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フラワーガーデン(5)

 ラムネ瓶




挿絵(By みてみん)




 静香は直前リハーサルをやっている。ギターをアンプなしで弾く。難しいパートを何度もやって、弦をはねる爪がほんの少しめくれそうな感触をもう一度確かめる。ドキドキが止まらず、去年より手が震えている。


「恋みくじ貰ったやろ? もうすぐ、みんなで一斉に開けるらしいけんさ、生徒ホール行こ」 萌映はリボンで結ばれた折り紙のハートの首飾りを揺らした。

「萌映は緊張せんと? すごい自信やん?」

「何歳からピアノしとうと思っとうと?」

「頼りにしとうけん」

「リハーサルは朝やったけんいい。体育館の直前リハは吹部優先やけんさ。あっちの演奏が終わるまでステージのマイクもアンプだって触れんよ。ばってん、あそこの3年たち、マジ感じ悪かったよね。威張って、うちらのバンド見下しとったけんさ。やけん、動員は絶対こっちが勝とう」

「もちろん」

「部室にこもたって、思いつめてよけいに緊張するだけやろ。もうどにでもなれって気持ちになったほうがいいよ。乃愛は、佑太とめっちゃ満喫しとうし」

「ほんとさ、乃愛が一番、練習せんといかんのになんなん? 『タイムテーブル2日目の最後とかあり得ん。本番は初日にしてよとかさ。緊張で、焼きそばもソーセージも喉通らん』って一丁前なことを言っとったし」

「まあね」

「やっぱうざい」

「乃愛と佑太。よりを戻したらしい。それなのに、首に恋みくじぶらさげとうけん」

「そうなん?」

「それにさ」萌映は、微笑んだ。リボンに結ばれたハートの恋みくじをひけらかす。

「アキトさんも恋みくじしとったけん。みんな女子が騒いどう」


 静香は断った。萌映は小さな唇を尖らせた。彼女は、夏休みのシーズンの日々を語るように鼻の頭まで日焼けしている。そして、『まっとうけんね』と小麦色のほっぺに小さなえくぼを浮ばせて、部室を去った。


 静香は部室でひとり、頭の中で音符を追いかけことにした。だけど、心はすでにここにあらずだった。和音は崩れ、心のメトロノームのリズムは、早鐘になった、彼女の心臓の鼓動にかき消され、ごちゃごちゃになる。焦り。なんの焦りだろう。指が止まった。ギターを置いて立ち上がった。



*******



 新校舎4階。1年生のフロア。そこにある生徒ホールは、5階から上階は吹きぬけになっている。ガラスの天井から午後の日差しが入る。人だかりはうごめく。歓声をあげたり、飛び跳ねたりする人影が、降りそそぐ太陽光と交差する。影はうごめいたり、つながったり、離れたり、光が影をもみ消し、影が光を区切ったりする。男子は、その熱気から一歩引いたふうにスマホを見たり、涼しげな無関心を装う。けれど、内心そわそわしたりしている。バカ男子や野球部たちがフライングして、恋みくじのハートの折り紙を広げ、発情した猿のように連呼していた。


27番! 5番! 134番! 99!


「それでは、開封してくださいっ!」


 カウントダウンのあと、恋みくじ企画の責任者が叫んだ。クラッカーの破裂音がところどころで鳴った。火薬のにおいが鼻につく。おなじ番号の相手と「結ばれるかもしれない」という単なる迷信。たくさんの視線が交差して、すれ違ったり、逸れたりする。


 ある女子の恋みくじの番号が、上階から身を乗りだした男子が連呼するのと同じだった。彼女は折り紙をくしゃくしゃに丸めて、顔色ひとつ変えず、何事もなかったような顔をして、隣の女の子の番号を覗き込んだ。まともな男子と恋みくじがかち合ったときでさえ、なんともいえない気まずさが漂った。たがいに遠慮したりして、折り紙を丸めてボケットに隠した。二人も互いに何事もなかったように振る舞う。


 ノリでやっていた乃愛が「17番」と叫んだ。


「17番!」


 萌映とおなじ番号。となり同士が、おなじ数字を引いた。ふたりは手を取りあって、飛び跳ねて、おおげさにハグした。結局、同性の仲良しコンビがおなじ数字をあてるのが、いちばん無難。女子はみんな気づきはじめた。


 自分の数字に心はおどった。でも、はてしなく低い確率。誰がおなじ数字なのか分かったところで「なんともいえない」感情が生まれるだけであることに気づく。恋みくじの盛り上がりは下火になっていく。みんな、退屈しのぎのために、なんともいえない空気の落とし所を探すためにおなじ番号を引き、いじり倒せるペアを探しはじめる。静香も、別の意味で餌食になる。


「137番」


 恋みくじを握りしめる静香の小さな手が震えていた。乃愛も萌映も、静香の様子に気づき、137を探した。大げさだけど、入試の合格発表さながらだ。女子たちがまっ先に見たのは上の階にいるアキト。みんな、浮き足立って本能的に、見ないように心がけても、ついついアキトを見てしまった。アキトは顔を少しうつむかせている。それでも、アキトの仲のいい男子たちが面映そうなアキトを、みんなの前に突きだす。


「顔赤くない? かわいい」


 1年女子は、2歳上のアキトに純粋な想いを寄せ合う。3年女子も口もとを手で覆い、上目遣いでアキトを見上げる。そして、甲高くなってしまう声を押し殺す。


「でもさ、アキト君って彼女おるっちゃない?」

「それが、夏休みのときに別れてたって」

「え?」

「待って! アキトの番号、何? ひゃくさんじゅう ————」身を焦がしたくなる。


「———————— ひゃくさんじゅうなな?」


 ドギマギした。乃愛は静香の小さな肩を揺さぶった。静香は、必死に目を細めた。137に見える。いや、131。まっ白になる。鼓動が早まった。心が苦しくなる。アキトと目がかち合った。一見、黒い瞳に見えて茶色の虹彩。透けるようで淡く、琥珀のようにキラキラしている。うちの心など見透かしているような不思議な瞳だった。あぶない気がして目を逸らした。自分の心が読まれる。自分のすべてが危うくなる。


「静香!」


 萌映がうわずった声で叫んだ。生徒ホールで色めきたった女子たちが面白いのなか、ヤンチャな3年たちが、いんぎんにアキトの番号を読みあげた。


「ヒャクサンジュウ————イチです! 」

「え! 静香、137やん。めっちゃ惜しい!」静香は立ちつくしていた。意地悪なクラスメイトたちが、静香の恋みくじを覗きこむ。乃愛はそんな同級生に怒った。野次馬たちはハエのように退散した。


「どっかいきい!」


 野次馬のかわって、小太りの全身赤タイツの男が駆け込んできた。大声で叫んだ。


「やっべ、始まっとうやん!」


 脇や胸もと、腹や背中一面は、赤といよりワインレッド。額に汗をかいてあたりを嗅いでまわるように、恋みくじの数字を見渡している。自分の恋みくじをみんなに示した。


「137!」


 3年の小太り男は、その番号を呼んだ。男はタイツの顔の部分を脱いだ。大きな顔のいのっちは、給食前のにっこりした大食い小学生のように笑った。


「おお、静香! ビンゴ!」


 静香は小さな顔を伏せて、拳を握った。女の子の丸く小さいげんこつは震えていた。どうして、自分はこれほど胸をときめかせ、何を求めていたんだろう。いのっち先輩は絶叫した。


「静香!」


 静香は群衆のあいだを疾走した。そのまま、廊下を駆けぬける。


「なぜだ————」


 いのっちは、小太りサラリーマンのようにやつれた。お化け屋敷仲間はお腹を抱えて笑いながら、肉厚な肩をポンポン叩く。そして、いのっちをそそのかす。


「好き避けやって! 」

「なんしとうとや! 早く追いかけてやれ! 屋上でお前のこと待ってる」

「まじかああ! 」


 尻尾をひっぱたかれた馬のように、いのっちが全力で廊下を追いかける。いのっちの仲間たちは、みんなお腹をよじらせて笑った。萌映が、笑うタイツ集団に怒った。



 「変なこと、吹き込まんでよ!」




***********



 静香は、プレハブ小屋にある部室にこもって、すすり泣いた。アンプをつなげず、ギターの弦だけで奏でた。音は小さく、儚い。指が動くたび、ピンと張られた細い鋼の糸の震えが、耳ではなく指先に、音ではなく感触として伝わる。音楽というより秘密めいた呟き。ドアの外から佑太の声がした。


 「おーい。聞こえるか? 雪野静香、あなたは包囲されている。武器を捨てて出てきなさい———————」


 ドアの向こうから、棒読みの佑太の声がする。舐めている。だから、ガン無視した。怒りを感じると、涙がいっそう込みあげる。乃愛の声も聞こえた。


 「開けて————文化祭、佑太とまわるっちゃん」

 「ふたりで行けばいいやん」心の中でどうしてと思った。乃愛にはミドコロがいる。

 「一緒に行こ」

 「うちのこと、構わんでいいけん」

 「アキト先輩もおるっちゃん、いま」この期に及んで、ドア越しに釣ろうとしている。

 「嘘やん」静香は感情むき出しなった。

 「行きましょうか」


 佑太の小芝居が、ドアの奥ではじまった。


「残念やん。アキト先輩もおるのに。これから、3人でお化け屋敷行くのになあ———。1時間待ちのアトラクションをファストパスで行けるのに—————」

「煽らんどき。とりあえず、開けてよ、静香」乃愛もなんか笑いを堪えている。

「帰って」


 静香はきっぱり言った。乾いた砂を蹴るような掠れ声だった。ドアの向こうの乃愛も、可笑しそうに吹いていた。もう絶交って思った。佑太が、無神経に決めつけた。


「好きバレしたからっていじけんな」


 何様って気がした。ギターの糸が、静香の冷えた固い指先に絡み、ギターの音がうまく出せなかった。静香は立ち上がって、鍵を開けた。ドアを思いっきり開けて、突っぱねるように言った。


「うっさい」


 乃愛と佑太は笑っていた。舐めている。でも、それどころじゃなかった。息を呑んだ。意識は、光に溶けてしまいそうな男の人影に向いていた。


 アキト先輩がいた。


 小さな顔に大きな瞳。午後の陽だまりを掬いとった澄んだ瞳。黒く見えた瞳は、光の当たる角度によっては透き通った茶色に見えた。控えめなカラコンでもしているのかと思った。鼻筋はまっすぐ通っていて、その下に浮かぶ唇は女子のように、ほのかに濡れて見えた。彼は、錆びたパイプ椅子に身を委ねていた。長い脚を組んでいる彼はまるで、玉座に腰かけたような余裕があった。逆に、余裕のない自分が際立った。目を逸らした。逸らすしかなかった。目が合えば、自分自身が砕けそうだった。


 「先輩も待ってたけん、はい、これラムネ」


 にこやかな表情の乃愛が、うちにお詫びのラムネ瓶をくれた。なすがまま、それを手にとった。ラムネはよく冷えていた。同じくらいアキト先輩は冷ややかだった。アキト先輩はいじけて、篭っている人が嫌いみたいだ。


 「早く行こう」


 心が縮んだ。手もとのラムネに視線を落とした。アキトと乃愛、佑太を追いながら言い訳を探した。彼女さんはどうしたんだろう? 焦りだけが胸のなかでぐるぐる渦巻く。乃愛と佑太は、夫婦のように寄り添っている。いつから、仲直りしたんだろう。新校舎5階の多目的教室のまえに、長蛇の列ができていた。


「やば、めっちゃ並んどるやん!」

「まあ、今年の文化祭で一番人気やけん」


 2年の静香と乃愛、祐太、アキト先輩が最後尾に並んだ。祐太は声を弾ませ、ラグビー部のジャージのまま、その場でぴょんぴょん跳ねている。


「お化け屋敷にファストパスあるとか、初耳なんやけど」

「いのっちさん、さっき静香にガチ謝っとった。静香をお化け屋敷で詫びたいって。やけん、うちらVIP」

「あれ、めっちゃうけた。いのっちさんも、めっちゃ喜んどったのにさ。でも、静香も罪深いけん。すぐ、逃げるけんさ」

「はい。サイテー。静香、マジで泣いとったけん」乃愛が声を荒げた。

「泣いとらんけん!」静香はちょっと怒った。

「で、お化け屋敷行こうってなったら、アキトさんも興味持ってくれて」佑太はぴょんぴょん、軽躁に足を弾ませる。さっきのお詫びモードはどっかに飛んでいったみたいだ。


「るせえ。3年の奴らがマジでうるさいっちゃん。他校の彼女にお前のこと紹介したいとか、その彼女の友だちも来てて、実はお前と会いたがっとうとか。やけん、逃げてきた」


 アキト先輩は、うちたちとちょっと距離があった。ひとり、目を細めて天井を見上げている。アキトさんは後輩に囲まれて、とても窮屈そうで、ずっと物静かだった。あ、アキトさんの瞳が黒くなってる。


「やっぱ怖い」


 行列の長さに舌を巻きながらも、4人は最後尾に立った。乃愛は、この期におよんで、ちょっぴりナーバスになる。


「どんなのが出るのかな。ゾンビだったら嫌だな」

「なんでゾンビ?」佑太はあざ笑った。

「だって怖いやん。ゾンビが一番怖い。うち、グロいの嫌い」

「えー。そっち系? 逆やろ!」佑太が唾とともに笑い飛ばした。「ふつー、貞子とか花子とか、髪長い系やろ。俺は、長い髪をまえに垂らした女とか、首だけとか、逆さまで天井に立ってるのとか、白い目を剥けて這って歩くのとかが怖い」

「女ばっかなん」

「だって女の霊、怖いやん」

「意味わからん。いつもは、女慣れしとんのに」

「やかましいわ。ゾンビとか、まったく共感できん」

「うちも、女の霊は共感できんけん」


 たがいに共感できない二人は、袂を分かった。けれど、乃愛と佑太は笑い、いつの間にかふたりの世界が出来ていた。静香とアキトはのけものだ。入りこむ余地はない。乃愛は、「やば」とか「怖」とかを、長い脚をぴょんぴょんしながら連呼する。頭の中では、お化けに驚いて、悲鳴を上げ、リアクションしている自分を、何十回も脳内再生しているらしい。


 アキトと静香の間に、沈黙ができる。何も話すことがなくて、静香はすっかり手持ち無沙汰になった。だから、手に握ったままのラムネを開けることにした。ラベルを外した。プラスチックの留め具的なものはポッケに入れた。だけど、そこからがわからない。ひっぱっても、まわしても、キャップというか栓のような、フタとも呼べるようなものは取れない。キャップもどきの先っぽに、透明のビー玉がはめられいる。


「貸して」


アキトさんは言った。静香はそれを手渡した。アキトの爪に触れた。その爪は、縦長に広かった。綺麗なピンクで、女の子ならネイルしがいのある整った形。


「さっき、ポッケに入れたやつも」


 言われるがまま、静香は小さなプラスチックの留め具的なものも渡した。アキトは慣れた手つきで部品をいじくった。その部品から輪っかのようなものが分離できた。アキトは輪っかのとれた部品をラムネ瓶の先っぽにあてた。


 さっきまでの苦戦がどこ吹く風か、ラムネのビー玉は、無数の小さな気泡をまとって落ちた。アキトの手の中で、炭酸の泡がはじけた。アキトの手は濡れた。静香の手も濡れた。


「ごめんなさい」


 静香は、恐れ多い気持ちになって、ポケットからハンカチを取り出し、アキトに渡した。アキトはそれを断った。アキトは手をうしろにまわして、濡れた手を拭いた。


「すいません。よかったらどうぞ」


 申し訳ない一心でラムネを差しだした。反射的に詫びたいと思った。アキトは屈託のない笑顔をむけ、遠慮した。申し訳なさそうに静香は、息を呑むようにしてラムネを半分飲んだ。ビー玉がラムネ瓶のくびれの中でわずかに転がる。いつの間にか、乃愛と佑太は会話をやめていた。これまでの会話を余すことなく見られていた。


「いい感じじゃん。うちらが買ったラムネのおかげやね」


 乃愛がエクボ付きの微笑みを向けた。静香の心がギクシャクする。この複雑の心の揺れは、なんと言うんだろうか。乃愛のエクボが妙に深い。いつより深く感じた。それに釣られるように、唇の口角もいつもより跳ね上がっている。完全に、うちのことをいじってる。


「意味わからん」

「ラムネ屋さんも良かったね」乃愛ははぐらかす。「あいつら、まちがってラムネを千本発注して、いろんなクラスのライングループに助けてくださいって泣きついとったやん」


「実はそれ、裏があって。間違って発注したのはウソなんよ」佑太が首を突っ込む。

「は?」

「ラムネを売るための、デマ広告」

「えげつな、策士やん」乃愛は驚嘆し、そして、こすっからそうにうちのことを見やる。


 なんなの、その顔。仕組んだの? 静香は小さな怒りを感じた。炭酸の気泡が胃の中で、物理的にうちの腑を揺さぶる。べつの感情も、心理的に競りあがっていく。乃愛の軽いノリと煽りに腹立たしく思えた。でも、これ目の前にアキトさんがいる。一旦、堪えることにした。


「ごめん、ごめん! 待たせた」


 いのっちが、お化け屋敷の入り口から顔を出した。静香は慌てて、飲み干そうとした。だけど、炭酸が苦しかった。胃の中で炭酸が弾けて、内側がキリキリ溶けている。ゲップがしそう。だけど、まだ、半分残っている。ちょっとぬるくて甘ったるい。


 「おそいっす」佑太が唇をとんがらせた。乃愛と佑太が、列をなしている人々からの憎らしい視線を尻目に、お化け屋敷の暗い入口に乗り込む。


 「どうしよう」静香は狼狽した。ラムネは、まだ半分残ってる。

 「貸して」


 アキトは指で、瓶のくぼみを撫でるように確かめ、それから、唇に持っていく。ラムネ瓶の中に留まるビー玉が、低く鳴る。アキト先輩のくっきりとした輪郭を持った唇は、ほんのり赤みがかり、上唇は少し薄く、下唇は柔らかそうで少し厚い。唇は、雨上がりの石畳のように潤んでいた。ラムネの注ぎ口がアキトの唇を撫でる。ラムネが、アキトの口元に注がれる。傾いた瓶に注ぎ口から、たぷたぷと大粒の気泡が沸きたつ。それに合わせて、彼の顎から喉への切り立ったラインが、うねるように波立つ。


「ぬるい」


 アキトは微笑んだ。アキトの唇が濡れていた。間接って思った。


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