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エピソード4なんかいろいろ始まった

「さて、申し開きを聞こうか」と、全身の見た目が熊というか、熊が服着てるだけの先生が、ある生徒二人の前に静かに怒りを露わにし、質問していた。

脇腹に治療痕がある楓と、文字と模様が描かれた湿布のようなものを貼ってるエリミエールだった。

「ん?別にただ模擬戦をしていただけですよ」と悪びれることなく、いう楓。

「聞いてくれよ!ベアーノ先生よ!、彼は楓は天才だ!いや天才では収まりきれないよ!、死を直前に感じたのは久しぶりだよ!」と熱弁し始めた。

「そうそう、死を感じるほどの真剣に模擬戦をしていただけです」と辻褄が合うように、適当に追加する、

…というかクマの見た目でベアーノのとかギャグかよ。

と心の中で感じたことを奥底にしまいながらベアーノと向き合う。

「お互い致命傷になりかねない傷を作って、模擬戦だと?、はぁ、転校早々の子に何してるんだ、あっちの世界は殺し合いどころか、刃物さえ持ち歩けないほど平和な世界から来たんだぞ」と反省しないと半分諦めながらも、説教を試みるベアーノ。

「僕だって普通ならしないさ!、でもこれは止められなかった。そう運命ディスティニーさ!」

「ベアーノ先生、エリミエールは多分反省しないので説教を諦めてください、あっついでに俺の説教もお願いできますか?」

とついに楓は挑発してしまう。

「はぁ、まぁ君たちを反省させるとして罰は受けてもらおう、エリミエールは引き続きにはなるが、ALCに参加してもらおうか。」

「あー、さっき言ってたやつか」

「さっき?、あー最初からこれが目的だったな」とエリミエールを睨む。

A(アン)L(リミテッド)C(クラス)、これは学園の秘密警備組織、ようは裏の警察みたいなものである。

ここのメンバーは、学園で起こる命関事件(そのまま命の危険がある、または殺害事件)を担当する。

メンバー、実力はあるが問題児だらけで、やる気のため金も給料もあるが完全成果制である。

「断ったら?」

「私が全力を持って君を制圧し、記憶消去ののち、三ヶ月遅れで授業を送ることになる。」とエリミエールとも比べ物にならないほど、強い魔力ぽいオーラを出しながら言った。

「ほうALCか、だが…、なんかもうこの流れはやってそうだな、まぁ大人しく入りますよ、ベアーノ先生にはどうやって勝てなさそうな感じするし」異世界転校生は前にもいるので、どうせジョ○ョネタはやっている奴がいる気がしたからだ。

「ははは、それは現状は勝てないって言ってるようにしか聞こえないね」とエリミエールは楓と戦った感想を述べているかのようだった。

「はぁ、まあ入ってくれるならそれでいい、エリミエール!お前はさっさとクラスに戻れ、楓はあれを連れてさっさと指定の教室へ行きなさい、詳細は後日、他言無用だからな」

「はーい、ん?あれ?」とベアーノが指している先の扉を開けると

「くっま怖い、くっま怖い…」とかなり落ち込んでる美香が体育座りでそこにいた。

「…、こいつは対象外ですよね?」と怖いので逃げてみる。

「あぁ、反省させたからな、お前らと違って」とベアーノは皮肉を効かせる。

「あー、ひとつ言っときますと、こいつは常習犯ですよ」と言い残し、美香の足を引っ張りながら去るのだった。

「…」ベアーノは頭を抱え、無言でしっしっと手振るのだった。



「こらこら、どんな女性でも丁寧に扱わないと」と美香をお姫様抱っこするエリミエール、

「まぁ、そう言っていられるのも今のうちにだよ。」

と遠い目をしながら楓はいう。

そして、楓たちは指定の教室についた、

「大丈夫楓?」

「大丈夫ですの?楓!」

と駆け寄る二人、足を掴まれ引っ張られる美香は無視だ。

なぜまた美香がこうなっているのかというと、

エリミエールを認識した途端、エリミエールの服の中にカメラを突っ込んで撮ろうとして、エリミエールがあまりのやばさに放り投げた。

「ごめんよ、楓くん、僕が間違っていたよ、まぁそのなんだまた今度会おう」といいながら逃げた。まぁ、仕方ない。


「まぁ、怪我はなんともないよ、エリミエールもな」

「エリミエール先輩、流石にやばいかなと思ったけど、楓もエリミエール先輩と同じく急所外さなかったもんね」と無事を確認したので、ジト目で楓に質問する。

「いや、急所避けようと思ったよ、…多分、まぁ、いいやここには翔吾もいるのか」と誤魔化す。


「そうっすね、そいつもいる感じからして同じクラスのメンバーですね」と美香を見つけて翔吾はいう。

ちなみに余談だが、翔吾は最初にすごいバカと語ったが、楓たちと一緒に過ごすようになり、すごい馬鹿ではなくなった。


「こんにちは、さっきぶりだにゃ!、私はカレイナだにゃ!」と先程後ろから聞いたことある声がしたが

「「「「「にゃ?」」」」」と全員が後ろを振り返ると、全く見覚えのない姿のカレイナがいた。

見た目は、黒緑の長髪に黄色い瞳な少女、そして大きな特徴として、猫耳とながくうねるしっぽがあった。

「やっぱ獣人といえばこれだろおおおおぉおおお!」と楓は今まで1番大きな声で叫ぶのだった。

楓はケモミミ少女好きだった、最初に見たただの熊が獣人だとしたら実は絶望していた、そこからの救いが見た瞬間、楓は感動に達した結果である。

楓は、力づくで抑えられた、こういう時の楓は知能が下がり抵抗することさえ億劫になったおかげだ。


「さて、気を取り直してステータスを見せてもらうにゃ」

どうやら、異界転移した人にあるあるで、他の同年代と比べて魔力量などが多かったりするので、クラスに入れるための判断基準としてステータスを作るのであった。

といいながら、どこからとなく紙を取り出しそれぞれの目の前で止まり、みるみると文字が浮かび上がった。


「これで見られると思うにゃ」

「ほう」と楓はステータスを見た。

力     100

魔力量   900

魔法才能  計測不可(多分四桁越えなんじゃない?)

得意属性  なし(無敵性属性が存在しないため)

固有スキル 時を超越せし思考処理(アンリミテッドプット)L V1

能力詳細 0.1秒間の間、思考の速さを2倍早くできる。

「…」ちょっと一人目から言いづらい値でてるな計測不可ってなんだよ、適当なこと追加されてるし、とりあえずだれか他のやつ言わないかな。

「楓さん。俺はこんな感じですよ、力?ってやつが400、魔力量が600、魔力才能は150っす」

「わたくしは、力200、魔力量は750、魔力才能は300ですわ」とリィンの言葉に楓は何か悟ったが顔には出さない。

ちなみに

美香は力220、魔力量200、魔力才能220だ。

鏡花は力240、魔力量1200(おめでとう)、魔力才能500で一応5人の中で最高値だ。

「俺の力は100だな」

「楓、その力で。問題なさそうだよね、コツの極みだよね」と力で勝ってても意味ないと笑顔で楓をこころから褒める。

先程の自己流剣術も技の極みだ。

「力だけだとどうにもならないですね」と翔吾は遠い目をする。

「…400てっただの馬鹿力ですわね、魔力量はなんとなくわかりますが、魔力才能とはなんですの?」

「それはにゃ、魔力量はあなた自身が持つ魔力で、魔力才能は魔力を魔法に変換する際に効果に変わる倍率を表すものだにゃ、まあ基準は100分の1倍と考えればいいにゃ」

「つまり翔吾は1.5倍で低めで、鏡花は5倍とかなり多めってことか?」

「正直いうとにゃ、魔力才能の平均値は80〜120なんだにゃ、150でも十分高いにゃ、まあ魔法才能は魔法によっては効果が薄くなりすぎて、効果が働かないものが多いにゃ、四桁でもないと意味ないにゃ」

「…ちなみに四桁は存在するのか?」

「最近だと、750ぐらいが最高だにゃ」

「…、あー確定してしまった」

「何が?、…あっもしかして楓、異世界チート系主人公だった?、最初からそんな気がしてたけど」と鏡花は力無く言う。


「まさか四桁越えですの?、そうとしたらおかしな点がありますわ、あの魔法陣はなんですの?、攻撃強化魔法としてはほとんど攻撃されてませんし、みた感じ複雑な感じもしませんでしたわ、…全力だったのですわよね?」と軽めに疑惑の目を向けるリィン。


「あー、あれは立体魔法陣だから一般魔法からしたらくっそ複雑だな、しかもオリジナルだし」

「どういう魔法なのかしら」

絶対式魔法耐性付与(マナフルエンチャント)って魔法で、対象物に対して外部から魔術的作用の全てをただの魔力にもどす効果と単純魔力では破壊不可を与える術式だな」

「つまり、簡単に言えば、事実あらゆる魔法を無効化できるということですわね、もっとも膨大な魔力の場合、剣がたとえ破壊されなくとも吹き飛ばされるのでそれをそらす技術は必須ですわね」と楓を改めて賞賛の目で見る。

「楓にはそれができるということだね、まぁ知ってたけど」と楓の剣術を間近で見てきた鏡花は知ってはいるけど相変わらず無茶苦茶だなぁと思い、笑顔なのか真顔なのかよくわからない表情になっていた。


「まぁ、それはさておき、まあ適当にクラス決めといてくれ」

「まぁ、それは私の役割じゃないにゃ、まぁなんとかするにゃ、あとはこれにゃ」

と五つの光の塊が出現後、魔法の鍵みたいなものが現れ、

それぞれ一つずつを渡された。

「これはこの学園で使われる特殊な魔道具にゃ、まずはそれぞれこの魔術具に登録す…ちょっちょっ血じゃないよ!」無拍子で指の腹を斬ろうとした楓を止めさせた。

「なるほどな、焦ると語尾消えるのか」とふむふむと言う感じでカレイナを観察する。

「なんか、焦ってたとは言え恥ずかしいにゃ」と自分のケモミミを撫でながら照れるカレイナであった。

…ヒロインフラグたったな、と遠い目をする鏡花、リィンだった。

「これは多機能魔法鍵(マジックキー)だにゃ」

魔法の鍵は一定時間所持し続けると、登録固定ができるらしい。

登録後、これはさまざまな機能があるらしい。

まずひとつ目に学生証?みたいな役割を持つ。

二つ目に一定範囲を離れると登録者にテレポートする機能。

そして、

「専用の魔道具の鍵穴に差し込むと、鍵に登録された部屋に入ることができるにゃ!しかも部屋はカスタムし放題にゃ!」

「ほぉ、いいねぇ」となかなか悪い顔をする楓であった。


魔道具の登録が終わり、解散となりそれぞれの鍵の部屋に泊まる。

「っと言うわけでALCってやつに参加することになったんだ」

「…他言無用じゃないの?」と鏡花、普通に言っちゃうの楓らしいなぁと、特に問題視はしていない。こういうのは私にしか言わないから問題にならないということにしている鏡花だった。

現在、楓と鏡花は楓の鍵の中の部屋にいる。

二人は幼馴染で、しかも最近もお互いの家に泊まり合う仲だ。

男女で夜に部屋にいるのも日常である。

絶対付き合ってるだの言われていた要因ひとつである。


「まぁ、一応他言無用だけど、まぁ鏡花に言う分には他言じゃない扱いにす…なるらから大丈夫だ」

「またそんなこと言って!理論が暴走してるよ」といいながら視線を逸らし少し照れる鏡花であった。


「で、ALCに入るの?、私も誘ってるなら私も入るよ?」

「…ならまぁ、とりあえず大人しく入るとしますか」といいながらベットに大の字で寝っ転がる楓であった。


エピソード3 間話 クラス編成会議

「以上が、今回の転校生のステータスだにゃ、あとは頼んだにゃ」

「あ、かしこまりました唯一神さま、鑑定ありがとうございました。」と丁寧な物言いと金髪のイケオジが答えた。

彼の名前は、ゼウル・アトラスタイト、この国の名前はアトラスタイトである、つまり国王かつ、この学校の理事長兼校長である。

カレイナが職員室等から姿を消したあと、会議は始まった。

「クラス分けどうしましょうか」とカレイナがさるやいなや、頭を抱えるゼウル。

「久しぶりに計測不能が出てしまいましたからね」とベアーノも遠いところを見ながらいう

来年、クラスは魔力量と魔力才能の値が平均化するように組まれるのだが、他人と10倍以上違うと流石にバランスの調整が不可能である。

「まあ、計測不能はなるべく発表しないほうがいいので、…戦闘適固有能力のランクでやるしかないですね」とゼウルは苦渋の決断をした。

固有能力とは、魔力以外で魔法的現象を起こせる各個人がもつ唯一無二能力である。そして戦闘適固有能力のランクとは、その固有能力が戦闘向きかどうかだけでランク分けするものだ。

ランクは1番下がDランクラス上がAランクである。

Aランク、規格外の範囲かつ強い効果をもつレベル

Bランク、見渡せる範囲、またはそれに同等の能力

Cランク、戦闘にやくにたつ。

Dランク、戦闘には不向きである。


鏡花は、無限操手(むげんそうしゅ)、サイコキネシスみたいなもので、対象物を自身の手で動かせる速さで動かせるものである。つまり自分の力で動かせないものは動かせない、よって評価はCランクである。

続いて、リィンの能力は地を支配する女王(グラウンドクイーン)、地面にあるもの(土、岩など)を自由に操ったり、意思を与えゴーレムなど自動で動く傭兵を作れる。能力ランクA。


次に、翔吾、絶対的推進力(フルベクトル)、スキル使用中進行方向のあらゆる障害を必ず弾く。まあスキル中に突っ込めばほぼ勝ちみたいな物理法則的に圧勝しているため

能力ランクA


そして、美香、死角の覇者(デッドアイ)、発動中常に対象者の死角に転移及び、対象者から認識しづらくする。同時に4人相手にまで発動可能。能力ランクA


「…、これはこれで難しいですね、エリミエール君と相打ちしたらしい楓さんが一番ランクが低くなるんですよね」とゼウルは頭を抱える。

楓の能力は簡単に言えば詠唱省略、だがこの世界で詠唱省略はあまり意味をなさないためである。

「それは面倒臭いですねよ、ね!でも魔法と詠唱の授業を私がまず最初にすればいいですよ、ね?」と最後のねだけをわざわざ切ってしゃべる、青みがかった黒髪長髪、水色の瞳の、中級(ミドルクラス)

3年3組担当のミーラ・テンフォール

である。

「ふむ、この能力ランク自体、評価にあまり向いていないのは、仕方ありませんが、困る生徒はいないですからね」とM字のお髭を撫でながらしゃべるのは、同じく3年2組担当の

ダルタティ・コンチェットである。

「ミハイ先生がいないのに勝手決めていいものでしゃうか」と悩むゼウル。

「問題ありません、よ!あの人のクラスには素行、能力に問題のない生徒ですから、ね!」とミーラは気楽にいう。

「…、まあそういうことにしておきましょう、他の先生方もこのクラス分けでいいですね?」

「うちは人数的にも能力的にも他のクラスに転移者が入る前提でしたからね、問題ありませんよ」という趣旨の答えが返ってきた。

「これにて、生徒編成会議を終わります。」

と、問題はあったものの、楓たちのクラスは決まったのであった。


朝起きると鍵が光っており、触るとメールのようなものがホログラム状に浮かび上がり、

楓さんへ あなたのクラスは中級3年-3に決まりました、教室は以下の通りです。

と地図も付属していた。

「もはや、スマホだな、というかいうなら異世界スマー…」楓は朝寝ぼけていると、すぐアニメボケをかまそうとする。

「私も同じクラスだったよ~」と隣のベッドで寝ていた鏡花が楓を遮り話す、鏡花は寝ぼけていると語尾がゆるーく伸びる癖がある。

別の別途とはいえ、男女が同じ部屋で寝ているのに対して突っ込みを入れるものはこの部屋には存在しなかった。

鏡花は自分の部屋を使わなかった、このことが後の事件で不幸中の幸いとなるのだった。


楓たちは、指定の教室へ向かった、途中リィンに遭遇したが

「あら楓、私は3-2ですわ、…あなたたちまた一緒の部屋で寝ていたのかしら?、ずるいですわ!鏡花ちゃん、こんど私の部屋に泊まってほしいですわ」

と、言い残し別方向に歩いて行った、どうやらクラスごとに教室が存在するらしい、あちこちの建物に同じくらいの年齢の生徒がそれぞれ固まって入ってくのも確認できた。

「さて、教室はここか」と一つの両扉のある建物に入ると、無人受付らしきものがり、鍵をカウンターに置くと、教室への扉のロックが解除された、入ると再び鍵のかかる音がしたオートロック式ということだろう。

扉の先には、楓たちを含めて20人くらいの生徒がいた。

楓たちが入ってきた瞬間、全員がこちらを向いた。

「あ、もしかして転校生か?」ときてくる黒に緑のメッシュでガタイはかなりがっちり目な、

ヴォルテ・バーンがこちらによって来る。

「そうだな、よろしく」と当たり障りのない笑みを浮かべる楓。

「おう、…例の転校生ではなさそうだな」と少しこわばっていた顔がみなとけ、よろしくなどの声が聞こえた。

「例の転校生って何なの?」って鏡花は、近くの席にいた眼鏡をかけ、セミロングな女の子、

アリナ・ルミナスティアにしゃべりかける。

「…え、えっとね、転校生のなかにね、初日で職員塔に連れてかれた生徒がいるっていう噂があったから」と少し小声で語る。

「へー」と美香の方だよねと、希望的観測をみる鏡花であった。

「その噂って誰から聞いたんだ?」会話に楓が質問する。

「えっとね、広報部の人から聞いたよ、内容はわかってないらしいけど、たしか女子だったて聞いたよ」

「じゃあ俺じゃないな」と免罪符でも手に入れたかの様に気分が楽になる楓と鏡花であった。

内心、あっ男でやっぱ合ってたかと安堵する皆であった。

どうやら、エリミエールとの一件は周りに誰もいなかったことが幸いして噂になっていないようだ。


だが、そんなうまくいくことなく、

扉が大きな音を立てて開き

「大変だ!、あの変人必勝のエリミエール先輩が怪我をしていたんだ!」と叫び入ってきたのは、広報部の一人、ラット・ライドである。 

「変人必勝?」と急な展開にただ1番目立った単語をくちにし、アリナに視線を向ける。

「えっとね変人必勝っていうのは、エリミエールって人の二つなでね、この学園の中級に上がって以来あらゆる勝負に勝ってきたとても強い人なんだけど、一方ナンパとか奇行が目立つせいでそう名付けられたんだ。」

「へー、必勝なのか、じゃあそれが怪我したってことは?」

「あぁ、なにかやばいやつが学園に起こっている可能性があるかもな」ヴォルテは可能性の話をする。

「いや、それがさなんか、転校生と木剣で戦っておった傷らしい。しかも首だから偶然ってこともなさそうなんだ。」とラットが否定する。

「へー、俺たち転校生の中にそんな奴もいたのか」と楓は完全に知らんふりだ。

「うん、そうだね、びっくりぃ〜」と明らかに普段とは異質な態度になる鏡花であった。

「どうしたの鏡花さん?、ハーフエルフの女の子みたいだよ」というのは、赤髪長髪、ヴィラーナ・テラスパティがいう。

「○ゼロを知っているとは、日本文化予想以上に伝わっているな」とさっきまで会話を完全に忘れてアニメの話題に噛み付く楓だった。

「まあ、あっちの世界のもので例えるとパソコン?的なもので見れるからね」とアリナが追加で教えくれる。

「ほう、それはいくらなんだ?」

「えっと、ものによるけど、高度なものだと、150000ポイントぐらいかな」

学園内のお金は全てポイントになり例の魔法鍵に収納されるらしい、バイトなどをすると定期的にお金がポイントとして魔法鍵に送られるしくみである。ちなみに150000ポイントは、普通のバイトだと三ヶ月分くらいである。まあ高価である。

ちなみに、学校行事でいい成績を収めたりしても手に入る。

「まぁ、それはいずれ手に入れるとして、よろしくな」

クラスのみんなは頷くなり、返事するなりなんか平和にスタートするのであった。


「私はこのクラスの担任のミーラ・テンフォースです、楓さん、鏡花さん、このクラスと共にがんばりましょう、ね!」

なんかこのひと、最後の一文字が異常に遅いな、とか頭は思いつつスルーする楓であった。

「ここでの授業は、基本的に座学3割、実践7割となっていま、す、まずは魔法について授業しましょ、う」

と魔法の授業が始まった。


「楓君って結構大胆なんだね」と授業中爆睡をかましていた楓にアリナがいう。

「まあ、全部知ってたしな、ここにくる前に魔法の知識は一通り目を通し済みだったからな」

「あ、やっぱり元から知ってたんだ、私に教えくれてもよかったんじゃないの?」とすこしぷりぷりしてる鏡花である。

「まぁ、そういう契約なんだ」と鏡花に対して絶対通じない言い訳を楓はする。

「ふーん、そうなんだ」と一ミリも納得してない目でいう。


「おい、お前ミーラ先生の話はちゃんと聞きなさい!、あんな語尾でもすごい先生なんだからな!」と憤慨するのは、メガネをかけた、ルドル・エンファス、このクラスの委員長的存在である。

「まあまあ、そう怒るなって次の魔法の実践だろ、どこにいくんだ?」

「なら、魔法で勝負しろ!僕より劣っていたらちゃんと授業を聞くこと!負けたらなんでもいうこと聞いてやる!」と怒りながらいう。

「いや、負けの条件なんていらないな」

「いや、勝負である以上公平でなくてはな!」と謎の律儀をがすルドル。

「いや、真面目か、まあいいや勝負しようか」

と魔法のダメージを数値変換したくれる盾

「発動距離は自由、発動時間の制限は合図がでてから3秒いない、より多くの数値を出した方の勝ちだ!」

「発動時間制限長くないか?」と楓が疑問を投げる。

自身で魔法を使う方法は詠唱と魔法陣の2種類で、かなり複雑な魔法(火力が大きい、効果範囲が限りなく広い魔法)を使うには詠唱の方が向いてるが、基本的な攻撃魔法は魔法陣の方が向いている。その理由は単純に発動速度が訓練を重ねれば0.5秒以下まで発動時間を軽減させるのだ。楓の固有スキルはある程度の努力をすればほとんど辿り着ける領域なのだ、だから楓の固有スキルは弱いのである。

「魔法陣の特徴も知っているか、どうやら授業内容を、聞いてるのは本当みたいですね」ルドルの口調が丁寧になるどうやらいつもの口調にらしい、クラスのみんなのピリつきが無くなっていた。

「じゃあ合図は私がします、ね」とミーラ先生は出てくる、さっきまで変な語尾とか言われたことを気にして、会話に参加していなかった。まあ、どっちが勝っても問題ないからだろう、しかも対人戦でもないので授業の範疇である。

二人はそれぞれの間合いにつく、発動距離が自由なためだ、ルドルは遠い25メートル、に対し楓は1メートルとすごく近い。

「授業聞いてたか、怪しい位置だな」と少し荒い言葉遣いに戻るルドル。

「ではこのボールが地面についたら開始としま、す」と言いながら、ボールを上に投げた、とその時ミーラにひとつの思考が浮かんだ、楓がどんな魔法を使うかだ、魔法というのは基本的に、発動した瞬間より発動し終わった瞬間のほうが火力がでる、そのため威力の強い魔法は、広範囲、または速い魔法のため、どちらにしろ離れてうったほうが威力が出るためだ、だが楓はその距離的に考えて、その距離に合う魔法は初級魔法しかないはずだ。

ここにきて魔法才能について説明しよう、魔法才能は魔法を使う時の倍率と言ったが、複雑な魔法ほど、魔法才能の値は参照されにくくなる、かといって初級魔法を1.5や2倍したところで意味はないはずなのだ、だがここで楓の魔法才能を思い出したミーラは、

「あっ、まず、い」と言いながら、盾に対して、さらに魔法の障壁みたいので覆った。

その次の瞬間、ルドルからは

水と風の複合中級魔法 風魔氷弾(エアフアイススナイプ)

と風を纏って速度が恐ろしく速度の上がった氷の弾丸を放つ。

それに対し楓は、前方に炎を出す 揺れ出る灯火(ムーブトーチ)を放つ、いや本来この魔法は灯りとして使うものだが、楓の揺れ出る灯火は、楓の前方と盾の間に強大な炎を発生させた。

ルドルの盾の値は、500(この盾の上限値は1000、500はこの年にしては平均より100ぐらい上である。

一方楓は、150であった。

「なんで邪魔をするんですかミーラ先生!」と怒るルドル。

「はぁはぁ、この勝負は無効です、ね、楓君はまあなるべく授業聞いてくだ…、わぁ、あ」と楓に言おうとしたが、楓の腹部を見て言葉を止めた、楓の腹部からは血が流れていた。

どうやら、魔法を放つ時の衝撃で、しばらく大人しくしてもらうために、傷口をなくす程度の治療にしたのが裏目に出たらしい。

このあと、ベアーノ先生は、もう楓に罰を与えるのを諦めよう、となぜか逆に反省させられてしまう始末であった。



その日の授業終了後の職員塔にて…

「初級魔法で1500ってみたことある人いま、す?」

職員塔で話を聞いていた人は耳を疑った。

「初級魔法で1500ですか、そうですねかろうじて複数種類の、放出系の魔法陣を何十重にか重ねれば理論上はいるかと、あとは魔法才能が前代未聞の値じゃ…あぁ」と魔法理論専門のハン・ハールブラント先生は意見を述べた後になぜこのようなことを言い出したのか理解をした。魔法才能に関してはもうすでに結論は出ていた、そう4桁なら有効って話だ、今までそんな人間いなかっただけである。

「彼、魔法現象を物理に変換するという、絶対式魔法耐性付与(マナフルエンチャント)でしたっけ、とんでもない魔法を使った上に、魔法才能の有効活用まで、今まで十分に革命が起きてきた魔法もさらに進歩するでしょうね」

「あ、やはりそんなんです、ね」とミーラは天を仰ぐ。そもそも魔法現象全てに干渉することすら難しいことなのに、それを第一工程かの用にこなし、さらに物理に変換しているのだ、複雑にでも精巧に作られた魔法陣だろう。

「あれは、あの子と違って、固有スキルに頼らないものらしいので、魔道具に応用できますね、今度王城に魔法陣の情報を買い取ってもらうことを進めといた方がいいですね」

「まあ、楓さんに大金持ち確定です、ね」とミーラはこの魔法陣の価値を高く評価する。

「表現は気をつけなさい、生徒が真似するでしょう」とやってきたベアーノは注意した。

「あぁ、すいませ、ん、ところで何用です、か?」とミーラは返す。

「また、彼が問題を起こしたのかどうか知っとかないと思ってきました。」と頭を抱えながらいう、もうすでにことの大体は察しているのであくまで形だけの質問である。


「と、いうわけで、す、治療は私が完全に治しまし、た、あと今後勝負はよく話し合ってからにしますとルドルくんはいってまし、た」

「それだと、まるで楓は何も悪くないかのようだな」とため息混じりにいう。

「まあ、だいぶ大物なせいかくしてますよ、ね」とミーラは少し天を仰ぐ。

「あっ」とベアーノは、そのセリフを聞き何かを思い出した。

どうしたんですか?、という感じの質問に対し。

「エリミエールも、気に入っているくらいだ、楓なんかあの人の1番のお気に入りになる可能性あるな、あのかたに」

あー、という顔する会話を聞いていた先生方は皆同じ反応をする、納得だけど納得いかないみたいになっている。

「あのかたは、今から一ヶ月後あたりにくるといってたな」と頭をさらに抱えながら、諦めたように遠くを見つめるベアーノだった。


その日の夜、楓と鏡花は、マリィの部屋に遊びに来ていた。

「楓さんは全く無茶苦茶ですわね」

「いや、試したいこと試しただけだし、気にすることはないぜ」とそこに至るまでの過程は何も関係ないと言っているかのようだ。

「まあ、楓がこうなのは昔からそうだし、それよりこの部屋すごいね、マリィちゃん」とシャンデリアや豪華な装飾に包まれた広い部屋の大きなソファに座りながらいう鏡花。

「お父様のもらったお金を使えたので自分の部屋を再現しましたわ」と部屋の作り方はジオラマ感覚で楽しかったらしい。

「ふーむ、元の世界の文化だいぶ伝えられてるのもありそうだな」

「…、思ったことがありますわ」少し考えてから質問をするマリィ。

「なんだ?」

「ここにくる前から聞いてみたかったのですが、楓さんはどうして異世界の存在を元から知っているのかしら?」

「あっ、それ私も聞きたいな、ずっとはぐらかしているよね」と二人は楓に迫る。

「…、いずれ時が来たら教える」とそっぽをむく。

「あー、それ絶対誤魔化すやつ、こうなると絶対教えくれないよねー」とソファに深く座り直す鏡花。

「どうしようかしら、楓さん久しぶりに勝負ですわ!」とチェス盤を取りだした。

「ほういいだろう」と目つきが少し変わる。

30分後。

「…、本気の時は本当に勝てませんわね」と机に顔を伏せるマリィ。

楓は相手の思考パターンを全て読み切り最短で勝負を終わらせた、楓にはブラフも最適手も通じなかった。ちなみにマリィのチェスの腕前は例えるなら普通に世界目指せるレベルで強い。

「まあ、時が来たら教えるよ」と楓は繰り返す。

「まぁ、とりあえずそれでいいよ、どうせ教えてくれないし」

「まあ、いいですわ、それより二人には渡したいものがあるわ」と刀と白に白めの灰色線の紋章が描かれた剣を渡した。

「わぁ、刀だ!マリィちゃんありがとう!、かなりいいものだね、しかもこれ普通に名刀レベルだよ」と刀を受け取って鞘から刀身を抜いて見た、鏡花が満面の笑みで喜ぶ。

「ほうこっちは魔法剣かしかも魔法を付け替えられるやつか、しかも剣としての性能もすげぇ、ありがとなマリィ」

「おほほ、二人のためなら当然ですわ」とマリィは扇で顔隠しながらいう。どうやら万能魔法鍵の高級オプションなどをかえる高級デパートみたいなところにいってそこで見つけたようだ。

刀の方は、魔法に対してある程度耐性をもつ特殊な金属を一部使ってる特別品、魔法剣は魔法陣などをつけることによる真価を発揮するもので、とくにこれは自身が使えれば種類的には無制限に付与でき、空気に混じる魔力を吸収し蓄電する機能が高水準でついているこちらも特別品だ。

「お礼はいずれするぜ、まぁ秘密を教えるわけにはいかないからそれ以外のことでな」と楓は魔法剣を見つめながらいった。

「…、試し切りしたいなぁ」とこちらも刀に目が釘付けの鏡花であった。

「そういうと思いまして、良さそうなものを買ってきましたわ」と竹の生えた植木鉢みたいなものを取り出した。

これは、魔力がある限り斬られても一定の長さまですぐ伸びる、魔法で改良された植物らしい。鏡花は目を輝かせる。

「早速外で試してもらいますわ!」と魔法植物をもって外に出る。

出た瞬間、異様な気配を感じた。

「何かしら」と周りの様子を窺うマリィ。

「夜ってわけではなさそうだね」と警戒をする鏡花。

その時

「きゃあーー」と悲鳴が聞こえた。

その悲鳴を聞くや否や、楓は一目散にそっちに走り始めた、身体強化らしき魔法をまとって走っていった。

「今の声は、たしかアリナちゃん」と鏡花もそちらへ急ぐ。

「クラスメイトですのね」とマリィも急ぐ。


その時、激しい金属音のあとに何かを切り裂く特殊な音がした。

「あ、」と鏡花は手を頭にやった。

「今の音戦闘音がしましたが、最後の切り裂く音ってもしかして楓さんですの?」

「うん、しかも今の音の感覚的に、多分太さ的に首切ってる」

「…、まぁ現場を確認しましょう、流石の楓さんも何かしらの事情があるはず、です」とエリミエールの首を切りかけた事件を思い出したためめっちゃそっぽをむく。


現場には、楓と楓に治療を受けるアリナがいた、あたりには青い液体が散っていた。

「よう、二人ともこの子を治療塔に持っていってくれ、俺はやつを追う、首を切ったのに逃げやがった、まったく生意気なやつだ」と殺し損ねた事を後悔していた。青い液体はそいつの血らしきものらしい。

「えっと、つまりアリナちゃんが襲われていたから、それを助けるためにころ…、アリナちゃんは任せて、楓は追って!」と途中で質問を諦め、アリナを抱えて移動する鏡花、辺りを警戒してついてくるマリィ。


10分後、

「結局見つからなかった、まぁしゃーないか…、次は確実に殺」と物騒な事を治療塔(病院的なもの)を呟こうとする楓。

「はいはい、それよりアリナちゃん怪我のようさは大丈夫?」と腕と腹部に包帯を巻いているアリナの様子を窺う鏡花。

「大丈夫、腕は少し深く斬られたけど、腹部は楓さんが守ってくれたおかげで軽傷ですんだよ」と助けてくれた時のことを思い出しながら喋るアリナ、最初に会った時より明るめに喋っている。

「…、いや遅れてすまない、転移とか使えればよかったんだが実力不足だったすまない」と珍しく謝る楓。

この時、鏡花とマリィは思った、楓が謝罪する時は脳裏には全く別のことを考えてる時なのだ、きっと犯人をどうしてやろうかと考えてるに違いない。

二人は、なるべく楓と視線を合わさないように楓を見る。

「そんなことないよ、ありがとう」という、

「…恐怖とかなかったのか?」

「そりゃ流石に対面した時は怖かったし、腕を切りつけられて痛かったよ、でも楓君が助けてくれたんだよ!」

「…お前本当にアリナか?まあ、最初から悲鳴とか含めて演技な気がしたけど。」

「えぇバレてた!?あー、もっと内気じゃないのか?とか言いたいんでしょ、あれはある事情で仕方なくああしてるの」

「事情ねぇ、俺に話すってことは、なんとかしてほしいのか?別に殺す相手さえ教えくれればなんとか、むぐっ、なんだ?」鏡花が急いで楓の口を塞ぐ、

「すごい攻撃的な性格ですわね楓さん。」と普段見ない楓を見て何故か目をキラキラさせるマリィ。

「あぁ、楓はね眠い時にいろいろ物事が重なると残虐性が高くなるんだ」と、久しぶりに見るなぁー的な間の抜けた声で説明する鏡花。

「私のことは今回のことが解決したら話します、詳細は多分ベアーノ先生に聞けばいいと思う」とアリナは優先順位を決定する。

「ALCの存在知っているのか」

「あはは、それ機密事項だよ」と笑って誤魔化す、誰も怒るものはいない、そう彼以外は

「その話はひみつだといっただろ、まあ今回は状況的に一般生徒がいないから許しやろう」と生徒を助けているため強く怒れない微妙な表情をしている。

「まあ、バラすような奴には言わないよ」心の中で、バレたらどんな手を使っても口封じすればいいし、と付け足す。

ちょっと瞳から光が一瞬消えた、それを見逃さなかった鏡花は、楓が心の中で付け足したことをなんとなく察した。

「はぁ、まぁいいや、明日には戻ってるはずだし、多分」と自分の中で結論を出す鏡花であった。

「ごほん、本題いいかな」と普通にイライラしだしたベアーノが切り込んできた。

「あぁ、多分、俺がきったあの人間いや生物もどきの対処だろ」

「はぁ、まったく本当にどこで知ったんだか、まぁそれはいい、あれは一応ダンラルっていう名称とされ、見た目は今までに化け物や、精度の高い人間で、見分ける特徴が青い血を流すことぐらいしかない、非常に危険性も高い、厄介な生物だ」

「人間型ということは、知能も相当高そうですわ」とマリィは推察を述べる。

「そのとおり、見分け方が青い血しかないといったのはそれほど精巧に人間を再現できる能力と知能を持っていることだ。」

「てっことはやっぱあれは首が急所とかそういう話じゃないんだろうな」

「形を保てなくなるまで攻撃してから、魔法攻撃で完全に消し去るしか、ほとんど意味ないな」

「再生は?」と楓は疑問に思ったことを聞く。

「ほとんどのものはしないが、まれに回復できるものいる、そういうやつはとても危険だ、今回はその可能性が極めて高い。」

「あぁ、首というか、全体の2割失ったと考えると、それぐらいなら動けてたから、ヤバいやつかもな」と自身が見た情報と照らし合わせ、何故か少しわくわくしている楓であった。

「あぁ、今現場処理が確認中だが多分そうだろうな」

ダンラルの青い血大気中は放置しとくと危険な毒素に変わるのでその前に魔法で燃やし切るなりするための現場処理がいるらしい、ちなみにこちらは、資格らしきものを取得すると現場処理ができるらしい、深夜待機も含めると結構いい感じのポイントがもらえるらしい。

「とりあえず、夜が明けるまでは油断できない」

「日差しがやばいのか?」

「いや、やつらは日差しで砂になるとかではなく、夜になると隠密性が異常に増す上に、活発的に動くんだ。」

「ただ人間を苦しませ殺すためにいそうな存在だな」と、呆れ顔でいう。

「はぁ、全くもって同感だ、ダンラルはそのために存在してるようなもんだからな、詳細は今ここで話すわけにはいかんが」

と、ベアーノは、ため息をつく。

「まあ、そいつを殺せばいいんだな、なんとかするか」

「生徒に化けてる可能性があるから、昼間は昼間で見抜くのは不可能に近いぞ」

「まあ、そこは力技だな、全員の皮膚を切ればいい」と言いながらベアーノの軽いゲンコツを避ける。

「ダメに決まってるだろ、はぁ〜」と呆れて部屋を出ていくベアーノだった。


「さて、真面目な話、今回のダンラルは誰だろうな」と楓は悪い顔でそう聞く。

「私が見たのは、多分ルドルくんだったと思うよ」と周りを確認しながら言う。

「やっぱそうだよなぁ、つまり偽物ということだ、正直ああ言う真面目なやつを貶める行為は俺は好きだが、他人がしているってのが気に食わないなぁ」と手を合わせながら凶悪な顔で言う。

「自分勝手さが相変わらずだね」と、ですよねーっていうジト目で鏡花こちらを見てくる。

「私が思うに、単純に仕留め損なったから…、なんでもないですわ」と楓の元から濃い殺気がさらに濃く感じて言うのをやめた。

「楓君ってなんというか、魔王より魔王みたいだね」となんとなく、思いついた表現をそのまま口にするのだった。

これは、楓が魔王より魔王と呼ばれる始まりだった。










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