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第34章私。サッカーやめます。

結衣はグラウンドに一人残り練習している先輩の所へ向かった。

「大丈夫か?」

結衣は酷い顔をしていたため先輩は心配して尋ねた。

「先輩。私と付き合ってください。」

結衣の真剣な顔に、先輩は驚いた。

「どうしたんだ?」

先輩の問いかけに結衣は愛美との出来事を話した。

そして言った。

「先輩。私は先輩が好きです。彼女になりたいし、結婚したいです。でも今の関係も楽しくて、このままでも良いと思ってました。でもそのせいで皆に迷惑をかけて、愛美ちゃんを傷つけてしまいました。だからけじめをつけようと思うんです。先輩。真剣に考えて下さい。私と付き合ってもらえませんか?」

先輩は少し考えて言った。

「良いよ」

「本当ですか」

結衣は嬉しくて涙を流した。

すると先輩は言った。

「俺はプロを目指してる。特に将来は海外でやりたい。だから、付き合って結婚する以上はそれについてきて俺を支えて欲しい。」

「はい。勿論です」

「だからサッカーは今すぐやめて、英語と料理の勉強に集中してくれ。あと、その愛美ちゃんっていう友達にはもう仲良くするな。彼女とお前は生きる世界が違うんだ。」

結衣は先輩の突然の要求に驚いた。

もっとも彼女にとって一番大切なのは、先輩のお嫁さんになることである。

だから彼女は首を縦に振ろうとした。

しかし、どうしても体が動かなかった。

(どうして?私にとってサッカーとか友情は二の次だったはず。ただ先輩が居れば他は何もいらないと思ってたのに。なのにどうしてサッカーと愛美ちゃんのことばっかり頭を巡るの?)

結衣は自分で自分の心が分からなくなり、その場で固まった。

それを見ると先輩は笑って言った。

「嘘だよ。」

すると結衣はすがる様な声で言った。

「嘘なんですか?」

「ああ。正直、頷かれたらどうしようかと思ってた。そんなお前の姿見たくないからな。でもこれで分かっただろ。二葉は自分で思っているよりもずっとサッカーとその友達の事が好きなんだよ。」

結衣は先輩の発言に驚いた。

するとその様子を見ながら先輩は話を続けた。

「俺もさあ。昔はお前の事が嫌いだったんだ。」

「そうなんですか?」

「ああ。お前の友達と同じ理由だ。お前は普段はめちゃくちゃだがサッカーをやってるときだけは凄くカッコいい。特に、体の強さと運動量は凄い。俺みたいなキックの技術だけで必死にやってる奴からすると憧れの的だ。そんな奴が、好きなのは俺で、サッカーはそのための手段だっていうんだぞ。そりゃ腹も立つさ。」

「でもある時気付いたんだ。こいつ。嘘つきなんだなって。お前。俺のサッカーやってる姿を見て俺のことを好きになったんだろ。その時好きになったのは本当に俺だったのか?」

「どういう意味ですか?」

「お前があの時、恋したのはサッカーなんじゃないのか」

結衣は焦った表情で言った。

「そんな事無いですよ。私先輩の事大好きです」

「じゃあその友達の事は大大好きで、サッカーのことは大大大好きだ。」

結衣は少し考えてから、驚いた表情で答えた。

「自分でも信じられないんですがそうかもしれません」

すると先輩は笑い出して言った。

「じゃあ。後は簡単だ。サッカーは一人じゃ出来ないぞ。特にお前は中盤だからな優秀なストライカーが居て初めて結果が出せる。」

「先輩。ありがとうございます」

結衣は先輩に頭を下げた。

先輩は少し照れた様子で言った。

「全く。俺も苦労するよ。お前が天才なせいでせめてプロになってからじゃなくちゃ、かっこ悪くてお前に告白出来ないからな。」

結衣は驚いた様子で言った

「先輩。今。何か驚くべきことを言いませんでしたか?」

「まさか。聞こえなかったのか?」

「はい。」

「お前。本当に残念な奴だな。」

先輩は呆れた顔でそのまま練習に戻ったのだった。


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