夢との出会い
第二章
あれから何日かが過ぎた。
3人は王都までやってきた。
ゴートは子綺麗な服ではなく、平民が着る様な質素な物を着ている。番兵からもらった選別の中に入っていたのだ。
元々着ていた服は、ゴートが持ってきた剣と一緒にヤワメがしまっている。
ちなみに命鈴は、逃げ出す前にヤワメがちゃんと回収していたので、今はオニオンの腰に収まっていた。
ここ数日で世界の情勢が少し変わった。
大人しかった魔物たちが、いきなり人々を襲い始めたという。
今までは、互いが干渉せずにそれぞれで生活を営んでいたのだが、どうやら魔族側で何か異変があったと人間たちは考えている。
おかげで、街から出よう物なら護衛の1人でも付けなければ退っ引きならない状況らしい。お金持ちなら正規の兵士を雇えるだけの金がある。が、そうでない人たちもたくさんいる。加えて、各地の魔物討伐にも人員がいる。
というわけで、戦力が足りていないという状況だ。
そこで、臨時の依頼所を立ち上げ、舞い込んでくる依頼を腕の立つ者たちに解決してもらおうという事になった。
とりあえず依頼を出してもらい、成功すればお金をもらう。危険な場所に向かうのは、名も知れぬ根無し草。信頼など皆無なので、格安で依頼できる。旅人は旅人でお金が必要なので少額でも引き受ける。その3%ほどを依頼場がいただく。
少額であれ、どんどん依頼が舞い込んでくる。ちりも積もればというやつだ。
そして、ここにも金のない寝無し草が3人いた。
もちろんヤワメはまだまだ金を持っているのだが、そんな事を馬鹿正直に話す妖精ではない。
ヤワメは彼女たちの財布ではないのだ。
「これ」
オニオンがドラゴン退治の依頼書を持ってくる。
彼女たちなら容易い依頼だろう、だが
「だめだよ」
ヤワメがピシャリと断る。
ドラゴン退治は危険ではない。だが、こんな3人がドラゴン退治したと世間に知られるのは危険だ。
「もう少し簡単なやつにしましょう」
王都までの旅の中で、ゴートもまた彼女の規格外の強さを知っている。そして彼もまたよく出来た人間なのである。この場にバカはオニオンだけなのだ。
そんなやり取りをしていると、すぐ後ろから声が上がる。
「あー!その依頼、私も受けたいやつなんですよぉー!」
振り向くと、ゴートと同じくらいの背丈の少女がそこに立っていた。バカが増えた瞬間であった。