第31章私、バイキングで王様になります。
「凄い!お寿司まで有るんだ」
結衣はバイキングの品揃えを見て凄く驚いていた。
寿司やカレー、天ぷらなど、結衣にとって、特別な日に食べるべき食べ物達が惜しげもなく置かれていたためである。
「王様って毎日こんな物を食べてるのかな。」
結衣は心を躍らせながら、サラダ、カレー、寿司、天ぷら、蕎麦、ローストビーフ、スープ、ポテト、卵焼き、野菜炒めを採り、皿に盛り付けていった。
席に付くと、既に愛美は、戻ってきていた。
結衣は愛美が食事をしている様子を見ると驚いて言った。
「えっ愛美ちゃんってそれしか食べてないの?」
愛美のテーブルの上には、ローストビーフしか乗っていなかったためである。
すると愛美は脇目も振らずに言った。
「調べてきたんだけど、ローストビーフが一番、原価率が高いらしいから。私は結衣みたいに大食いじゃないし、一つのことに絞らなくちゃ」
結衣は愛美の言葉に驚いて言った。
「でも愛美ちゃん。見てよ。私のお皿。王様だよ。愛美ちゃんは王様になれるチャンスが有るんだよ。ローストビーフだけで良いの?」
「結衣。どんなに王様でも勝たなきゃ意味無いの。」
そう言うと愛美はローストビーフを食べ切り、再びローストビーフを取りに行こうとした。
(凄い。王様よりも勝利を取るんだ。)
結衣は驚きながらも愛美を止めて言った。
「愛美ちゃん。もしかして一回ずつ取りに行くの?」
愛美は言った。
「そうだよ。ローストビーフだけは一皿づつだから。」
それに対して結衣が言った。
「だったら私の食べなよ。それ食べ終わったら一緒に取りに行こ。そしたら二皿ずつ食べられるでしょ。」
しかし、愛美は首を横に振った。
「結衣。それは駄目だよ。私はスポーツマンとしてずるはしたくないの。」
「かっこいいな」
結衣は、その様な笑みの様子を微笑ましげに見ていたのだった。




