私負けませんわ。まだ一週間あるもの。なんとかして断罪回避しなければ。
18歳の時に断罪された悪役令嬢イザベル。王国追放から10年間は、野菜を作ったりしながら生活していた。 いつも通り朝起きると何故か、10年前に戻っていた。。
断罪一週間前である。周りの個性豊かな人々に助けられながらも断罪回避に向けて努力していくお話です。
恋愛要素は、少なめです。
「私、若くなっている。エエェェ!?」
ここは、緑に溢れ、群青の海に面したナント王国の中でも綿織物と海鮮が名産のガラント領である。
18歳のイザベル・フォン・ガラントは、明るい茶色でふわふわの巻き毛、釣り上がっているものの緑色の美しい瞳を持つ典型的な美女であり、領主ステファンと妻ミユーの一人娘である。また、1歳年上の天才児と言われた執事フランシスとは、幼なじみであり、親友であった。フランシスは、黒髪蒼眼に銀縁眼鏡が似合うクール系美青年である。
ステファンとミユーは、イザベルを甘やかし過ぎた。見目麗しい金髪碧眼のナント王国第一皇カールに一目惚れしたイザベル。ヒーロー皇子カールには、宰相の娘カミーユという銀色の髪、薄紫の瞳を持つ妖精のような婚約者がいた。イザベルは、ヒロインカミーユにあの手この手を使い、皇子カールとカミーユの仲を壊そうと努力した。
まあ、必然のことながら、皇子カール等に断罪されガラント家は、領地剥奪、王国追放となる。執事フランシスに至っては、責任をとらされ処刑。
見知らぬ土地で、イザベルら家族は、貧相な生活を余儀なくされていった。
つい昨日まで、必死に文筆業や野菜売りなどをして貧しく慎ましい生活をしていた28歳のイザベル。性格も、苦労の日々の末、わがままから賢く思慮深くなっていた。誰かを恨んでいる暇もないからである。
それが、今朝起きたら18歳に戻っているのである。
綺麗な衣服に、豪勢なお部屋。
「エエェェ」である。
「とりあえず、頭を整理しなくては。今は、いつかしら?」
ふと見ると日記が置いてあった。そこには、5月5日と書かれていた。
「確か、断罪されたのは、5月12日だったわ。」
イザベルは、ガラント産の「塩の結晶」のモチーフとした美しい万年筆を手に取りメモを書き始めた。
●断罪理由●
○カミーユ毒殺未遂事件(首謀者フランシス)
○税の不正(お父様)
○幾多のお茶会にてカミーユ様に様々の嫌がらせ
決定的なのは、断罪日の王室主催のお茶会
こんな感じだったわ。そう、断罪された日に驚いたのは、私の執事フランシスが私に内緒で毒殺未遂までしようとしていたこと。執事なりたてで、そもそも、あの真面目で常に冷静なフランシスが何故そんなことまでしたのか納得できなかったのだけれども。断罪日からは会うこともなく、処刑されたと知った時は、茫然自失となってハラハラと泣き続けたのよ。涙も枯れて、それでも生きていかなければと思って、、それからは毎日が大変で、、次第に記憶から消えていったのよね。
さぁて、今からでもできることを考えていくと、、
カミーユ毒殺未遂は、防ぐことができるわ。
フランシスに協力してもらって、あのときは何もわからなかったけれど、、真相を知る必要があるわね。
税の不正は、すぐには難しいけれども、、告発される前にお父様の事情聴取をしてその後、改善方法を探せばいいわ。
カミーユ様への嫌がらせは、難題だわ。そもそも、私、この頃わがままで何でも手に入ると思っていたのよね。仮に謝ったからと言って信じてもらえるかしら。
イザベルは、頭をフル回転させながら今後について考えていた。その時、一定のリズムで「トントントン」とドアがノックする音が聞こえた。
初投稿です。拙い文章でございますがお読みいただきありがとうございますm(_ _)m