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走馬灯

作者: 秋葉竹




この水はただの水だが

じぶんではけっして汲めない

天の与えてくれたらしい

冷え切った、甘露。

この水を

早朝飲み干し目を覚まし

新しい日のはじまりとする。



ホントはさ

理由なんていらないんだけどね、

あまりに君の視線かまっすぐすぎて

まっすぐすぎて。

まっすぐな

視線にすこし照れながら

目を逸らしそうだから、

軽くキスする



運命の町ってわけでもないけど

いつもは忘れていても

折につけ想い出す

住んでいたのは一年ほどだったかな。

若かった

ふたりは宇治のマンションで

ふたりの暮らしをはじめた夏空



いつのまにかに

ひとは産み出されてすぐに孤りになり

むろん孤りで生きてゆき

死ぬときも孤り、死んでゆく。

爽やかな

風がやさしく頬を撫で

孤りで暮らす日を慰める



それが青春と云えばすこし映画みたいな

だなんてそんな綺麗なものじゃなく

急に友だちから恋人に変わったのは

あの一瞬。

はじめての

黄昏公園消えそうな

寂しさだけを理由にキスされ。



悪ぶってたそれが強いと間違えて。

けれども心はすこし落ち着いてくれた。

それならそんな間違いに

堕ちる心を委ねてみてもよいと想った。

悪役が

消えてくれないただの役

なのに心が染まる闇空。



あの頃みたいに痩せ狼になりたいな、

嫌われることを恐れなかった、

今は、なにかに怯える、

そして誰かを、狼と想う夜、

狼の

遠吠えを聴くこの部屋で

はるか昔の匂いがする闇。



ふたりで同じ布団で寝て

手を結んで眠った

君の寝言が僕を泣かせて

ホントは寝言じゃないのかと想った

からまった

心がほどけた深夜二時

鈍感ぶって寝ている振りした?



楽しげに生きたいなんて

へんな口ぐせ

楽しげに、じゃなく、

楽しく、でいいんじゃない?

楽しげに

生きたいなんて玉の汗が

君の綺麗な鎖骨に浮かんだ。







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