たまねぎお生まれになる
「力を授けるとなると、色々準備が必要になりますね」
美人がうんうんと考え事をしている。
いくばくか悩んだ後に、手をぽぽんとさせる。
そんなこんなで転生について以下の事が決まったのである。
あの人も転生した世界に転生される。
神の力を吸収するために10年間土の中で眠る。
その10年で美人がたまねぎに相応しい武器を打つ。
せっかくなので美少女にする。
名前はオニオンでいいか。
といってもあの世界ではオニオン=たまねぎということではないので安心していいよ。
こんなところだった。
たまねぎ、もといオニオンには大半を理解する事ができなかった。
「ということで、よろしいですね」
美人がオニオンに笑顔を向ける。
オニオンは応えることができない。
「というわけで、いってらしゃい」
突如オニオンの目の前が真っ暗になる。
「それでは次の方どうぞ」
美人が手招きをしながら言うが、その言葉はもうオニオンには届いてなかった。
10年後
オニオンは目をパチリと開く。
真っ暗で何も見えない。
そういえば土の中で眠ると言われていた気がする。
あの話をしていたのが、つい昨日かのようにオニオンは思えた。
オニオンは無理矢理に体を起こす。
覆い被さっていた土が体から離れ、ついにオニオンは地上へと出た。
キョロキョロとあたりを見渡すと、側に鞘に収められた刀が置いてあるのが見えた。
オニオンが刀を持ち上げると、一枚の紙切れがはらりと落ちた。
何やら字が書いてある。オニオンは何故かその字が読めたが不思議には思わなかった。
この刀は特別な鋼で打たれた刀です。
名を神刀命鈴。あなたの旅に役立ててください。
そしてあなたが求める方は、フルーレンベルジュという貴族の元に産まれたようです。頑張ってくださいね、オニオン侍。
「めいりん」
ついオニオンは口を開く。心地よい響きだった。
「ふるうれんべるず」
こっちは言いにくかった。
ともあれ、目的は決まった。
あの人を見つけるためフルーレンベルジュという貴族を探そう。
ええいとオニオンが立ち上がったその時だった。
「おや?おやおやおや?こんな所に人がいるなんて珍しいね」
オニオンが声のしたほうを向くと、そこには黄色くて小さいやつがいた。