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第1章私、ラブレターもらいました。

ある朝。

玲が昨日のアニメを思い出しながらにやけていると、珍しく結衣が話しかけてきた。

「ねえ。玲。玲ってもてたいの?」


玲はたちの悪い者を見る目で言った。

「何?なにかあったの?」


すると結衣はにやにやした様子で玲のほほをつついて言った。

「質問に質問で返すとは。玲の癖に生意気だぞー。」


玲は苛立ちを隠さず言った。

「何よ。早く言いなさいよ。馬鹿の癖にもったいぶるんじゃないわよ。」


普段の結衣なら怒るところであるが今回の結衣は冷静だった。

「玲ー。それが人にものを尋ねる態度かな。まあいいや。教えてあげる。なんと朝、下駄箱にこんなものが入っていたのです」


結衣が玲に見せたのはピンク色の便箋だった。

中には放課後、校舎裏に来てほしいと綺麗な字で書いてあった。


それを見て玲は頭を抱えた。

「嘘だわ。きらきら女子の私がまったくもてないのにこんな変態ストーカーに春が来るだなんて。信じられないわ。」


結衣は、得意げにイケボで言った。

「ごめんな。玲。俺。結婚するんだ。お前以外の女と」


玲は悲鳴をあげた。

「私の推しの声まねはやめなさい。妙なこと言わないでよ。現実になったらどうするの」


(いや。そんな内容のアニメになったら大炎上でしょ)

結衣はそう思いながらも口には出さず言った。

「まあ断るんだけどね。私は先輩一筋だし。」


その言葉で友人に抜け駆けされる不安から解放された玲は、少し落ち着いた様子で言った。

「そうよね。ストーカーはストーカーだものね。そこの筋は通すわよね。」


その言葉に結衣は言った。

「でも正直嬉しいよね。傷つくリスクを覚悟で自分に好意を伝えてくれる人が居るんだから。」


玲は机を叩き言った。

「くそ。いい女感だしやがって。」


結衣は言った。

「でもどんな人なんだろう。」


玲は吐き捨てるように行った。

「きっと凄い不細工よ。信じられないくらいのね」


(玲は美人なんだけどそういうところが駄目なんだよなー)

結衣はそう思いながらも口に出さずに話題を変えたのだった。



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