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九尾狐第二の狐生  作者: 立夏
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005

 そこに現れたのは、紫紺の髪の毛をなびかせる絶世の───


「ふむ。久しぶりであったが、まぁなんとかできるようじゃな。色々と小さいがの。」


 ───幼女であった。しかも裸である。

 ……それではもちろん、威厳は皆無である。

 ……あれ、なんで儂ロリなんじゃろう?

 能力値は、前と変わらないはずなのにっ!


「なんだ!ちびっこじゃねぇか」

「あんなにちっこいのにしかなれないのに、よく大口を叩けたな!」

「うおおおお!幼女だ!幼女だ!うわっほう!」

「うへへへロリだロリ。」

「ちびっこちゃんには、紅葉さんの相手は務まらないと思うぜ!」

「ふっ、戦闘力たったのAですか。ゴミですね。」


 など、大半が嘲笑じゃな。

 が、もちろん儂はそんなことを気にするはずもなく、自身の体をペタペタと触っていた。

 気にしてないもんね!


「おい、そこのおぬしら。」


 先程、儂のことをバカにしていた狐たちがいるところを向いて言った。

 急に指をさされた狐たちは、少し驚いてしいーんとなった。

 そこへ、儂は言葉をかける。


「儂が、もう少し力を取り戻せばナイスバディになるんじゃからな!」


 本当は違うんだからね!勘違いしないでよね!と。(意訳です。違う可能性もあります。)

 何を自分で言ってるんじゃろ?


「なれるもんなら、なってみろよ!」

「ちびっこ!できねぇことは言うもんじゃねぇぞ!」

「ナイスバディだとっ!」

「見たい。」

「ロリじゃなくなる……」

「戦闘力が、上がってもAから、Bになる程度でしょう。」


 やはりまたしても嘲笑が多そうだ……嘘。

 訂正しよう。

 変態が多そうじゃ。


「あなた!私のことを無視して、観客とおしゃべりとは余裕ね!」


 しびれを切らしたように、紅葉が言う。


「余裕じゃよ?おぬしこそ良いのか?儂が話している間に、攻撃をしておけばよかったものを攻撃しなくて。」


 儂は、余裕を見せてそう言う。


「私は、そういうのはしないって決めているの。そんなことしたら、不公平じゃない?」


「そうかの?」


「ええ。そんなことしたら、あなたがかわいそうだもの」



 紅葉はそう言って笑うが、実際は内心とても焦っていた。


 ちっ、なんで話している間も隙がないのよ。


 扇は、観客と話をしながらも一切の油断を見せないため隙がないのだ。

 紅葉はブラフで、虚勢を張っている。

 紅葉は全く余裕などなかった。



 ブラフじゃな。


 もちろん儂は簡単に、紅葉のブラフを見切る。

 頑張って虚勢を張ってもらうかの。なんか見てると面白いしの。

 だいたいこういう場面になると主人公は覚醒するからのう。


 儂の方は余裕であった。


 なんで、ブラフって言葉を知っているかというのは聞かないお約束じゃ。



「それは嬉しいの!では、儂からいくとするか。」


「やれるものなら、やってみなさい。」


「よし、ではいくぞ!」


 そう言うと、目を細くして扇は地面を蹴る。そして、地面を這うようにして走り紅葉に近づく。そのまま、紅葉の顔に自身の拳をぶつけ──なかった。

 急停止して、

 そうじゃ!儂天才じゃからひらめいてしまった!


「なぁ、おぬしは変化できないのかの?」


 紅葉の、人に化けた姿が見てみたい。

 その証拠に目をキラキラさせて見せる。

 うへへ。人型みたい。



 が、


 それに対して紅葉の方は、儂の拳から生まれた風圧で吹き飛んでおった。

 軟弱じゃのう

 距離にして約十五メートル。

 拳によって生み出された暴風によって、周りの観客達も吹き飛んでしもうた。

 じゃから、軟弱じゃのう。


「何を飛んでいっているのじゃ?」


 儂はそう言ってわざわざ紅葉を追いかけてやる。

 軽く二歩で追いつき捕まえる。


「儂は質問をしてるのじゃ。早く答えるが良い」


「できないわけないじゃない」


 うむ。なるほどの。

 それじゃ、


「はようなれ」


「は?」


 紅葉のやつ、とぼけた顔をしておる。

 なぜじゃ?会話の流れでわからんかの?


「だから、変化しろと儂は言っておるのじゃ。待っててやるから」


 儂がそう言って少し睨んでやると、紅葉はブルルと震えてから


「わかったわ。やってやるわよ」


 そう言って儂を蹴って、距離を置いた。


「チッ」


「そんなのは当らないのぅ」


 儂は当然避ける。

 ま、当てる気もなかっただろうしな。


「ま、なんでも良い。早くやっておくれ」


 催促をする儂。

 それに対して紅葉は、


「いまから変身しようと思うけど、あなた……」


 儂?


「なんで裸なのかしら?」


 ふむ。ふむふむ。

 儂はそのまま下を向くと、固まった。


「……いやん、み•な•い•で❤︎」


「「「「今気付いたのっ?!」」」」



 えと、その前は変化した時に一緒に出てくる仕様じゃったから………。今回もそうだと思って。


 コホン。


「………変化」


 ボン


 変化してしっかり着物を着ておいたから、問題ないの。


 ……恥ずかしいから、逃げる。

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