第25章私。勉強会に行きます。
結衣は中間試験に向けた勉強会として先輩の家を訪れていた。
先輩はお茶を持ってきて結衣に渡すと言った。
「二葉。桐はまだ学校から帰ってこないから取り敢えず2人で勉強するか。」
すると結衣は驚いた表情を浮かべて言った。
「えっ。本気で勉強するんですか?」
先輩は呆れた様子で言った。
「当たり前だろ。何する気だったんだよ」
結衣は真剣な表情で言った。
「いちゃいちゃですよ」
先輩は吐き捨てるように言った。
「しない。俺はお前の所の顧問からお前になんとか中間試験の補習を回避させるように頼まれているんだ。」
結衣は言った。
「先生も大げさですね。さすがに補習くらいは回避できますよ」
そして結衣は笑った。
しかし、先輩の表情は真面目なままだった。
結衣は不安になり言った。
「私ってそんなにやばいんですか」
先輩は答えた。
「ああ。教師の間で話題になるくらいやばい」
それを聞いて結衣は少し考えた後に言った。
「もしかして愛美ちゃんの白鳥事件が原因で先生に警戒されているんですか?」
先輩は困惑した表情で言った。
「なんだよ、それ?お前、何をしたんだ?」
結衣はごまかす様に笑い言った。
「知らないなら良いです。ただちょっと先輩への愛情があふれすぎただけですよ」
先輩は言った。
「後で問いただすからな。取り敢えず続きだ。他に何かないのか?」
結衣はひらめいたように言った。
「分かった。生物の確認テストで全部花粉管って書いたことですか?」
先輩は驚いた様子で言った。
「なんだよそれ?お前本当に何やってるんだよ」
結衣は得意げに答えた。
「でも3つ合ってて15点でした。」
「意外と花粉管が答えだったんだな。だがそれじゃない。俺が聞いたのはノリでなんとなく数学を解いた話だ。」
結衣は納得した様子で言った。
「ああ。あれですか。印象薄かったので忘れてました。」
先輩は呆れて言った。
「二葉。お前相当やばいな。取り敢えず数学から徹底的にやるぞ」
すると結衣は立ち上がり、先輩のベッドに腰掛けると言った。
「先輩。勉強よりも楽しくて気持ち良いことしません?」
先輩は言った。
「二葉。本気で殴るぞ」
結衣は床に崩れ落ちた。
「そんな。私の誘惑が通じないなんて」
先輩は結衣を無視して教科書を開き言った。
「良いからやるぞ」
「はーい」
結衣は元気に返事をして勉強を始めたのだった。




