第33章私。試合に出ます。
それからしばらく時間が経ち、夏の大会に向けたベンチ入りメンバーが発表がされる事になった。
結衣はメンバーに選ばれた。
これに対して愛美はメンバーには選ばれなかった。
結衣は自分がメンバーになったことを報告しようと先輩を探した。
すると部室の周りをゆっくり歩いていた愛美を見つけたため声をかけた。
「愛美ちゃん。先輩見なかった。」
「見てない」
愛美は消え入りそうな声で答えた。
「愛美ちゃん?」
結衣は愛美の顔を覗き込んだ。
愛美は泣いていた。
「愛美ちゃん。どうしたの。大丈夫?」
「大丈夫」
「泣いてるの?」
「大丈夫」
愛美はそのまま立ち去ろうとした。
結衣は愛美をとめた。
「大丈夫じゃないでしょ。なにか有ったの?」
すると愛美はいきなり結衣を怒鳴りつけた。
「分からないの?メンバーに入れなかったからに決まってるでしょ。」
「えっ。でもまだ1年生だよ。」
結衣の不用意な言葉は愛美の怒りを更に増大させた。
「結衣には分からないよ。先輩が好きとかいう不純な理由でサッカーやってるくせに、凄い上手くて、簡単にレギュラーになっちゃう。そんなあなたにサッカーが好きで一日中練習してるのに下手くそな人間の気持ちなんて。」
結衣は愛美の言葉に衝撃を受けて返事をする事が出来なかった。
すると愛美は話を続けた。
「結衣にとっては私は滑稽だろうね。下手くそなくせに1年でレギュラーになれなかったくらいで落ち込んでるんだもんね。」
そういうと愛美は泣きながら走り去った。
結衣は呆然とした様子でその場に立ち竦んだ。
(愛美ちゃん。ごめんね。そうだよね。一生懸命にやってる中に私なんかが居たら迷惑だよね)
(サッカーやめようかな。皆の迷惑になるだけだし。それで愛美ちゃんにはもう会わないようにしよう。私は愛美ちゃんを深く傷つけてしまったから。でもその前にやるべき事が有る。)
(まず、先輩との関係に決着をつけよう)




