第24章私。腕相撲します。
放課後、クラブが終わって結衣と草壁舞が話をしていた。
舞は高校2年生でサッカー部の先輩である。
背は中くらいで日焼けで真っ黒で見かけからして元気な事が伝わってくるタイプである。
また少年の様な性格をしていて自分の事を俺と呼び、ポジションはフォワードである。
舞はいつものように元気いっぱいに結衣に言った。
「結衣。つまりお前は俺より力が強い。そう言いたいわけだな」
結衣は自信満々に言った。
「そうとらえていただいて構いませんよ。舞先輩に負けるようなら先輩のストーカーやめますよ。」
それを聞いて横に居た愛美は(ストーカーはやめた方が良いんじゃ)と思った。
これに対して舞は言った。
「いうじゃねぇか。結衣。じゃあ俺と勝負しようぜ。」
「良いですよ。そこの机で腕相撲やりましょう」
そして結衣と舞は机に向かった。
それを見て愛美は言った。
「結衣。舞先輩。取り敢えず服を着た方が良いんじゃないですか?」
結衣と舞は着替える途中であったため互いに下着だった。
しかし結衣は首を横に振った。
「愛美ちゃん。問題ないよ。私。スタイルに自信があるから。」
舞も言った。
「俺は小さい頃から割りと下着だけでふらふらしてるタイプだから問題ないぜ。」
(絶対そういう問題じゃない)
愛美はなんとか服を着させようと思ったが他の部員達や本人が全く気にしていないのを見て諦めた。
そして二人は机に手を置き向き合い結衣が言った。
「行きますよー。ヨーイどん。」
最初に優勢に見えたのは舞だった。
舞は渾身の力で結衣を押した。
しかし、結衣を倒しきる事が出来ず徐々に舞の顔に疲れが見えた。
すると結衣が不敵な笑みを浮かべて言った。
「舞先輩。その程度ですか?」
そして結衣が力を込めると、舞はあっという間に倒された。
舞は言った。
「嘘だろ。なんてパワーだよ。お前、人間じゃなくてゴリラだろ」
結衣は得意げに答えた。
「私。結構筋トレしてますから。」
そして結衣は愛美を見て言った。
「愛美ちゃん。おいで。」
愛美は一瞬恐れを見せたが覚悟を決めると机に向かい結衣と手を組んだ。
それを見て舞が言った。
「愛美。負けんなよ。多分結衣は俺との戦いで消耗しているはずだぜ」
結衣は不敵に笑った。
「消耗か。下らないな」
そして結衣と愛美の腕相撲が始まった。
勝敗は
すぐに明らかになった。
愛美が必死に力を込めても結衣の腕が全く動かないためである。
(壁を押してるみたい。結衣って実はゴリラなのかな)
愛美は弱気になった。
(駄目だ。いくら強い相手でも諦めなければ勝てるはず)
愛美は自分を励まし更に力を込めた。
すると結衣の腕が動きそのまま倒れた。
愛美は跳び上がって喜んだ。
「やったー。勝った」
愛美は結衣を見た。
すると青ざめた表情で愛美の後ろを見ていた。
愛美は恐る恐る後ろを振り返った。
するとそこには三年生でキャプテンをやっており、ディフェンスで、綺麗だが怒ると凄く怖い木村幸子がたっていた。
結衣は冷静になると素早く土下座して言った。
「うるさくしてすいません。私が言い出したんです。愛美ちゃんは許してあげて下さい」
愛美は涙目で言った。
「いいえ。悪いのは私です。結衣は悪くないんです」
幸子は言った。
「そんな殺される様な感じで恐れなくても大丈夫ですよ。ただ練習は終わりですし、暗くなると危ないですから早く帰りなさい。」
愛美と結衣は言った。
「「はい。」」
幸子は少し笑って言った。
「あなたたちは元気で良いわね。」
そしてとっさに机の下に隠れた舞を見て言った。
「舞。あなたは許さないわ。明日。罰走やりなさい。」
(正直に謝って良かった)
愛美と結衣は身を震わせながら、舞と幸子の様子を静かに見つめていたのだった。




