になる。」

男が、剣を拾おうとしゃがみこんだ瞬間に、猛ダッシュから膝を突き出し男の顔面にクリーンヒットさせた。大男がのけぞり、女性の首元のナイフが手からこぼれ落ちた。


後は楽だ。肩に剣を一刺しすれば言うことを聞く。 俺は、剣を拾い上げ、男のでかい肩に、思いっきり剣を斬り下げた。

肩から真っ赤な血が溢れ出てきた。大男は苦痛の顔を見せ、肩に手を当てていた。

剣を鞘に戻し、男の前に立ち、余裕を見せながら、

「おい、あのもう一人の男を連れてさっさと帰れ!」

睨み付けながら見下すように吐き捨てた。


すると男は、立ち上がりもう一人の方に向かって歩きだした。

「観念したか・・。」っと、ふぅっと息を吐き、倒れている女性の方に向いて走りだした。


「ガチャッ・・」

っと、後ろから金属音が鳴った。 ・・まさか。と思い、後ろを見ると、男がリヴォルバー拳銃を構えていた。 とっさに伏せようとしたが、後ろには女性がいる。 男が引き金を引いた!すさまじい轟音が鳴り響いた!っと思うと、右手が後ろに跳ね、真っ赤な鮮血がたらーっと垂れ流れてきた。

痛がっている暇はない。次は、確実に頭を狙ってくる!そう判断し、左手で剣を逆手に抜き、忍者刀みたいな構えで、相手に向かって突進した。

人を殺すのは慣れていた。だが殺したくはない。だが、殺さなければこっちが殺られる。


 葛藤しながら、大男の胸に黒い剣を突き刺した。


 黒い剣に、赤い血がつーっと流れてきた。そのままの態勢で、俺は一歩も動かなかった。


大男の体から力が抜けた・・。

 俺は、剣を体から抜き取り、 いつのまにか気が付いていたもう一人の大男は俺の事を、まるで鬼を見るかのように怯えていた。

俺は、剣を大男の目の前に突き出して、

「おい!こいつを連れて今すぐ消えろ!」



大男がへこへこと、這うように町から逃げていった後、女性を解放した。

「大丈夫かよ?怪我はないか?」

と優しく言った。腕がかなり痛んだし、横腹の痛みが再発した。が、ぐっと我慢した。

 女性は、安堵の溜め息をつき、ゆっくりと喋りだした。「ありがとう、たすけてくれて・・。最初は助けてくれないと思った。睨んでごめんなさい・・。」


俺は、あははっと、笑いながら

「あそこで喧嘩を売ったら店がぐちゃぐちゃだよ!もう大丈夫だから家に帰りなよ。」

と言った。

金貨の入った布袋を持って歩きだした。すると女性が弱々しく

「あの・・、私の家ここじゃ無いんです。ファースト城下町にあるんです。」

と言った。


じゃあ戻ればいいじゃんっ!と言いそうになったが、また襲われるのが嫌なのだろう。連れていって欲しいみたいだ。

まぁ俺もエミルを探しに行くからいいが・・・


「わかったよ。俺もファースト城に用事があるからさ。」

俺がそう言うと、女性は嬉しそうに、

「ありがとう!じゃあ早く行きましょっ!」

と、言ってきた。

「いや、まだこの町に用があるからここで待っててくれ。」

と言って、さっきの宿屋に戻った。


宿屋に着くと、おじさんが外に立っていた。

「よう、無事だったかい?その袋を見ると勝ったようだな!」

嬉しそうに言ってきた。俺は袋を渡した。 「じゃあ俺もう行くな。魚うまかったよ。」

 おじさんに背を向けて歩きだした。するとおじさんが袋から、金貨を鷲掴みして、

「ほらよ。餞別だ。持っていきな!」

と言って、多分十枚はくれた。


振り返って、金貨を受け取った。ありがとう、と感謝の気持ちを伝えた。


おじさんがポケットから金貨一枚をだし

「預かりもんだ。しっかりがんばれよ!」

と言って、俺のポケットに突っ込んだ。


おじさんと別れて、町の入り口に行くと、女性が待っていた。

「遅いわよ。早く行きましょ。」


助けてあげたことを忘れたのか?と、聞きたかった!女はいつも自己中だ!と改めて思った。



この町から、ファースト城までは、すぐそこだ。 もう目の前に見えるが、山の上にあった。しかし、軽く舗装されているので、なんなく登れそうだった。

登りながら女性に聞いた。

「あんた、名前は?」

と。すると女性は、なにも言わなかった。


少しして女性が同じ事を聞いてきた。女は自己中だ!と、改めて思った。 「俺は、薫だ。」

と言った。すると何故か笑われた。イラっとしたが耐えた! 女性が、変な名前!と、言った。俺は結構、自分の名前が気に入っていた。


そんな話をしていると、いつの間にか着いていた。 とても賑わっている。まるで祭りのようだ。

 ところどころで、城の兵士みたいな人たちが、慌ただしく駆け回っていた。

さっそく、人混みに入ろうして、後ろを見ると、さっきまで居た女性がいない。ホントに女は自己中だ!それに恩知らずだ!と改めて思った。


あんな奴はほっといて、エミルの捜索を開始することにした。


ぱっと、人混みの中に目をやると、可憐が手招きをして、俺を呼んでいる姿が見えた。

まさかと思い、まばたきをしてみたが、そこには誰も居なかった・・・。


横腹の傷がズキズキと痛み出してきた。


俺は・・痛みをこらえて、エミルを探し始めた。


可憐の事を・・思いだしながら・・・。

今回のタイトル名の意味は、訳分からんと思うでしょうが、いずれ分かります。ではまた・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ