久々に星を見た
掲載日:2026/06/20
空へと繋がる階段を、姉が昇っていた。
そのときの姉の表情は分からない、小さい頃だったからか、忘れてしまった。
僕のそのときの感情も、今では分からない。
そもそも、それが現実かどうかすら危うい。
小学生の頃のこと、庭で雪をすくっている姉の写真が、唯一の実在証明。
「七夕か」
塾からの帰り道、コンビニで笹を見て僕は呟く。
笹はそこにただ立ちすくんでいる、願い事は何も任されていない。
だから僕も願い事を書かない。
小さい頃にいなくなってしまった姉のために、勉強漬け。
良い弟と、両親を喜ばせるために。
中2でこれだから、楽しい青春は待っていない。
階段なんか昇らなかったらよかったのに、つい思ってしまう。
ほうじ茶を買い、外に出た。
そして、久々に顔を上げ、星を見た。
織姫と彦星は今年は会えたらしい。
それに感動しているのかもしれない。
もしかしたら、『あの光景』に関連したことを心の奥でひっそりと思っているのかもしれない。
涙が決壊している。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




