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私は王都行きが決まってからはベットの上でずっと考え事をしていた。精神的に体調をしばらく崩してはいたが彼と数日共に過ごして個人的にもだいぶ落ち着いた。
いつもそうだが数日から数ヶ月で吹っ切れるタイプなのだ。ただし、ご存知の通りそのせいで突然思い出していきなり「ごめんなさい」とか言っている訳だが…
さてとかんがえていたことについてだ。
一日の長さはもし1時間が地球と同じならば4倍と言うことになる。1年の長さも話を聞いた限り4倍だ。技術力の確認ついでになぜ青銅器がメインで鉄武器でないのか聞くと
「去年に鉄の量産技術が整ったばかりだ。ついでに魔導回路を鉄の製品に組み込む技術も今年の3月にやっと実用レベルが量産できるようになったばかりだ」
と言っていた。軍事機密ではなく国民全員が知っていることのようだ。理由としては討伐ギルドなるものがあり、防衛戦以外の私がモンスターと呼んでいた魔物たちを狩るのは彼らの仕事らしい。あと冒険者ギルドもあるらしいが何が違うかを聞こうと思ったが、なんでも聞くのはなんか申し訳ないので自分で後で調べようと思う。
あとは私自身が女であると言うことを自覚してきたような気がする。というよりこの体に精神が馴染んできたというべきか…。元々前世では男としての自分を受け入れ切れていなかった自分があるからかもしれない。
まあ、まだ色々考えてはいるがとりあえず出発は今日だ。
今は20時、私は基本夜型だったのだ。暗い方が気分がいい。
「なんだもう起きていたのか」
アルブレットはそう言ってきた。
「ええ私、暗い方が好きなので」
「そうか」
彼は納得したっぽい。そういえば私は名前無いんだよね。
「ねえアルブレッド、私の名前何がいい?」
唐突だが聞いてみた。話は唐突に振ると相手は面白い反応をする。これが面白いのだ。
「俺が名ずけ親になれってか?」
「そうよ。精神年齢を除けば肉体は1ヶ月未満の生まれたてよ。赤子に名前をつける感覚と変わらないはずよ」
「何を言ってるんだ?お前人間じゃないのか?その見た目で生後数ヶ月とか魔族とか湧いた魔物だぞ」
あ、言ってなかったけか。まあいいや隠す必要ないし。
「正真正銘の人間よ。今は」
「その言い方だと人じゃない時もあるみたいだが?」
「あるんじゃない?」
これに関しては私も検証していないから分からない。
「…なんだかなー。まあいい、名前か…名前…青い髪の毛…アイナ・ブルー・クライスとか」
「へー意味は?」
「ブルーは髪の毛の色からとったがそれ以外は一般的な名前から選んだだけだ」
適当だなと思いつつも言わない。というより髪の毛からとった名前がブルー?私はローズゴールドにしていたはずだが。と思い自分の髪の毛を見てみる。こういう時長いと便利だよね。邪魔だったり厚かったりするけど。で、肝心の色だ。手のひらに乗せた髪の毛を見てみるとそこに私は王都行きが決まってからはベットの上でずっと考え事をしていた。精神的に体調をしばらく崩してはいたが彼と数日共に過ごして個人的にもだいぶ落ち着いた。
いつもそうだが数日から数ヶ月で吹っ切れるタイプなのだ。ただし、ご存知の通りそのせいで突然思い出していきなり「ごめんなさい」とか言っている訳だが…
「なんだ気が付いていなかったのか」
「え、ええ。普段気にしないことには疎いもので…」
水色だからライトブルーとも思ったがさすがに名前に入れたらなんか言いにくそうなので突っ込みはしなかった。
それよりもだ、今まで特に気になっていなかった。いや王都に行けると聞いてなんか気にならなかったというか
「ねえ、すっかり王都のことで頭いっぱいになってて気にはならなかったけど、三日前にあなたに指令書渡した女の人誰?」
まあ、当然彼は言うのをためらったのだろう。ちょっと考えた後に「俺の上司だ」といった。絶対それだけではないはずだがまあ、深入りして良いことがなかった前世で学んでいるのだ。必要なら多分そのうち自分から話すだろう。
出発まであと三十分ぐらいだ。ということで指示された場所まで移動する。当然あの部屋に入ってからあの建物から出たことがない。正確には出るのがだるかった。もともと引きこもってても全然大丈夫な方…というより引きこもってないと安心できないタイプだったのっで外に出るという考えが思いつかなかった。
で、場所に到着すると思った以上に人がいた。十人ぐらいかなとか考えてはいたが、実際は三十人以上。よく見ると馬車が五つ、二頭引きでさらに引かない馬が五頭、なんか五つのうち三つの馬車はかなりの量の荷物が乗っている。
「あのう、これは私たちだけで移動するのではないのですか?」
なんかよくわからないので質問することにした。アルブレッドさんは素直に答えてくれた。
「それでもいいが費用が無駄にかかるのとどうせなら大所帯で移動したほうが安全だからだ。護衛任務も兼任すればこちらとしてはお前ひとりを護衛するのと違って収入があるかな」
あーとっても現実的な回答でなんもいえねー。つまりは護衛任務として費用をもらうことで私の護衛人と相殺ってことですね。つまり私の守りは薄くなると。
「まあ、心配するなお前の護衛は元四班がメインで行い商人や馬車の護衛が足りないときにだけ手を貸すから基本的にお前の周りはとても安全だ。それに、現状お前には狙われる理由がないから俺たちがついていくのは盗賊とか危険地帯でお前を死なせないようにするためだ」
なんか私のためだけにいろいろ用意してくれってありがたいような謝るべきか…
結局そのまま時間になり商会の人たちや護衛の人たちと挨拶をし、軽い打ち合わせをして出発したのだった。というよりあの荷物いっぱい乗っているの全部商会のものなのか。