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漆黒の翼

両親の墓で謎の煙が身体に纏わり付いて一ヶ月の月日が流れた。その間特に何もなかった。


と言うのは嘘であり、黒い羽を頻繁に見かけるようになった。最初はカラスだと思っていたその羽も、家の中で見かけるようになってからはもう何が何だか分からなくなってしまった。


不思議では終わらせることのできない謎を突き止めてみたくなった七穂は、謎の羽をよく拾う場所で張り込みを決行することにした。当然、一人では怖いので従兄弟の蒼汰ソウタも呼んで二人掛かりで謎を突き止める事にした。


「ねぇ、ななちゃ〜ん!やりたくないよぉ〜!侵入者とかだったらどうするの〜!」


「それを今から突き止めるんでしょ、ひ弱になってないで頑張ってよ!」


そう、一人が怖いとは言ったものの完全に選ぶ人間を間違えた気がするのだ。こんなにビクビクしている蒼汰が役に立つとは到底思えない。逆に怖さが倍増しそうだ。


「学校にいるときみたいにシャラっとしたオーラ出して気合入れて頑張ってよ!」


「無理だよぉ〜!あれは学校用のフル装備であって学校でしか発動できないのー!」


蒼汰は時々二重人格なのではないかと思うくらい性格が一変する。本人曰く他人から身を守る為の防衛手段らしい。


しかし、この変わり用はいつまで経っても慣れないであろう。学校だと生徒会の副会長なのにこの違いは学校の女子から見たらギャップとか言う奴になるのだろうか…









「しっかりしなさい!生徒会副会長萩原蒼汰!これは一大事なの、侵入者だったら色々大変じゃん!お願いだから頑張って!」


「うぅ…わかったよぅ。」


何とか蒼汰を説得し、取り敢えず家にあった虫捕り網と叔父さんから拝借したスタンガンを持ちそっと影に隠れる。蒼汰も渋々と影に隠れた。




隠れてから十五分ほど経過した時、七穂の目には不思議なものが映っていた。茶色の髪の身長の高い外国人の様な男が何処からともなく飛んできたのだ。歩いてきたのではない。飛んできた。


七穂は思わず目をこすり二度見した。黒い羽を忙しなく動かし、体は半透明に透けている。てっきり誰かの悪戯かカラスが忍び込んで来たのかと思っていた七穂は思わず声を上げてしまった。


「え…何これ…」


「ななちゃんどうしたの?なんか居た?」


「なんか今そこに羽のついた人間が…」


「え、そんなの何処にも居ないけど。」


「は?」


どうやらその不思議な生き物は七穂にしか見えていない様だった。そんな会話をしているうちに、羽人間(仮)は何処かへと消えてしまっていた。


「何だったの…」








蒼汰を見送ってから七穂はさっき見た生き物のことを思い出していた。羽が生えている人間と何回も不慣れなスマホで調べるも、一向に分からない。さっき見たのは幻覚なのではないのかとも思った。しかし、どうやら例の羽人間は『天使』の羽が真っ黒バージョン『堕天使』に類似していた。


『堕天使』は元は天使であり罪を犯した場合あのような黒の羽を持つらしい。


え、罪を犯したんだったら関わらない方が良くね…


肝心のどうして見えるようになったのかはともかく、七穂の中では良くなさそうな人とは関わらない方が良いと結論づいている為、今後一切関わらない事にした。七穂も復讐の為の厄介ごとなら喜んで引き受けるが関係のないことはやらない主義なのだ。


今日見たことは心に閉じ込めておこうと決心した。










人間は不穏な影にはあまり気づかない。

死を司る者は笑い、生を司る者は下を眺めた。

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