第二話 クラスの連中は興味津々
俺とおりんが知り合いだったことに驚いたのか、クラス中がざわめいている。みんな興味津々のようだ。
このままでは授業どころではないと判断した担任がパンッと手を叩いた。
「と、とにかく! 新しいクラスメイトと仲良くするように!」
担任はそう締めくくると、おりんを空いている席に座らせた。
それから朝のHRが始まった。
担任が連絡事項を伝えているときも、俺は嬉しくて顔がニヤけた。
まさか、おりんと再会できるとはなぁ。おりんはいつ前世の記憶を思い出したのだろう? 前世は幸せに生きたのだろうか? 今世でも幸せに暮らしているのだろうか?
聞きたいことが山ほどあり、担任の話が全く頭に入ってこない。
そんなとき、背中をちょいちょいつつかれた。
振り返ると、後ろの席の田崎がニヤニヤ笑っていた。田崎は俺の友達だ。下ネタを言うので女子のウケは悪いが、明るくて良い奴なのだ。
田崎は声をひそめて俺に話しかけてくる。
「長屋ー。どういうことだよ? お前、なんであんな美少女と知り合いなんだよ?」
「……」
前世で主従関係だったと正直に伝えたら、確実に頭がおかしい奴だと思われる。
俺はなんて言おうか悩んだ末に、「ちょっとな」と答えた。
「なーにもったいぶってんだよぉ。今度知り合ったきっかけくわしく教えろよ?」
「分かったよ」
そんな会話をしながら俺は少しだけ冷静になってきた。
さっきは目立ち過ぎたな。
クラスの連中が興味津々じゃないか。絶対どういう関係か聞かれるぞ? 変なことを言ったら白い目で見られてしまう。ここはおりんと相談して口裏を合わせる必要があるな。よし! あとで話しかけてみよう。そんなことを考えていたらHRが終わった。
担任が教室から出て行ったのを見送ってから、俺はおりんの席に急いだ。
「若様ー」
近付いてきた俺に対し、おりんがまた抱きつこうとしてきたので「待て待て」とストップをかける。
「いちいち抱き付くな」
不満だったのか、おりんは拗ねたように口を尖らせている。そんな表情に苦笑しつつ、俺は話を続ける。
「おりん。今はあんまり時間ないから、放課後どっか寄ろう。そこで色々話したいことがある」
俺の言葉が嬉しかったのか、おりんの表情がみるみる明るくなっていった。
「はいっ。分かりました」
にぱーっとひまわりのように笑うおりんは、やっぱり可愛いと思う。
すると、俺たちの話を聞いていたお調子者のクラスメイトが叫んだ。
「みんなーー!! 早速長屋が桃山さんをデートに誘ったぞーー!!」
男子たちは羨ましそうな目で俺を見つめ、女子たちはキャーキャーはしゃいだ。
な、なんだよこの状態!?
コイツら小学生か!?
デートじゃないって否定したいけど、したらしたで余計揶揄われる気がする。
恥ずかしいけど、ここは無言をつらぬこう。
そんなことを考えながら、俺は赤面して自分の席に戻ったのだった。
それからこっそりおりんを観察していたのだが、休み時間や昼メシの時間など、おりんは女子に囲まれていた。
良かった……。
自己紹介のとき、俺と変なやり取りをしていたから女子に距離を置かれるかもと心配していたのだが、うまく溶け込めたみたいだな。
女子たちと楽しそうに笑い合うおりんを見て、俺はホッと胸を撫で下ろしたのだった。




