断罪後の知識を生かしてイザベルは、お茶を作る。
白亜の総大理石のテーブルの上には、なんとも不釣り合いなものが並んで置いてあった。
イザベルは、1つづつ確認していった。
・町の中にある赤茶の土
(そう、そう、こんな土じゃ植物が育たないわぁっていう感じの土が良いのよね。)
・汚い排水溝近くの水
・ミミズ様
・ビッテ草の種
・プランター(何でも良いって侍女のアンナに言ったけれど、このプランター随分豪華ね。フルール・ド・リス(百合の紋章)がついていて白磁でできているわ。)
イザベルは、慣れた手つきでプランターに土を入れて水をかけてその上に小さな種を等間隔に10粒程度置いた。
そして電光石火のごとくミ○ズ様も入れていく。
すると、すぐにビッテ草の二葉の芽が出てくる。
ミ○ズは、ビッテ草が好きなので近づいて触ったものを、迅速果敢ササーっと詰んでいく。
貴族のお嬢様とは思えない姿である。
一通り芽を積んだところで、侍女のアンナと植木職人パガニーニを呼んだ。
「アンナは、急いでフランシスを呼んできて。パガニーニは、プランターをもとに戻して置いて。」
そして、10分後には執事フランシスがトントントンとドアをノックする音が聞こえた。
「入って。」といったあと、イザベルは、優雅にソファから立ち上がり椅子に座るよう勧めた。
フランシスは、硬い顔をして「私が座るなんてできません。」といったが、「私が、はじめて入れたお茶が冷めてしまうでしょ。一緒に飲みましょう!」
といって、フランシスを座らせ、ティーポットから、お茶をカップに注いだ。まぁ、、お茶なんて国外追放されるまで入れたことがなかったので、フランシス、びっくりした顔をしているわ。
イザベルは、澄んだ黄緑色のお茶をフランシスに渡した。
「はじめてのお茶は、いつもお世話になっているフランシスに入れてあげようと思ったの。飲んでみて!」
イザベルは、フランシスがお茶を飲み終えるのをじっと見守っていた。