第8章私。ゲームします。
ある日の休み時間。
結衣と愛美は話をしていた。
「それでね。ライオンは人間の様に回復しないって言ったんだって。」
「えー。愛美ちゃん。絶対治ってないよ。知り合いに、同じ様な怪我した子居るけど、確か8ヶ月くらいスポーツ禁止で破ると再発の恐れがあったはずだよ。完全復帰には1年は掛かるって」
そんな話をしていると結衣はふとある事に気付き愛美に尋ねた。
「愛美ちゃんてさ。一日中練習してるよね。」
「そうだね。まあ結衣もだけどね。」
「それで授業中も結構サッカーのこと考えてボーっとしてたりするよね。」
「確かに。まあ。あんまり良くない事だって分かってるけどね。」
「愛美ちゃんってサッカー以外に趣味ある?家とかで普段何してるの?」
すると愛美は困った表情を見せた。
「私、何も無ければ結構9時位に寝ちゃうんだよね。でもお母さんの手伝いとはしてるよ。料理とかお掃除とか」
「可愛いな。でもそういう事じゃなくて。世の中の役に立たないことだよ。」
「そうだね。雑誌読んだり、ゲームしたりするかも。」
「へえ。どういうの読むの?」
「雑誌は○ンバーとかサッカー・○イジェストとかかな。あとゲームは良く○IFAとかやってる。」
「どっちもサッカーじゃん。でも愛美ちゃん。○IFAやるんだ。今度一緒にやろうよ」
「えっ。でも私コントローラー一つしか持ってない」
「どうして?対戦とかしないの?」
それを聞くと愛美は落ち込んだ顔を見せた。
「私。一緒に○IFAするような友達、居なかったから。」
結衣はその言葉を聞いて、(しまった)と思った。
そしてこのまま愛美を悲しませてはいけないと思った。
「大丈夫。たしか先輩も持ってるからコントローラー借りてくるよ。先輩と話すきっかけにもなるし、愛美ちゃんとゲーム出来るし嬉しいな」
「結衣。」
愛美は凄く嬉しそうな顔で結衣を見た。
結衣は言った。
「じゃあさ。明日とかどう?たしかあさっては練習ないから、丸一日休みでしょ。明日愛美ちゃん家に行くよ。」
「明日。随分急だね」
そう言われて結衣は少し不安になった。
「もしかして迷惑だった?」
すると愛美は嬉しそうに答えた。
「ううん。凄く嬉しい。明日は一晩中、○IFAやろうね。」
結衣はさすがに練習後に一晩中ゲームをするのはきついのではないかと思った。
しかし、愛美の笑顔を見て、この笑顔を守りたいと思い言った。
「勿論。楽しみだね」